・後天性免疫不全症候群の予防に関する法
  律(平成元年一月十七日法律第二号) の
  施行に伴う感染防止対策の徹底について
           平成元年二月十日 消防救第十三号
          各都道府県消防主管部長あて 消防庁救急救助課長

  救急業務等の実施に当たってのAIDS(後天性免疫不全症候群)感
 染防止対策に関しては、先の消防庁次長通知(昭和六十二年四月三十日
 消防救第三十八号)及び併せて送付した「AIDS感染防止対策研究委
 員会報告書」等によりその確立について格段の配慮を願っているところ
 である。

  ところで今回、標記の法律が平成元年一月十七日に成立L、同年二月
 十七日より施行されることとなったので、下記の点に留意の上、貴管下
 市町村(消防の事務を処理する一部事務組合を含む。) にこの旨周知さ
 れるとともに、宜しく御指導願いたい。
 なお、引き続きAIDS、B型肝炎等の感染防止対策に万全を期され
 るよう併せてお願いする。

      記

 1 消防機関の搬送に係る傷病者や消防機関に救助された者が、標記法
 律第五条にいう感染者であると医師が診断した場合、当該搬送、救助
 に従事し又は従事した救急隊員等の感染予防の観点から、医師が当該
 消防機関に対し、その旨を連絡通報する場合は、標記法律第十四条第
 一項に規定する「正当な理由」に該当するものであること(別添厚生
 省通知中、第六の4(5)参照)。

 2 医療機関から消防機関に対する救急隊員等の感染防止に必要な連
 絡、指導等の協力体制の確保に関しては、救急業務の円滑実施の観点
 から積極的に協力する旨の了解を日本医師会より得ている(別添救急
 救助課長内かん参照)ところであるが、今回、標記法律の施行に当た
 り、厚生省から各都道府県に対し、医療機関の積極的協力につき指導
 するよう通知されたので、各消防機関においてはこの旨了知し、医療
 機関の協力体制の確保に努めること(別添厚生省通知中、第七の3参
 照)。

3 一方、標記法律第十四条第三項においては、公務員又は公務員で
 あった者がその公務の執行に関して知り得た人の秘密(感染者である
 との人の秘密)を正当な理由なく漏らしたときは、地方公務員法上の
 守秘義務違反よりも重い罰則が課せられることとされていること。
 従って、各消防機関は、この点も十分踏まえ、傷病者又は被救助者等
 が感染者と知った場合においては、秘密の保持に万全を期し、秘密の
 漏洩によっていやしくも消防に対する住民の信頼を損なうことのない
 よう十分に留意をされたいこと。

4 B型肝炎ワクチン接種については、救急隊員、救助隊員等感染の危
 険が予想される職員全てに対して可及的速やかに実施すること。

 別 添
                        健医感発第十四号
                        平成元年二月十日
   各都道府県
        衛生主管都(局)長殿
   各指定都市
                厚生省保健医療局疾病対策課
                      結核・感染症対策室長

    後天性免疫不全症候群の予防に関する法律の運用上の留
    意事項について

  後天性免疫不全症候群の予防に関する法律(平成元年法律第二号。以
 下「法」という。)の施行については、本日、厚生省発健医第二十二号を
 もって厚生事務次官より、健医発第百二十三号をもって厚生省保健医療
 局長より、それぞれ通知されており、また、後天性免疫不全症候群の予
 防に関する法律施行令(平成元年政令第二十一号)及び後天性免疫不全
 症候群の予防に関する法律施行規則(平成元年厚生省令第四号) に定め
 られたところであるが、同法の運用に当たっては特に下記に掲げる事項
 に十分留意の上、その円滑、適正な施行につき遺漏なきを期されるとと
 もに、医療関係者その他関係機関等に対する周知方につき、よろしくお
 願いする。

      記

第一 医師の指示及び報告について

  1 医師が感染者に対して指示を行うに当たっての具体的な留意点に
   ついては、昭和六十二年二月二十六日付け健医感発第十四号厚生省
  保健医療局結核難病感染症課感染症対策室長通知「AIDS感染予
   防に関する留意点について」 (以下 「AIDS感染予防に関する留
   意点について」 という。) を参照されたいこと。

  2 感染者であると診断した医師の都道府県知事(指定都市の長を含
   む。以下同じ) への報告は、別添様式一の報告票により行うものと
   すること。

  3 法の施行前(平成元年二月十六日まで) に感染者であると診断し
   た医師の都道府県知事への報告は、別添様式二の報告票により行う
   ものとすること。

  4 感染者であると診断した医師は、その診断に係る感染者に
    @発病してエイズになった。
    A死亡した。
   といった病状の変化があったときは、都道府県知事に、その旨の報
   告を別添様式三の報告票により行うものとすること。
    なお、この報告は、本日付け健医発第百二十三号厚生省保健医療
   局長通知「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律の施行等につ
   いて」第三の5のただし書に掲げられた各通知に基づき、既に報告
   が行われている場合についても行うこととし、血液凝固因子製剤の
   投与により感染したと認められる場合には、これを要しないもので
   あること。

  5 2から4までによる報告は、保健所を経由せず、直接都道府県知
   事に行うこととすること。

  6 血液凝固因子製剤の投与により感染したと認められる者の配偶者
   又はこれらの者から出生した子が感染者である場合については、報
   告を要するものであること。

  7 感染者の居住地を管轄する都道府県知事と医師の所在地を管轄す
   る都道府県知事とが異なる場合には、医師からの報告は、感染者の
   居住地を管轄する都道府県知事になされるものであり、報告があっ
   た旨を医師の所在地を管轄する都道府県知事その他の都道府県知事
   に連絡する必要はないものであること。

  8 都道府県知事は、別添様式一又は別添様式三の報告票による報告
   については、二ヶ月分ごとにとりまとめ、奇数月の十日までに、前
   月までの分について写しを当職あて送付すること。第一回の送付期
   限は本年五月十日とすること。

  9 別添様式二の報告票による報告については本年四月未までに写し
   を厚生省へ送付すること。

  10 厚生省においては、8により送付された感染者の報告を二ケ月分
   ごとにとりまとめ、当該データを都道府県(指定都市を含む。)に還
   元する予定であるので、当該データについては、報告を行った当該
   医療機関に還元されたいこと。

 第二 医師から都道府県知事への通報について

  1 多数の者に感染させるおそれのある感染者についての法第七条第
   一項の規定による医師から都道府県知事への通報は、別添様式四の
   通報票により行うものとすること。

  2 感染者の感染源と認められる者で多数の者に感染させるおそれの
   ある者についての法第七条第二項の規定による医師から都道府県知
   事への通報は、別添様式五の通報票により行うものとすること。

  3 1及び2による通報は、保健所を経由せず、都道府県知事に行う
   こととし、親展の封書による等秘密の保持に十分配慮して行うもの
   とすること。

  4 都道府県知事は、別添様式四又は別添様式五の通報票による通報
   については、通報があった都度、速やかに写しを当職あて親展の封
   書で送付すること。

  5 感染者の居住地を管轄する都道府県知事と医師の所在地を管轄す
   る都道府県知事とが異なる場合には、医師からの通報は、感染者の
   居住地を管轄する都道府県知事になされるものであり、通報があっ
   た旨を医師の所在地を管轄する都道府県知事その他の都道府県知事
   に連絡する必要はないものであること。
    ただし、当該感染者が居住地を移転させた場合等当該通報を受け
   た都道府県知事が法に規定する措置を行うため必要な場合に関係都
   道府県知事へ必要な連絡をすることは認められるものであること。

 第三 健康診断の勧告について
   法第八条第一項の健康診断の勧告については、次により行われたい
   こと

  1 医師から法第七条第二項の規定による通報があった場合には、都
   道府県知事は、必要があれば法第十条に基づく質問により勧告の必
   要があることを確認した上で、勧告を行うものとすること。

  2 勧告に従わないことが法第八条第二項の命令の要件となることか
   ら 「法第八条第一項の規定に基づき、エイズのウイルス (HIV)
   感染の有無に関する健康診断を受けるべきことを勧告する」趣旨の
   明らかな文書を交付することにより行うこと。

  3 健康珍断の内容は、HIVの抗体検査(スクリーニソグ検査)及
   び、陽性の場合は確認検査等を行うことにより確定診断を行うこと
   とすること。昭和六十三年四月十四日付け健医感発第二十六号厚生
   省保健医療局結核難病感染症課感染症対策室長通知「サーベイラン
   スのためのAIDS診断基準」を参照すること。

  4 勧告による健康診断を受けるべき期限は、当事者が健康診断を受
   けるために必要な期間を勘案して定めるものとし、原則として一週
   間程度で十分と考えられること。

  5 勧告による健康診断は、勧告を受けた者の選択する医師の下で実
   施されるものであり、一般の自主的受診者と同様その費用は受診者
   本人の負担すべきものであること。

  6 健康診断の受診の有無は、当該勧告を受けた者に、受診した医療
   機関及び受診日を質問すること等により確認すべきこと。

 第四 健康診断の命令について
   法第八条第二項の健康診断の命令については、次により行われたい
   こと

  1 健康診断の命令は、知事の行う健康診断の勧告に従わない者に対
   して行うものであること。

  2 命令に従わない場合には罰則の適用があることから、「法第八条
   第二項の規定に基づき、エイズのウイルス (HIV)感染の有無に
   関する健康診断を受けるべきことを命令する」趣旨の明らかな文書
   を交付することにより行うこと。

  3 健康診断の内容については、第三の3と同様とすること。

  4 命令による健康診断を受けるべき期限は、当事者が健康診断を受
   けるために必要な期間を勘案して定めるものとし、原則として一週
   間程度で十分と考えられること。

  5 命令による健康診断は、勧告による健康診断とは異なり、その結
   果は法第九条の指示の根拠となるもので、知事の行う予防事務の一
   環をなすものである。
    したがって、その費用は法第十一条により適用される伝染病予防
   法第二十二条及び第二十五条の規定により都道府県が支弁し、国庫
   が二分の一を負担するものであること。

  6 健康診断の受診の有無は、当該命令を受けた者への質問、当該指
   定を受けた医師への照会等により確認し、検査結果については、当
   該医師に報告を求めることにより確認すべきこと。

  7 命令による健康診断は、知事の指定する医師によるものであるこ
   とを要する。このため、予め、昭和六十二年三月十四日付け健政計
   発第十三号、健医感発第二十号厚生省健康政策局計画課長、保健医
   療局結核難病感染症課感染症対策室長通知「エイズ対策の推進につ
   いて」 3(2)の専門相談窓口となっている医療機関等適切な医療機関
   の医師を選択しておくこと。

 第五 伝染防止上必要な指示について
   法第九条の伝染防止上必要な指示については、次により行われたい
  こと。

  1 対象者
   (1) 医師から法第七条第一項による通報のあった者
   (2) 法第八条第二項に基づく命令による健康診断の結果、感染者で
    あると確認された者

  2 指示の内容

   (1) 基本的には、法第五条に基づき医師が行う指示と同様であり
    ア 日常生活において、血液が他人に触れないよう配慮すること
    イ 性的接触において、傷つきやすい性的接触方法や、相手に自
     分の体液を直接触れさせるような性的接触方法を避け、不特定
     の相手との性的接触を避けること
    等が考えられること。

   (2) ただし、指示の対象者が、医師の指示に従わず又は医師への受
    診を拒んで、多数の者に感染させるおそれがある者であることか
    ら、特に
    ア 多数の者に感染させるおそれのある行為をしないこと
    イ 一定の医師の下で、その指導に従うべきこと
    が指示の中心的な事項となること。

   (3) 感染者に対して指示を行うに当たっては、「AIDS感染予防
    に関する留意点について」を参照されたいこと。

  3 方法
    指示内容を記載した文書を交付することを原則とする。

  4 指示内容の徹底の確認
   (1) 指示が守られているかどうかは、当該指示を受けた者に対して
     質問すること等により確認すべきこと。
   (2) 指示が守られていない場合には、重ねて指示を行うべきこと。

 第六 秘密保持について

  1 感染者に関する秘密を保持することは、感染者の不安を軽減し、
   エイズ対策を円滑に進めていく上で極めて重要であることから、法
   の施行に当たって特に留意すること。

  2 法の施行によって得られた情報の取扱いについては、プライバ
   シーの保護に十分留意し、たとえ公表する必要が生じた場合にも、
   個人の特定につながる事項は含まないこととすること。

  3 医師、公務員、及び業務上秘密を知り得た者については、正当な
   理由なく秘密を洩らした場合については、罰則の適用があること。

  4 法第十四条の 「正当な理由」 に該当するものとしては、例えば次
   のものが考えられること。
   (1) 法廷で証言する場合
   (2) 法の規定に基づき都道府県知事へ通報する場合
   (3) 医師が医療従事者の感染防止のため必要な指示を行う場合
   (4) 医療機関の職員等が診療報酬の請求のため病名を付した関係書
    類を関係機関へ提出する場合
   (5) 医師が救急隊員等の感染防止のため消防機関に連絡する場合

 第七 その他

  1 法に基づく健康診断の勧告、命令、伝染防止上必要な指示及び質
   問は、原則として医師である職員が担当することとするが、状況に
   応じて、保健婦その他の職種の者も補助者として担当することとし
   て差し支えないこと.

  2 法第七条第一項又は第二項の通報があった事例については、これ
   に対して都道府県知事の採った措置の内容、当該感染者等の現状等
   を記載した報告を作成し、適宜、当職あて送付されたいこと。

  3 救急隊員等の感染防止上必要と認められる場合には、医師から必
   要な連絡通報が消防機関に対してなされることが必要であり、この
   点について、消防機関から協力依頼があった際には積極的に協力す
   るよう、医療機関を指導されたいこと。

  4 「AIDSサーペイランス情報の還元・公表方法について」 (昭
   和六十二年四月二十日付け健医感発第三十号本職通知) は、本年二
   月十七日をもって、廃止する。

 様式 〔略〕

 (別添)
    救急業務の実施に当たりB型肝炎ウイルス等による感染
    のおそれのある事故が発生した場合における医療機関の
    協力体制の確保について

  謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

  さて、救急業務の実施に当たり、B型肝炎、エイズ等各種感染症から
 の適切な感染防止対策を確立することは、救急隊員の安全のみならず、
 傷病者の安全を確保する上からも極めて重要な課題であり、貴職におか
 れても、従来より、その対策の推進に種々御尽力を頂いているところで
 ありますが、このたび、救急業務について密接な関係にある日本医師会
 に対し、標記の件について協力をお願いしたところ、日本医師会から別
 添のとおり協力する旨の通知がありました。

  つきましては、貴管下市町村(消防の事務を処理する一都事務組合を
 含む。)に対して、下記事項と併せこの旨周知するとともに、よろしくご
 指導願います。
                                敬具
   昭和六十二年十一月二十七日
                       消防庁救急救助課長
                          蓼 沼 朗 寿
    各都道府県消防主管部長殿


      記

 1 「救急業務等の実施に当たってのAIDS感染防止対策の確立につ
  いて」 (昭和六十二年四月三十日付け消防救第三十八号各都道府県知
  事あて消防庁次長通知)、「救急業務等の実施に当たってのB型肝炎感
  染防止対策の徹底について」 (昭和六十二年九月四日付け消防救第百
  十号各都道府県消防主管部長あて消防庁救急救助課長通知) によりそ
  の確立を求め、また今回、日本医師会に対し協力依頼を行った消防機
  関と医療機関との適切な連格通報体制及び協力体制は、不幸にして救
  急隊員の創傷や眼等身体に直接傷病者の血液等が付着し、消防機関か
  ら当該傷病者の搬送に係る医療機関に対し、隊員の感染のおそれにつ
  いて問合せがあった場合、又は当該医療機関において救急隊員の状況
  から判断して感染のおそれがあると認めた場合における体制を意味す
  るものであり、搬送に係る傷病者が単にB型肝炎やAIDS等である
  という事実だけで、いついかなる場合においても、医療機関から消防
  機関に連絡がなされる体制を意味するものでないので、地元医師会に
  協力依頼するに当たっては、この点特に留意すること。

 2 傷病者の血液等により救急用資器材、救急自動車、衣服等が汚染さ
  れた場合においても、救急隊員が各種感染防止に関する正しい知識を
  有し、また 「AIDS感染防止対策研究委員会報告書」 及び上記通知
  に示された感染防止に必要な活動原則を遵守することにより、救急業
  務に帰因して、B型肝炎、エイズ等に感染する危険は十分回避し得る
  ものであり、各消防機関においては、この旨救急隊員に周知徹底する
  とともに、今後とも各種感染症に関する基礎知識の普及啓発、救急活
  動上の留意事項の周知徹底、感染防止に必要な救急用資器材・消毒用
  資器材の整備等、感染防止対策の組織的かつ総合的な推進に努めるこ
  と。

 3 なお、AIDSやB型肝炎のみをいたずらに特別視し、その感染防
  止を強調する余り、感染症に対し上司が必要以上に神経過敏となり、
  救急隊員の士気の低下や傷病者への接触忌避を招くことのないよう十
  分配慮すること。

 4 消防機関においては、救急隊の搬送に係る傷病者がB型肝炎やエイ
  ズの感染者であると知った場合、当該傷病者のプライバシー保護に関
  し万全の配慮をなすこと。

 別添
                  日医発第五百七号(地百三十九)
                  昭和六十二年十一月十一日
   消防庁長官
    矢野浩一郎殿
                          日本医師会長
                             羽田春免
    救急業務の実施に当たりB型肝炎ウイルス等による感染
    のおそれのある事故が発生した場合における医療機関の
    協力体制の確保について

  時下益々御清祥のこととお慶び申し上げます。
  さて、先般十一月五日付消防救第百四十一号文書をもって貴職から標
 記について協力要請がありましたが、本件については、救急業務の円滑
 実施上の観点から、これに積極的に協力することとし、今般別添文書の
 とおり、各都道府県医師会に対し通知を行いましたのでご連絡申し上げ
 ます。

                   日医発第五百六号(地百三十八)
                   昭和六十二年十一月十一日
   都道府県医師会長殿
                           日本医師会長
                             羽田春免
    救急業務の実施に当たりB型肝炎ウイルス等による感染
    のおそれのある事故が発生した場合における医療機関の
    協力体制の確保について

  時下益々御清祥のこととお慶び申し上げます。
  さて、今般十一月五日付消防救第百四十一号をもって消防庁長官から
 本職あて、別添文書のとおり救急業務の活動現場において、救急隊員の
 創傷や限等身体に直接傷病者の血液等が付着することにより、B型肝
 炎、エイズ等各種感染のおそれのある事故が発生した場合における医療
 機関の適切な連絡、指導等消防機関に対する協力体制の確保について協
 力要請がありました。本会においては、救急業務の円滑実施という観点
 から、これに協力することといたしました。

  つきましては、各消防機関から地元医師会に対し、本通知に示す協力
 依頼がありました際には、十分な協議に応じる等積極的な協力を賜わり
 ますようご高配方をお願い申し上げます。
                      消防救第百四十一号
                      昭和六十二年十一月五日
  日本医師会会長
   羽田春免 殿
                           消防庁長官
                           矢野浩一郎
   救急業務の実施に当たりB型肝炎ウイルス等にょる感染
   のおそれのある事故が発生した場合における医療機関の
   協力体制の確保について (依頼)

  時下 ますます御清栄のこととお慶び申し上げます。

  平素は、救急業務の円滑な運営に関しまして、多大の御理解と御協力
 を賜り厚く御礼申し上げます。

  さて、救急業務の実施に当たり、B型肝炎、エイズ等各種感染症から
 の適切な感染防止対策を確立することは、救急隊員の安全のみならず、
 傷病者の安全を確保する上からも極めて重要な課題であることにかんが
 み、消防庁といたしましても、従来より、各消防機関に対し、各種感染
 症に関する基礎知識の普及啓発、救急活動上の留意事項の周知徹底、感
 染防止に必要な救急用資器材・消毒用資器材の整備等を組織的かつ総合
 的に推進するよう指導してきたところです。

  また、本年度からはB型肝炎に関する抗原・抗体検査に要する経費に
 ついて市町村に対する財源措置を講じるとともに、来年度からはワクチ
 ン接種に要する経費についても、財源措置がなされるよう現在その準備
 を進めるなど、各消防機関が早期に感染防止対策を確立するうえで必要
 な措置についても種々の施策を講じ、その対策の積極的な推進に努めて
 いるところです。

  しかしながら、実際の救急業務の現場において、救急隊員が傷病者の
 血液、吐物等に接する機会は多く、隊員が大量の血液等の飛散を受ける
 場合も少なからずあります。

  もちろん、このような場合にあっても、隊員が各種感染症に関する正
 しい知識を有し、また感染防止に必要な活動原則を遵守することによ
 り、十分に感染の危険を回避できるものと考えます。

  しかし、不幸にして、隊員の創傷や眼等身体に直接血液等が付着する
 こともあり、このような感染のおそれのある事故が発生した場合、医療
 機関との連携を密にし、的確な指導を受けることは各消防機関において
 適切な事後処理体制を確立し、職員の不安を払拭する上で必要不可欠で
 あります。

  つきましては、救急隊員の創傷や限等身体に直接傷病者の血液等が付
 着したため、消防機関から当該傷病者の搬送に係る医療機関に対し、隊
 員の感染のおそれについて問合せがあった場合、又は当該医療機関にお
 いて救急隊員の状況から判断して感染のおそれがあると認めた場合にお
 いては、救急隊員の感染防止に必要な限度において、当該医療機関から
 消防機関に対し適切な連絡、指導が行われますよう、各消防機関から地
 元医師会に対し協力依頼がありました際には、その趣旨を御理解の上、
 積極的な御協力、御配意を賜りますようお願い申し上げます。

  なお、消防機関の職員は、地方公務員法上守秘義務を負っており、搬
 送に係る傷病者が感染者であると知った場合においても、みだりに当該
 事実が漏洩されるおそれはないこと、また法律上の守秘義務を云々する
 までもなく、傷病者のプライバシーを保護すべきことは公務員として当
 然のことであり、すでに消防庁においては、各消防機関に対し、傷病者
 のプライバシー保護に万全の配意をなすべきことについて周知徹底を
 図っていることを念のため申し添えます。


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