・救急業務遂行中における感染防止対策について
          昭和六十一年十月三十一日 消防救第百十八号
          各都道府県消防主管課長あて 消防庁救急救助室長

  標記の件については、消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六
 号)第五十条に定める救急業務に関する講習に救急用器具・材料の消毒
 の課目を設け、また救急業務実施基準(昭和三十九年消防庁長官通達)
 には法定伝染病と疑われる者の取扱い、救急自動車及び積載品の消毒に
 ついて規定し、さらに、B型肝炎の感染防止対策の資料として消毒及び
 感染防止研究委員会報告書を送付(昭和五十九年五月十五日付け各都道
 府県消防主管部長あて消防庁救急救助室長事務連絡)し、その周知徹底
 を図つてきたところである。

  ところで最近、後天性免疫不全症候群(以下「AIDS」という。)が重
 大な関心を持つて議論されて
 いることでもあり、各種ウイルス性感染症の感染防止対策について万全
 を期すため、その実施状況を点検しておく必要があると考える。

  ついては、下記事項に十分留意のうえ、救急隊員の感染防止対策につ
 いて一層の配意をされるとともに、管下市町村(消防の事務を処理する
 一部事務組合を含む。)を御指導願いたい。

  なお、救急隊員がその職務上B型肝炎等の伝染性疾患にり患した場合
 の公務災害の取り扱いについては、公務上の災害の認定基準(昭和四十
 八年十一月二十六日地基補第五百三十九号各都道府県知事あて基金理事
 長)の記の2の(2)のオの(ア)により、特に反証のない限り、職業病とし
 て、公務上の災害に該当することとされているので念のため申し添え
 る。

     記

1 感染防止対策の基本

 (1) ウイルス性感染症について、救急隊員に対し専門医による講習会
  等を実施し、正しい知歳を習得させること。

 (2) 救急隊員の接する傷病者は、あらかじめウイルス性感染症かウイ
  ルスキャリアかを知ることができない点に留意し、ウイルス性感染
  症及びこれと疑われる傷病者と接した場合における迅速な対応体制
  (例 上司への報告、必要に応じた医療機関(専門医)との連絡、
  救急自動車及び救急資器材の消毒等)を確立しておくこと。

2 救急活動上の留意事項
  救急活動にあたつては以下の事項を遵守すること。

 (1) 傷病者の応急処置に際しては、血液、唾液(おう吐物を含む。)ま
  たは失禁等(以下「血液等」という。) への直接接触を避け、ディス
  ポーザブルのビニール手袋またはゴム手袋の着装を厳守し、血液等
  が飛散するおそれのある場合は、マスクの着装についても考慮する
  こと。

 (2) 救急隊員の手指に創傷のある場合には、出場時にビニール手袋ま
  たはゴム手袋を着装すること。

 (3) 血液等が皮膚に付着した場合は、せつけんを用いて流水で洗浄す
  るか、あるいは次亜塩素酸系消毒液で消毒を行うこと。

 (4) 血液等の付着したディスポーザブルの救急用資器材は、ビニール
  袋等に密閉し処分すること。

 (5) ディスポーザブルでない救急用資器材についても、血液等が付着
  した場合はビニール袋等に入れておき、帰署後、速やかに流水で洗
  浄するか、次亜塩素酸系消毒液(参考参照)を浸した脱脂綿で拭き
    とること。

 (6) 血液等の付着した救急衣、作業衣などは速やかに交換し洗浄する
    こと。
3 その他

   AIDSはB型肝炎より感染力の弱いウィスルが原因とされ、また
  感染経路はB型肝炎と類似しているところから、その感染防止対策に
  ついてもB型肝炎及びウイルスキャリアの取扱いに準ずるものとされ
  ている (厚生省資料から)。

   B型肝炎に対する感染防止対策については、既に消毒及び感染防止
  研究委員会報告書に示しているので、AIDSについてもこれを参考
  とすること。

 参 考
   次亜塩素酸系消毒液
   (略)


目次に戻る