・救急隊員資格取得講習その他救急隊員の教育訓練の充実強化について

              平成元年五月十八日 消防救第五十三号
              各都道府県知事あて 消防庁次長

 標記の件については、「救急隊員の教育訓練の充実、強化について」
(昭和六十年四月八日付け消防救第三十二号各都道府県消防主管部長あ
て消防庁救急救助室長通知)等により、これまでにも種々御尽力をいた
だいているところであるが、急速な高齢化社会の進展等に伴い、救急需
要は逐年増大しており、また傷病者の症状も徐々に重症化する傾向にあ
ることから、救急隊員の資質を一段と向上させ、高度な知識や熟練した
技術を有する優れた救急隊員の養成を図ることが重要な課題となってい
る。

 このため、消防庁では、昭和六十三年度、(財)消防科学総合センターの
協力を得て、同センターに消防関係者、救急医療関係者、学識経験者等
から構成する「救急隊員の教育訓練充実強化対策検討委員会」を設置
し、救急隊員の教育訓練体制のあり方等について調査、検討を進めてい
るが、今般、その一環として、消防学校における救急隊員資格取得講習
(救急隊員になるため、法令上その受講が義務付けられている現行百三
十五時間以上の救急業務に関する講習をいう。以下同じ。)の充実と救
急隊員の資質の向上に資するため、別添のとおり「救急隊員資格取得講
習教育指導・効果測定基準」を作成したところてある。

 ついては、下記事項に留意の上、消防学校においてこの基準を十分に
活用されるとともに、その他救急隊員の教育訓練の充実強化に今後とも
積極的に取り組まれるようお願いする。

 また、管下市町村(消防の事務を処理する一部事務組合を含む。)に対
して本通知の趣旨を周知され、各消防機関においても救急隊員の教育訓
練(いわゆる職場における再教育訓練)の計画的、効果的な実施に努め
るよう、よろしく御指導願いたい。

      記

第一 救急隊員資格取得講習関係

 1 救急隊員資格取得講習教育指導・効果測定基準(以下「基準」と
  いう。)は、初めて救急業務に従事することとなる新任救急隊員が、
  救急隊長の指揮の下、その任務を果たすため修得すべき最も基本的
  な知識、技術の範囲とレベル、並びに教育指導上の留意点、効果測
  定の方法等を具体的に示し、救急隊員資格取得講習の標準的な到達
  目標を明らかにすることにより、当該講習の充実と救急隊員の資質
  の向上に資することを目的として作成したものであること。

 2 基準は、少なくともここに示された事項については必ず修得され
  る必要があるという意味で、救急隊員資格取得講習を実施するに当
  たり準拠することが強く望まれるものであるが、もとより、消防学
  校が、基準に示された水準以上の教育訓練を行うことを否定するも
  のではないこと。

   なお、「準拠する」とは、消防学校において行われる救急隊員資格
  取得講習の内容、水準、力点、方法等がおおむね基準に沿ったもの
  であるとともに、効果測定の試験問題についても、基準に基づいて
  作成、出題

 3 消防学校においては、上記の趣旨を踏まえ、基準が求める水準を
  確保した上で、管下消防機関の実情等に応じ必要と認める教育訓練
  内容を盛り込み、効果的な救急隊員資格取得講習の実施に努めるこ
  と。

   この場合、受講者に対し、基準を超える詳細、高度な知識等の修
  得を要求するあまり、かえって教育効果の低減を来すことのないよ
  う、十分注意すること。

 4 消防学校においては、救急隊員資格取得講習の担当教官、講師に
  対し基準の趣旨、内容等について説明し、理解が得られるよう努め
  るとともに、当該講習に先立ち、これらの者と基準を指針として、
  カリキュラムの編成、教育訓練及び効果測定の内容、方法等につい
  て十分協議し、課目やその内容ごとに担当教官、講師が替わる場合
  にあっても、講習が無益な重複なく、全体として統一性、一貫性を
  もって実施されるよう、特に配慮すること。

 5 救急隊員資格取得講習の実施に当たっては、その効果を上げるた
  め、基準に示された教育方法における留意点を十分に踏まえ、講義
  だけでなく、視聴覚教育、実技、事例研究、見学、実習等講義以外
  の教育方法も積極的に取り入れること。

   このため、これら教育方法の導入に伴い必要となる心肺蘇生訓練
  用人形(生体シミュレーター、レコーデングレサシアン等)、視聴覚
  教材等の計画的な整備を図ること。

 6 効果測定は、個々の受講者に対する教育訓練の効果を把握するこ
  とにとどまらず、測定結果の総合的な分析評価を通じ、その後の教
  育訓練の改善に資するという極めて重要な意義を有するものである
  ことを十分認識し、消防学校においては、救急隊員資格取得講習の
  効果測定の充実強化に積極的に取り組むこと.とりわけ、心肺蘇生
  法の十分な修得は、当該講習の中核をなすものであることから、そ
  の効果測定は個々の受講者ごとに必ず実施すること。

   また、効果測定の不合格者に対しては、補習講習及び追試験を必
  ず実施すること。

第二 現任の救急隊員に対する教育訓練関係

 1 救急隊長は、救急隊のリーダーとして、救急業務の中核的役割を
  担う者であり、現場における高度な観察力、臨機応変の判断力、的
 確な指導力等が要請されることから、消防学校においては、これら
 の能力の養成を目的として、救急隊長を対象とする特別の教育訓練
 課程の設置、充実に積極的に取り組むこと。

  また、現任の救急隊員の資質を維持向上させるため、救急隊員の
 再教育訓練課程についても、その設置に努めること。この場合、救
 急隊員資格取得講習のこれまでの実績や効果、最近における救急需
 要の動向、救急医療をめぐる諸環境の変化、また消防機関の救急業
 務体制等を十分勘案し、再教育訓練の目的を明確にするとともに、
 消防機関における教育訓練(職場教育)によっては実施が困難な内
 容に重点を置くように配慮すること。

2 消防機関においても、本部単位又は署所単位に基礎的技術の反復
 習熟訓練や日々の救急事実を活用した事例研究を行うなど、職場の
 特性を活かした教育訓練に創意と工夫をこらし、その積極的かつ計
 画的な実施に努めること。

  なお、今回作成した基準は、救急隊員資格取得講習用のものであ
 るが、消防機関が職場の教育訓練を実施するに当たっても十分参考
 にできる内容を含んでいるので、有効に活用されたいこと。

3 消防学校及び消防機関においては、互いに協力し、平素から、救
 急隊員の教育訓練に係る相互の役割分担やこれに基づく教育訓練の
 内容、方法等について協議や意見交換ができる場の設置を図り、そ
 れぞれが相まって全体として整合性のとれた体系的な教育訓練が効
 果的に実施できるよう努めること。

第三 その他

1 救急隊員資格取得講習は、消防学校の教育訓練の基準(昭和四十
 五年消防庁告示第一号)に定められているとおり、現任の消防職員
 に対する専科教育として実施することが原則であること。よって、
 いまだ当該講習を初任教育として実施している消防学校にあって
 は、早期にこれを改め、専科教育として実施するよう努めること。

2 救急隊員の教育訓練のあり方について検討を行うに当たっては、
 本通知及び別添「救急隊員の教育訓練充実強化対策検討委員会報告
 書」の他、「救急隊員の教育訓練の充実、強化について」(昭和六十
 年四月八日付け消防救第三十二号各都道府県消防主管部長あて消防
 庁救急救助室長通知)及び昭和五十九年度消防庁に設置した「救急
 隊員教育訓練研究委員会」の報告書を参考とすること。

別添 〔略〕


目次に戻る