・応急手当の普及啓発活動のあり方検討委員会報告書(平成五年三月)
    はじめに
  急病や交通事故をはじめとする各種の救急事故が発生した場合に、救
 急隊が現場に到着する以前に、現場に居合わせた住民により適切な応急
 手当が速やかに実施されることによって、傷病者が救命される可能性が
 一層向上することは明らかである。欧米では、住民に対する応急手当の
 普及啓発が従前より広く行われており、発症又は受傷した傷病者に対
 し、直ちに住民等による応急手当が開始され、到着した救急隊がそれを
 引き継ぐのが当然のこととなっている。しかしながら、我が国では、応
 急手当、とくに救命に係わる心肺蘇生法等の修得が普及しておらず、近
 年、その普及方策について関心が高まってきている。

  垂篤傷病者の救命効果を高めるためには、心肺蘇生法等の住民普及を
 積極的に促進すべきであり、各消防機関では、これまでも「救急の日」
 等を中心に、休日夜間を問わず要請に応じて講習を開催するなど、住民
 のニーズに応えるため応急手当の普及に取り組んできている。しかし、
 全国的な普及啓発の推進体制は十分に整備されておらず、標準的な活動
 基準の策定等を求める声が強くなってきている。

  これらの状況を頼まえ、財団法人救急振興財団では、住民の応急手当
 の普及啓発活動の支援をする「救急基金事業」の一環として、「応急手当
 の普及啓発活動のあり方検討委員会」を設置し、今後、消防機関が推進
 していくべき応急手当の普及啓発活動のあり方について、救急を担当す
 る医療関係者と消防関係者を交えた検討を行った。その検討結果とし
 て、消防機関の行う標準的な応急手当講習会のカリキュラム、その指導
 者の資格要件、整備すべき資機材などについて、日本医師会はじめ関係
 団体の動向も勘案しつつ、提言を取りまとめたので報告する。

  平成五年三月

    「応急手当の普及啓発活動のあり方検討委員会」委員長
         日本医科大学附属千葉北総病院院長
                     山  本  保  博


目 次
  はじめに
 1 総説
  (1) 委員会の設置
  (2) 委員会の構成
  (3) 委員会の開催状況
 2 応急手当の必要性
  (1) 医学的見地から
  (2) 行政的見地から
 3 応急手当の普及啓発活動の現状
  (1) 他機関の動向
  (2) 海外の普及啓発活動の状況
  (3) 消防機関における普及啓発活動の現状と問題点
 4 消防機関の行う普及啓発の対象者
 5 普及項目及び普及方法
  (1) 消防機関が行う標準的な講習の種別と時間、指導者数等
  (2) 修了証・認定証の発行
  (3) 再教育
  (4) 標準的な講習以外の講習のあり方
 6 指導者の資格要件と養成方法
  (1) 指導者の配置基準、指導体制
  (2) 指導者の養成と資格要件
  (3) 指導者養成講習と認定・登録のあり方
  (4) 指導体制の確保、指導者の専任化等
  (5) 有資格指導員の広域的活用方法
 7 普及啓発用資機材
  (1) 普及啓発広報車
  (2) 蘇生訓練用人形
  (3) 映画・ビデオ
  (4) 小冊子・パンフレット等
  (5) 感染防止用資機材
  (6) 指導者用マニュアル
  (7) 講義用資機材
  (8) その他
 8 全国的推進方策
  (1) 国の役割
  (2) 都道府県の役割
  (3) 市町村・消防機関の役割
  (4) 関係省庁及び団体との連携方策

 1 総 説

  (1) 委員会の設置

   救急事故発生時、現場に居合わせた人が、適切な応急手当を速や
   かに施すことにより、傷病者の救命率が格段に向上することは、医
   学的見地からも明らかになっている。

    国民に対する応急手当の普及啓発活動については、関係する各行
   政機関等においてそれぞれ取り組みが進められているところであ
   る。そのなかで、消防機関は、所定の教育訓練を修了した救急隊員
   が救急現場に適応した応急手当のノウハウを有していることから、
   普及啓発に対する効果的な取り組みが期待できる。
    また、救急事故現場での応急手当の普及を図ることは、それに引
   き続く救急業務の効果を高め、その円滑な実施に役立つとともに、
   大規模災害時における住民の自主救護能力の向上にも資するもので
   ある。
    このため、財囲法人救急振興財団において住民に対する応急手当
   の普及啓発活動を支援する「救急基金事業」の一環として、消防機
   関が地域住民の応急手当の普及啓発を推進する際の活動のあり方を
   検討するため「応急手当の普及啓発活動のあり方検討委員会」を設
   置した。
  (2) 委員会の構成
   ア 委員会は、設置要綱に基づき、山本保博日本医科大学附属千葉
    北総病院院長を委員長とし、次表に掲げる委員によって構成し
    た。
                          (五十音順)
     氏      名     職        名

     朝 日  信 夫  自治省消防庁救急救助課長
     石 田  詔 治  兵庫医科大学助教授
     植 田    武  愛知県総務部消防防災課長
                (都道府県消防主管課長会副会長)
     岡 田  芳 明  防衛医科大学校助教授
     上 嶋  権兵衛  東邦大学医学部教授
     今 野    孝  仙台市消防局長
                (全国消防長会救急委員会委員長)
     杉 本  有 養  東京消防庁救急部長
    ○山 本  保 博  日本医科大学附属千葉北総病院院長
     吉 宗  駒 郎  神戸市消防局警防部長
                〔注〕 ○印は委員長を示す。
  イ 専門委員会の構成

    専門的に詳細な検討を行うため、委員会の下に専門委員会を設
   置し、次表に掲げる委員によって構成した。
                          (五十音順)

     氏     名      職        名
     赤 穂 敏 広  自治省消防庁救急救助課課長補佐
    ※ (藤 島  昇)
     石 川 節 雄  自治省消防庁救急救助課課長補佐
    ※(尾 崎 研 哉)
     石 田 敏 文  愛知県総務部消防防災課課長補佐
     遠 崎 義 夫  財団法人救急振興財団参与
     大 西 康 弘  神戸市消防局警防部救急課長
     岡 田 芳 明  防衛医科大学校助教授
     森 戸 正 夫  東京消防庁救急部救急指導課長
    ○山 本 保 博  日本医科大学附属千葉北総病院院長
     吉 川   貴  仙台市消防局警防部救急救助課長

                  〔注〕 ○印は委員長を示す。
    ※ 平成四年八月に尾崎委員から石川委員に変更
    ※ 平成四年十月に藤島委員から赤穂委員に変更

 (3) 委員会の開催状況
  ア 第一回委員会
   (ア) 日時及び場所
     平成四年七月七日 (火)麹町会館「アイリス」
   (イ) 審議事項
   ・消防機関の応急手当の実施の現状及びアンケート調査の実
     施について
   ・検討項目について
  イ 第一回専門委員会
   (ア) 日時及び場所
     平成四年七月十四日(火)半蔵門会館 四〇八号室
   (イ) 審議事項
   ・応急手当の普及啓発に関するアンケート調査項目について
   ・執筆分担について
  ウ 第二回専門委員会
   (ア) 日時及び場所
     平成四年八月二十一日(金)半蔵門会館 四〇六号室
   (イ) 審議事項
   ・ アンケート調査結果について
   ・ 報告書骨子(案)について
  エ 第二回委員会
   (ア) 日時及び場所
     平成四年八月二十四日(月)半蔵門会館 四〇六号室
   (イ) 審議事項
   ・ アンケート調査結果について
   ・ 報告書骨子(案)について
  オ 第三回専門委員会
   (ア) 日時及び場所
     平成四年十月一日(木)(財)救急振興財団 会議室
   (イ) 審議事項
   ・ 報告書のとりまとめについて
   ・報告書の検討(応急手当の普及対象者・普及方法・普及項
    目について)
  カ 第四回専門委員会
   (ア) 日時及び場所
     平成四年十月十三日(火)半蔵門会館 四〇八号室
   (イ) 審議事項
    ・報告書の検討(普及指導者の資格要件の養成方法につい
      て、普及啓発用資機材について、全国的推進方策について)
  キ 第三回委員会
   (ア) 日時及び場所
      平成四年十一月五日(木)竹橋会館 梅の間
   (イ) 審議事項
    ・ 報告書(案) について
    ・報告書の取りまとめ時期・方法等について

 ※ 本報告書の取りまとめにあたっては、関係団体の動向を十分に見
  きわめる必要があることから、実際の取りまとめは所要の時間をお
  いた後とし、その際再度修正を加えることとした。

   本報告書の取りまとめにあたって、委員長は必要に応じて第四回
  委員会を招集することとし、委員長が招集の必要がないと判断した
  場合は、取りまとめは委員長に一任することとなった。実際には第
  四回委員会を招集することなく、報告書を取りまとめた。

 2 応急手当の必要性

  突然発症した重篤な傷病者を住民が救急車の到着するまでの「空白
  の五分間」に何ら応急手当を施すことなく放置し、救命のチャンスを
  逸してしまう事例は少なくない。

   住民の応急手当がなぜ必要なのかを医学的、行政的見地から考え
  る。

 (1) 医学的見地から
   住民による応急手当の対象となる主な傷病としては、不慮の事
  故、心筋梗塞をはじめとする心疾患、さらに脳卒中などの脳血管疾
  患が考えられ、これらはいずれも健康な人が突然遭遇又は発症する
  危険性がある。平成二年のわが国の死因順位は、第一位悪性新生
  物、第二位心疾患、第三位脳血管疾患、第四位肺炎及び気管支炎、
  第五位不慮の事故及び有害作用(以下「不慮の事故」と略す。)と
  なっている。

   このうち不慮の事故は、死亡者数では心疾患や脳血管疾患を下回
  るものの、統計的に死亡者の数十倍の数の負傷者が発生しており応
  急手当を要する事例は多数にのぼること、年齢別にみると若年齢層
  では不慮の事故が死因の上位を占めており(表1−1)、これらが
  次代を担うべき年齢層であることを考慮するとその社会的影響は重
  大であること、また家庭内で生じている事故も多い (表1−2)こ
  となどから、応急手当普及啓発の必要性が高いものである。また、
  不慮の事故は適切な初期の手当によって傷病の重篤化を防ぎ得る場
  合が多く、たとえば、熱湯による熱傷は適切な冷却によって障害の
  拡大・深達化を防ぐことができ、気道異物はこれを速やかに除去で
  きれば何の障害も残さないが、除去に手間取れば心呼吸停止から重
  篤な脳障害を後遺することも稀ではない。さらに、応急処置を学ぶ
  ことは不慮の事故を疑似体験することであり、常日頃の注意を喚起
  し、不慮の事故の発生予防に寄与するものである。

   脳血管疾患は、古くからわが国の死因の上位にあって、脳卒中等
  により意識障害を来した傷病者に住民が遭遇する例は多いが、この
  ような傷病者にとって最も大切な処置は速やかな気道確保と必要に
  応じての人工呼吸であり、その成否は予後に重大な影響を与える。

   心疾患のうち、とくに虚血性心疾患による死者は年間五万人で、
  内六〇%を急性心筋梗塞が占めているが、社会が高齢化しており、
  生活環境が欧米化しつつある現状では、従来より欧米での主要死因
  であるこれら虚血性心疾患がますます増加するものと予想される。

   急性心筋梗塞による死亡例は発症後一〜二時間に集中しており、心
  室細動を中心とした重症不整脈が主たる死因であることが知られて
  いる。

   心筋梗塞に伴う心室細動を含め、臨床的な心停止に陥った場合、
  脳は約四分間の血流停止によって重大な障害を受けるので、心停止
  に対する蘇生法は速やかに開始しなければ効果が乏しい。わが国で
  は、救急車を要請してから現場到着までの平均所要時間は五・七分
  となっている。したがって救急隊が到着する前に居合わせた人が心
  肺蘇生法を開始することが、救命のためにきわめて重要である。

   もし、居合わせた人によって心肺蘇生が直ちに開始され、救急隊
  員がこれを引き継ぎ、状況に応じて電気的除細動を行うのであれ
  ば、急性心筋梗塞は救命率のみならず社会復帰率も確実に上昇する
  であろう。このことは、たまたま医療従事者などがその場に居合わ
  せたり、病院内や、救急車内等で、直ちに心肺蘇生を開始した場合
  は蘇生率・社会復帰率ともに高いことから充分に実証されている。

   このように、傷病者の救命のためには住民による速やかな応急処
  置、救急隊員による処置と搬送、医療機関での処置の三者が不可欠
  の要素であり、その何れが欠けても良い結果は得られない。応急処
  置の住民への普及によって、傷病者に対し直後から適切な応急手当
  が行われるようになれば、救急隊員は現場到着して処置を継続・発
  展させることが可能となり、初めて傷病発生の瞬間から医療現場ま
  で処置が継続することになる。このことによって、傷病者の生命予
  後のみならず機能的予後に対しても計り知れない恩恵をもたらすこ
  とができる。

 (2) 行政的見地から

   住民に対する応急手当の普及啓発の必要性は、従来から日本医師
  会、日本救急医学会、日本赤十字社及び消防機関等によって叫ばれ
  ており、また、それぞれが 「救急の日」 及び 「救急医療週間」等の
  行事を中心に年間を通して、実際に応急手当の普及啓発活動を行っ
  てきている。

   しかし、それにもかかわらず、傷病の発生時に家族、通行人、そ
  の他の人が現場に居合わせながら、「動かさない方がいい」、「どう
  してよいかわからない」 などといった理由から、傷病者に対して何
  ら応急手当がなされずに放置され、救急車の到着までの貴重な時間
  を浪費し、救命のチャンスを逸したり、予後を悪くしている事例も
  少なくないのが現実である。このようなことから、救急隊が現場に
  到着する前に現場に居合わせた住民等による応急手当が適切に実施
  されれば救命率の向上に大きな効果があるところである.

   また、大地震のような大規模・広域的災害時には、必要に応じて
  担架等によって住民自ら搬送するよう協力を求め、軽症者について
  は、自己の手当に期待することも重要である。したがって、消防機
  関としては、応急手当の普及啓発を行って住民の自主救護能力の向
  上を図る必要がある。また、救急業務に関する広報をも併せて行う
  ことにより救急業務に対する住民の理解を深めることができ、これ
  らの結果として救急車の利用適正化等の効果も期待できる。このた
  め、住民に対する応急手当の普及啓発は、消防機関としても積極的
  に取り組んでいくべき課題である。

   近年、消防機関においては、住民に対する応急手当の普及啓発等
  の講習会を積極的に開催するところが増えてきているが、普及啓発
  にかかる予算も十分とは言えず、また、普及啓発にかかる人員も新
  規に確保することは困難で、少ない予算と人員の中で、それぞれの
  消防機関が他都市の事例を参考にしたり、自ら創意工夫を凝らして
  普及啓発を実施してきているのが実情である。応急手当の普及啓発
  のあり方や実際に普及啓発を実施する場合の要領等についてとくに
  定めたものはなく、消防機関からは、地域住民及び各種団体等の要
  望もあり、災害対策等のためにも、住民に対する応急手当の普及啓
  発に取り組みたいが、そのよるべき基準がなく不安を感じているな
  どの声も聞かれるところである。

   救急隊は平成四年四月現在、全国に四、二三七隊設置され、全人
  口の九九・三%がカバーされるまでになっている。平成三年八月の
  消防庁長官告示改正により、救急隊員の行う応急処置範囲が拡大さ
  れ、平成四年七月、救急救命士の運用が開始されるなど救急隊到着
  後、病院収容までの間での救命率向上のための施策が実現されてい
  くにあたり、応急処置の空白となる救急隊が到着するまでの間にお
  ける住民による応急手当の実施が救命率向上のための新たな鍵とし
  て従前にも増して重要となっている。

 表1−1
   性別・年齢別不慮の事故の死因順位
   (一九九〇年・人口動態統計)
   (省略)
 表1−2
  不慮の事故の種類別死亡数
   (一九九〇年・人口動態統計)
   (省略)

3 応急手当の普及啓発活動の現状
 (1) 他機関の動向
   わが国における応急手当の普及啓発については、とくに定められ
  た実施機関がないため、消防機関のほか、次に掲げる機関等におい
  ても、それぞれ独自に活動を実施している。

  ア 日本医師会・日本救急医学会等

    日本医師会・日本救急医学会等においては、昭和四十八年に米
   国で 「心肺蘇生法及び救急心臓治療の基準と指針」 が発表された
   のを受けて、昭和五十二年に 「救急蘇生法の指針」 を策定、その
   後昭和五十八年と平成二年に改訂し、わが国における救急蘇生法
   のあり方について、一定の基準を示している。
    また、普及啓発の実践面においても、各自治体、地域医師会等
   の主催する講習会に講師として赴き、講演、実技指導を行うなど
   普及に積極的に努めている。
    なお、日本医師会では、救急蘇生法の一般住民等への普及啓発
   について標準的な指導方法のガイドライン策定に向けた検討が進
   められている。

  イ 日本赤十字社

    日本赤十字社の行う救急法の講習には、救急法概論、心肺蘇生
   法、止血、外傷、急病、救護(包帯法、搬送法その他)等を講習
   項目とし、二十時間の講習を行う救急法普通科講習会、同様の講
   習項目を二〜三時間程度で行う救急法短期講習会、蘇生法の実技
   を中心に十時間以上の講習を行う蘇生法普通科講習会などがあ
   る。平成三年度の開催回数は救急法普通科一、三四四回、救急法
   短期六、五六六回、蘇生法普通科四一一回となっている。

    以上のほか、講習会の講師となるボランティアの指導員を養成
   するため、各支部の養成計画に基づき、講習時間二十七時間程度
   の高等科講習会(指導員養成講習会)を実施している。

  ウ 文部省、小・中・高等学校

    現行の学習指導要領では、中学校三学年の保健分野で、応急処
   置の具体的教育内容として、包帯法、止血法、人工呼吸法及び搬
   送法の基礎的方法と急病や障害の応急処置を取り上げ、実習を行
   うこととされている。なお、平成六年度からは、高等学校学習指
   導要領にも、保健分野の 「現代社会と健康」 の項に 「応急処置」
   の項目が新設され、心肺蘇生法等の応急処置の意義と方法につい
   て理解させ、必要に応じ実習を行うことになっている。

    また、教員に対しては、文部省、日本体育・学校健康セン
   ター、各都道府県教育委員会により、小・中学校、高等学校教員
   を対象に、それぞれ年一回、三時間程度、交通事故と応急処置、
   心肺蘇生法実習を内容とする講習会が開催されているほか、平成
   六年度の改訂後の高等学校学習指導要領の施行に対応するため、
   平成三年度から三年計画で高等学校教員に対する心肺蘇生法等の
   教育を実施中である。

  エ 厚生省、保健所

    厚生省では、保健所の行う地域保健活動の充実強化方策とし
   て、家族の健康管理及び老人のケアに重要な役割を果たす主婦等
   を支援するため、保健福祉教室等を開催しているが、平成三年度
   から、保健所が地域住民に対し、脳卒中、外傷等に対する応急的
   対処法等に対する知識及び技術の普及を図るための救急法等講習
   会が開始されたところである。

    実施内容例としては救急法、蘇生法、急病、誤飲等の手当、け
   がの手当、運搬法などがあげられ、海水浴場における監視員の水
   難事故に対する救急法等地域の特色を生かした講習会を含むもの
   とされ、開催回数は、一保健所あたり年間四回程度が目安とされ
   ている。

 オ 警察庁

   現在、自動車教習所、運転免許センター等の講習時に、ビデオ
  の上映等により普及啓発を行っているところである。

   また、交通事故により負傷した人に対して迅速な応急手当を講
  じることができるシステムを構築することを目標として、すべて
  の自動車運転者に対する救急蘇生法の普及方策を検討している。

 カ 日本交通福祉協会

   社団法人日本交通福祉協会は、救急法教育講習会の開催、救急
  法教本及び救急ハンドブックの刊行・頒布、蘇生訓練用人形の頒
  布等を行っている。

   平成三年度には、講習会を四十回開催している。講習は一回百
  人以上を予定し、救急専門医により観察法、負傷者移動法、気道
  確保、人工呼吸、心マッサージ、止血法、骨折・外傷の手当等に
  ついて、映画、スライド、実技等を含め四〜四・五時間行われ、
  受講者には受講証明書が発行される。

 キ その他

   そのほか、日本医学協会、日本水難救護会、全日本交通安全協
  会、中央労働災害防止協会、日本スイミングクラブ協会、ボーイ
  スカウト、ガールスカウト等の公共的機関、自動車会社を初めと
  する一部の民間企業等においてもそれぞれ一定の教育訓練が実施
  されている。

(2) 海外の普及啓発活動の状況

  ア アメリカ
   アメリカの住民に対する応急手当の普及啓発は、各都市におい
  て、アメリカ赤十字社、消防機関、医療機関、市の保健衛生部局
  等によりさまざまな形で行われているが、アメリカの住民に対す
  る応急手当の普及啓発の特徴に、心肺蘇生法教育が挙げられる。

   日本に比べ、アメリカでは心臓疾患がきわめて多く、これによ
  る死亡者も多数に上っている(注)。このため、既に一九六〇年頃
  から心肺蘇生法の普及に力が入れられ、アメリカ心臓協会(AHA)
  による統一的基準も早くから設けられている。一九七三年に
  はアメリカ心臓協会と全米科学アカデミー全国研究会議とが共同
  で、心肺蘇生法及び救急心臓治療の訓練基準についての提言を行
  い、アメリカ医学会誌に 「心肺蘇生法及び救急心臓治療の基準と
  指針」として発表された。この基準は全国的な心肺蘇生法教育の
  基準として活用され、その後の医学的進歩に対応し、一九八〇年
  及び一九八六年の二回にわたって改訂されている。

   この心肺蘇生法の住民への普及のため、中学・高校の必修科目
  である保健の授業において心肺蘇生法コースを設けることが法律
  で義務づけられているほか、全国的な教育訓練ネットワークが構
  築され、国を挙げて組織的な心肺蘇生法教育が行われている。全
  国的な心肺蘇生法教育の実施組織としては、アメリカ心臓協会と
  アメリカ赤十字社とがあり、この両者がそれぞれ心肺蘇生法の資
  格証明書を発行している。

 (注)心疾患による死亡率(一九八八年、人口一〇万人対)
    日本 一二九・四(厚生省人口動態統計)
     アメリカ 三〇一・八 (WHO World Health Statistics
                  Annual)
  一般住民に対するコースはおおむね4〜8時間程度であるが、
  より多くの住民への普及を図るため、現在一時間のコースも開発
  中である。また、大企業の中には労災対策の観点から自らトレー
  ニングセンターや蘇生訓練用人形を保有し、社員教育を行ってい
  るところもある。

   アメリカの心肺蘇生法資格認定は、一〜二年毎の更新制となっ
  ており、医師であっても講習を受講しない限り資格を取得できな
  いこととなっている。

   また、市民には心肺蘇生法等の応急手当を開始しなければなら
  ない法的義務はないが、重大な危険に直面している傷病者に対し
  て善意のボランティア等が行う応急手当について、重大な過失が
  ない限り、その結果を法的に問われないとの趣旨の規定、いわゆ
  る 「良きサマリア人法−Good Samaritan Laws」が多くの州にお
  いて定められ、しばしば裁判で採用されている。

 イ ドイツ

   ドイツにおける住民に対する応急手当の普及は、消防のほか民
  間の救急隊においても積極的に行われており、例えばバイエルン
  州赤十字には 「事故現場での応急処置」 「初期治療」 「心肺蘇生」
  「老人及び乳幼児の救急処置」「家庭での傷病看護」などのコース
  があり、資格を有するインストラククーによって講習が行われて
  いる。

   ドイツで注目すべきは、自動車免許保有に応急手当の受講が義
  務付けられていることで、小型車・普通車では八時間、大型車・
  バスではさらに十六時間の講習が赤十字を初めとして各機関で行
  なわれている。そのため傷病者に対する救護は 「人として当然の
  義務」 と解されており、もし看過すれば社会的に厳しく糾弾され
  る。

 ウ デンマーク
   デンマークにおける住民の応急手当に対する関心は、人口密度
  が低く自助努力が求められること、徴兵制があり臨戦体制にあっ
  たこと、ホームドクター制などの医療福祉体制により一次救急患
  者が救急医療施設を訪れることは殆どないこと、民間救急ファル
  クによる救急救助活動が総人口の九〇%をカバーしていることな
  どの理由により、きわめて高い。

   応急手当に関する知識・技術の指導は各自治体による成人学
  級、赤十字や軍による講習会において行われており、わが国の水
  準から考えれば、普及は促すまでもない状況である。

(3) 消防機関における普及啓発活動の現状と問題点

   消防機関では救急業務を通じて得た知諭・技術を活かして普及啓
  発活動に努めているが、近年の世論の高まりを背景に、普及啓発活
  動について今後も積極的に取り組むべき課題であるとの認識は強
  まっているものの、よるべき基準がないためにその取り組みにはか
  なりのばらつきがみられるのは前述したとおりである。

   本委員会において、消防機関の現状を知るためにアンケート調査
  を行った結果によれば、応急手当の普及対象者は、一般市民、事業
  所、町会・自治会等が中心となっており、普及項目の重点は心肺蘇
  生法となっているが、他に止血法等の実技を行っているところも多
  い。(表2−1)

   普及のための講習会は、消防機関が自ら計画を立てて実施する例
  より各種団体等の要請に応えて実施している例が多い。講習会は、
  公民館、学校等の公的施設を利用して行われており(表2−2)、曜
  日・時間を問わず要請に応じているが、受講者に認定証等を交付す
  るなどの対応を行っている消防機関は少数である。普及啓発指導に
  出向する場合にあっても救急出場への要請に応えなければならない
  ことを考慮して、講習会等での応急手当の指導には非番の救急隊員
  が対応する例や日勤の職員が対応する例もあるが、現状では当務の
  救急隊員があたっている例が最も多い。(表二−三)

   とくに指導員としての資格認定やその資格取得のための講習を
  行っている消防機関は少ない。
  消防機関でさまざまな対応を試みているなかで、応急手当の普及
  啓発を推進するための問題点としては、普及啓発活動のためのガイ
  ドラインがないため効果的に普及啓発を行うことに関して不安が否
  定できないこと、資機材についての補助制度等の財政措置がないと
  いうこと、国における各省庁間の連携が十分とはいえず、他機関と
  の連携が図れていないことなどが挙げられている。さらに、欧米に
  比べ日本人全体の応急手当の重要性についての認識が低いというこ
  とも問題であり、近年、マスコミ等でその重要性についてのPRが
  行われつつあるものの、未だ一般市民層へ十分に浸透しているとは
  言いがたいのが現状である。住民の支持・関心が少ないことは、ひ
  いては、普及啓発活動パンフレットの作成や蘇生訓練用人形の購入
  のための予算、あるいは応急手当の指導者にかかる人員の確保の障
  害となり、普及啓発活動の推進を困難にする要因となり得ると考え
  られる。

表二−一
  重点指導Lている普及項目(省略)
 表二−二             表二-三
    実 施 場 所(省略)     指導体制(省略)


 4 消防機関の行う普及啓発の対象者

  一人でも多くの住民が心肺蘇生法を習得し実施にうつすことができ
 れば、救命事例が着実に増えていくものと期待される。米国での調査
 研究によれば、成人人口の二〇%が心肺蘇生法の訓練を受けていれ
 ば、医療機関外で心停止となった患者の死亡率は有意に減少させるこ
 とができるとされている.

  現在わが国における応急手当の普及啓発については、いずれの行政
 機関の専管事務にも属しておらず、さまざまな機関が独自に対象者を
 設定してこれを行っているが、応急手当を住民に広く普及するために
 は、消防機関のみならず、これら各機関が連携・協力し、それぞれの
 できる範囲で啓発を推進していくことが必要である。

  消防機関では今後ともさまざまな住民層に対し応急手当の普及啓発
 に努めていく必要があるが、それら対象者を分別すれば、次のように
 なる。

 (1) 消防団員、婦人防火クラブ員、自主防災組織の指導者等
 (2) 防火管理者、自衛消防組織構成員、危険物取扱者等
 (3) PTA、ボーイスカウト、少年消防クラブ、各種スポーツの指導
   員
 (4) 民生委員、ホームヘルパー等の福祉関係者、各種ボランティア
 (5) 安全衛生管理者、酸素欠乏危険作業主任者等職場安全関係者
 (6) 教職員、学生、生徒等
 (7) その他消防機関の行う応急手当の講習会の受講を希望する者

  このうち、消防団員、婦人防火クラブ員、自主防災組織の指導者な
 どは従来より消防機関において指導育成しているところであるが、災
 害発生時の自主救護能力を向上させる観点から、応急手当の普及啓発
 対象とすべきである。地域住民の防災リーダーであるこれら対象者が
 応急手当を習得することにより、広く地域住民が応急手当の必要性を
 理解する効果も期待できる。

  また、消防機関では事業所の防火管理者を指導育成しているところ
 であるが、事業所内で火災等の災害が発生し従業員や利用者が負傷し
 た場合にはこれらの者に救護義務が生じるため、応急手当を習得させ
 る必要がある。また、従業員や利用者に急病等の事故が発生した場合
 も、これにより、事業所内で適切な応急手当を実施することができ
 る。

  なお、遊園地等遊戯施設、大規模物品販売店舗、旅館・ホテル、福
 祉施設、鉄道・バス会社、大規模工場、旅行会社、警備会社の防火管
 理者等については、とくに重点的に応急手当を普及すべきである。こ
 れらの業種にあっては、防火管理者等に応急手当を習得させるのみな
 らず、5に述べるように防火防災にたずさわる関係者を応急手当指導
 者として育成指導し、事業所内で自ら普及啓発を行うことによりすべ
 ての従業員に応急手当を習得させることが望ましい。

  また、上記(3)〜(6)に示す対象者は、応急手当の知識技術をその活動
 に生かす機会があると考えられ、また、従来より消防機関に対する依
 頼に応じて応急手当の講習を行っていたものである。これらの対象者
 に対しては他機関とも共同しながら今後とも応急手当の普及啓発を
 行っていくべきである。

5 普及項目及び普及方法

  住民に対する応急手当の普及啓発項目としては、救急車の利用法、
 心肺蘇生法の必要性の啓発など基本的なもののほか、

  A 救命に必要な心肺蘇生法及び大出血の場合の止血法、体位管理
  B 救護に必要な副子固定法、創傷処置、搬送法

  が考えられる。

  とくに消防機関の行う普及啓発では、このうち、A心肺蘇生法及び
 大出血の場合の止血法、体位管理(以下「救急蘇生法」という)が必
 須と考えられ、これらの講習にあっては、蘇生訓練用人形等の使用に
 よる心肺蘇生実習その他の体験講習を中心とすべきである。本委員会
 では、消防機関が住民に対して行う応急手当普及啓発講習の標準とし
 て、上記項目Aを習得させる講習(以下「普通救命講習」という。)及
 び上記項目A+Bを合わせて習得させる講習(以下「上級救命講習」
 という。)について講習時間、指導者数、修了証等のあり方など具体的
 な普及方法を以下のとおり提言する。

 (1) 消防機関が行う標準的な講習の種別と時間、指導者数等

  ア 普通救命講習(項目A) (表四−一)
    上述の対象者に対し、一般的に行われるべき講習である。
     (講習項目) 心肺蘇生法 (成人) 及び大出血の場合の止血
           法、体位管理対象者によっては心肺蘇生法(小
           児・乳児)を加える。
     (講習時間) 三時間程度
     (受講者数) 一回 三〇名以内
     (指導者数) 三名以上
     (講習資機材) 蘇生訓練用人形三体、その他
            (必要に応じて乳児・小児型蘇生訓練用人形)

  イ 上級救命講習(項目A+B) (表四−二)
    上述の対象者のうち比較的高度な講習をとくに希望する者に対
   し、行われるべき講習である。
     (講習項目) 心肺蘇生法(成人、小児、乳幼児) (一人法、二
            人法を含む。)及び大出血の場合の止血法、体
            位管理
            ならびに副子固定法、創傷処置、搬送法、その
            他
     (講習時間) 八時間程度
     (受講者数) 一回 三〇名以内
     (指導者数) 三名以上
     (講習資機材) 蘇生訓練用人形三体、乳児・小児型蘇生訓練
             用人形、三角巾、副子、担架、その他

   なお、ア、イとも、指導者の数については、例えば当務の救急隊
  員が講習・指導にあたる場合にあっては、三名(救急隊一隊) +一
  名(当務の救急隊員以外で日勤勤務に従事している職員等で、仮に
  救急隊員が出動命令を受けた場合にはこの一名でとりあえず講習を
  続行しょうというもの)の四名一組で対応する方法が実際的と考え
  られる。また、救急隊員以外の専任指導者を確保できる場合や、受
  講者が少なく講習に支障がないと判断される場合は、三名以下で対
  応することも差し支えないと考えられる。(応急手当指導者の養成
  にかかる講習ならびに指導者の資格要件については、5を参照。)

   なお、普通救命講習にあっては、講習を三時間を超えて行い、副
  子固定法、創傷処置、搬送法等についても適宜加えて指導すること
  を妨げるものではない。

 (2) 修了証・認定証の発行

   応急処置の講習を修了した者に対し、修了証等の証書を発行する
  ことは応急処置の意識づけを図り、普及促進をより一層推進してい
  く立場からも有意義な手段である。また、修了証等の証書交付につ
  いては、既に受講した多くの人々からも希望が寄せられており、再
  講習(教育)を行う場合においてもその管理する方法として有効な
  ものと考えられる。
   修了証・認定証は、いずれも携帯可能なものとする。

  ア 修了証
    (対象者) 所定のカリキュラムに基づく普通救命講習、上級
         救命講習を修了した者
    (様 式) 全国統一の様式とする。
    (有効期限) とくに定めないが、「定期的に再講習を受けるべ
          きである」旨を裏面に記載する。
    (発行・管理) 消防長又は消防署長が発行し、管理する。
  イ 認定証
    (対象者) 普通救命講習又は上級救命講習を修了し、かつ、
         効果測定に合格した者。
     (様 式) 全国統一の様式とする。
     (有効期限) 三年間とする。
            ただし、認定証更新の際は、再講習の受講を要
          するが、効果測定の受験は免除する。
     (発行・管理) 消防長又は消防署長が発行し、管理する。

 (3) 再教育
   応急手当は、特殊な行為であり、応急手当の講習を受けてから一
  年、二年経過するとほとんどの人が忘れてしまうことから、繰り返
  し指導していくことが重要である。再教育のあり方については今後
  検討すべきである。

 (4) 標準的な講習以外の講習のあり方
   従来より消防機関では救急車の利用法、心肺蘇生法の必要性の啓
  発など基本的な講習を短時間で多数の受講者を対象に行ってきたと
  ころであり、これらの講習は今後は標準とはしないものの、各消防
  機関において必要に応じて行われるべきである。また、項目Bのみ
  習得させる講習についても同様である。これらの講習については、
  (2)に定める全国統一様式による修了証等を発行するものではない
  が、各消防機関が任意の受講証等を発行することを妨げるものでは
  ない。

   なお、項目Bのみ習得させる講習の講習細目例について、表四−
  三に示す。

   また、消防機関の行う養成講習を受けた、事業所等の指導員が自
  ら行う講習会については、(1)に定める講習項目等に準じて行われる
  場合にあっても(2)に定める修了証等を発行するものではないが、必
  要に応じて消防機関が任意の受講証等を発行することを妨げない。

(参 考)
   心肺蘇生実習等実施上の留意事項

ア 感染防止
  救急蘇生法は、傷病者の生命を救うため重要であり、救急
 蘇生法を行うことにためらいがあってはならない。しかしな
 がら、救急蘇生法を行うことによって、行った本人に不利益
 が生じてはならない。

  現在、救急蘇生法を行うに当たって感染問題として注意し
 なければならないことにB型肝炎とHIV (エイズ)感染の
 問題がある。現在まで、救急蘇生法を行ったことによってこ
 れらのウイルスに感染したという報告はないが、今後とも感
 染防止のための配慮が必要である。

  応急手当の実施に伴う感染防止を徹底するうえからは、呼
 気吹き込み人工呼吸に際しては市販の一方弁つきディスポー
 ザブルマスク等を使用し、また必要に応じて、血液と接触し
 ないようビニール手袋を使用することが推奨される。

  現在までのところ、B型肝炎ウイルス感染者の唾液、エイ
 ズ(後天性免疫不全症候群)(HIV)感染者の唾液による感染
 の事実はない。

 しかし、両ウイルスとも血液感染するので、傷病者に外出血
 があり、救助者の皮膚、口唇付近、口腔内粘膜に創傷がある
 場合は、口対口人工呼吸で感染の可能性があり、ハンカチ、
 ガーゼ等を使用しても感染は防げない。

イ 到達目標としての継続時間
  心肺蘇生法については、救急自動車が現場へ到着するまで
 の時間以上を連続して行えるようにする必要がある。

6 指導者の資格要件と養成方法

 (1) 指導者の配置基準、指導体制

   住民からの応急手当指導の要望に応えるため、当面、救急隊の配
  置されている各署所に少なくとも一名の有資格(次項は参照)指導
  員を養成・配置し、消防機関の行う講習の指導にあたる必要があ
  る。その上で逐次有資格の指導員の増員を図り、住民からの開催要
  望に常時応えることのできる指導員数を早期に確保するよう努める
  べきである。

   なお、現状では、当務の職員が指導に対応する体制をとっている
  消防機関が多いが、有資格の指導員の早期育成や指導業務に専従で
  きる指導員の確保のためには、消防退職者を非常勤・嘱託等として
  活用する等の方策も検討する必要がある。

 (2) 指導者の養成と資格要件

  ア 指導者の養成
    応急手当の指導者は、消防職員の中から一定の技能を有すると
   認められる者を対象に養成することを基本に考えるべきである。
   なお、今後の消防職員の勤務時間の短縮及び救急出動件数の増大
   という情勢の中で、住民に対して応急手当の効果的な普及を図っ
   ていくためには、地域の実情に応じ、応急手当指導技能を有する
   消防退職者や消防団員の有効活用を積極的に図る必要がある。
    さらに、事業所等における応急手当指導者の養成が重要であ
   り、遊園地等遊戯施設、大規模物品販売店舗、旅館・ホテル、福
   祉施設、鉄道・バス会社、大規模工場、旅行会社、警備会社等の
   業種にあっては、事業所内で自ら普及啓発を行い、すべての従業
   員に応急手当を習得させることは有効な手段であることから、消
   防機関等は事業所内で応急手当を普及推進する指導者の養成に努
   めることが望ましい。

  イ 指導者の資格要件
    指導者の資格としては、消防機関が自ら実施する標準的な講習
   の指導者の資格である「第一種応急手当指導員」と、事業所等に
   おける当該事業所等の従業員等を対象とした応急手当普及啓発講
   習の指導者の資格である「第二種応急手当指導員」を設定し、養
   成を行う。資格取得者に対しては認定証を交付する。
    なお、消防退職者が資格取得する場合、実際に資格認定を受
   け、応急手当指導に当たる消防機関と、在職していた消防機関は
   同一である必要はない。

  (ア) 第二種応急手当指導員
    消防機関が自ら実施する、4(1)に定める標準的な講習の指導
   員たる資格とする。
    なお、4(1)ア、イに示した標準的な講習は、第一種応急手当
   指導員一名以上とその他の補助者が協同して行うものとする。
   (資格要件)
   a つぎの(a)〜(d)に該当する者で応急手当指導員講習 I(八時
    間、表五−一)を修了した者。
     ただし、(a)(b)に該当する者であって第一種応急手当指導員
    資格申請時点において、過去一年間に概ね三〇時間以上応急
    手当普及啓発業務に従事していたと所属消防長が認定した者
    については、講習 I の受講を免除する。
    (a) 現に救急救命土又は救急隊員の資格を有する消防職員
    (b) 過去に消防職員であって、消防機関在職中に取得した第
     一種応急手当指導員資格を有する者で、それが失効する以
     前にその更新を希望する者
    (c) 過去に消防職員であって、救急隊員の資格を有したこと
      がある者
    (d) 過去に消防職員であって、第一種応急手当指導員の資格
     を有していたが失効した者
  b 上記a(a)〜(c)のいずれにも該当しない消防職員又は過去に
   消防職員であった者で、応急手当指導員講習 I(二十四時
   間、表五−二)を修了した者。
  C 第二種応急手当指導員の資格を有する消防団員で、応急手
   当指導員講習III(十六時間、表五−三)を修了した者。
  (資格の有効期限)
  第一種応急手当指導員資格については、有効期限を設けない。
 ただし、消防機関在職中に第一種応急手当指導員資格を取得した
 消防職員が退職した場合は、資格は退職の日から二年間経過した
 時点で失効する。
  なお、第一種応急手当指導員を普及啓発に当たらせる消防機関
 は、当該指導員が医学の進歩や指導方法の標準が変更になった場
 合に十分対応できるよう必要な再教育の受講等について適切に配
 慮しなければならない。

 (イ) 第二種応急手当指導員

   事業所等において当該事業所等の従業員等を対象として事業
  所等が行う応急手当普及啓発講習会の指導を行うことができる
  資格とする。
  (資格要件)
  a 応急手当指導員講習IV(二十四時間、表五−四)を修了し
   た者。
  b つぎの(a)〜(c)に該当する者で応急手当指導員講習V(三時
   間、表五−五)を修了した者。
    ただし、第二種応急手当指導員資格申請時点において、現
   に(a)(b)に該当する者であり、かつ過去二年間以内に消防職員
   であった者については、講習Vの受講を免除する。

   (a) 救急救命士の資格を有する者
   (b) 過去に第一種応急手当指導員の資格を有していたが失効
     した者
   (c) 過去に消防職員であって救急隊員の資格を有したことが
     ある者
   (資格の有効期限)
   第二種応急手当指導員資格については三年で失効するものとす
  るが、応急手当指導員再講習(三時間、表五−六)を受講するこ
  とにより、更新できるものとする。

(3) 指導者養成講習と認定・登録のあり方

 ア 指導員の養成機関
   応急手当指導員の養成は、次の機関が行う。
   (ア) 第一種応急手当指導員(応急手当指導員講習I〜IIIを実
    施)
    各消防本部、都道府県(消防学校その他)、(財)救急振興財団
   (イ) 第二種応急手当指導員(応急手当指導員講習IV、Vを実
    施)
     各消防本部

 イ 指導員資格の認定・登録
   応急手当指導員資格の取得を希望する者に対しては、所定の講
  習を修了したことを養成機関の長が証明し、消防長が応急手当指
  導員資格を認定するものとする。所定の講習免除要件を満たす者
  については、現に在職する消防機関又は過去に在職した消防機関
  の消防長が認定するものとする。
   各養成機関・消防本部に応急手当指導員名簿を備え、有資格者
  に関する事項を登録するものとする。各養成機関の長は、資格を
  認定したときは、応急手当指導員認定証を交付するものとする。

 ウ 指導員養成を行う講師
   上記の応急手当指導員講習の講師には、医師、看護婦(士)、救
  急救命士等や、第一種応急手当指導員の資格を有する者で、か
  つ、応急手当指導に関する高度な技能と十分な経験を有する者が
  あたるものとする。
 (4) 指導体制の確保、指導者の専任化等
   消防機関は常に災害出場に備えるとともに、災害発生時には迅速
  に出場し、消防活動を実施しなければならないことから、応急手当
  指導を計画的かつ効率的に行うためには、今後地域の実状に応じて
  指導に専従できる救急指導員の確保に努めていくことが必要であ
  る。
 (5) 有資格指導員の広域的活用方法

   今後ますます普及啓発の拡大を図っていくうえで、有資格指導員
  の養成と効果的な活用方法が求められてくることから、登録機関な
  どを中心として、応急手当指導員を活用し近隣の消防機関等の求め
  に応じられるよう、広域的な普及啓発活動を支援する体制を組むこ
  とが必要である。

   また、(財)救急振興財団にあっては、第一種応急手当指導員資格者
  が指導員養成講習に当たる場合の講師としての技能を向上させる目
  的で、特別の講習開催の計画化を図る必要がある。
   同講習修了者は、都道府県、消防本部で行う指導員講習の講師と
  して人材登録し、要請に応じて斡旋・派遣する体制を組むものとす
  る。

7 普及啓発用資器材
   普及啓発用資機材としては、普及啓発広報車、蘇生訓練用人形、講
  習会用映画・ビデオ、小冊子・パンフレット、感染防止用資機材、指
  導者用マニュアルなどが必要となる。また、資機材に関する研究・開
  発も必要である。

 (1) 普及啓発広報車
   マイクロバスを改造し、応急手当のデモンストレーションのでき
  る仮設ステージを備え、蘇生訓練用人形等の資機材を積載するもの
  で、住民の応急手当習得に対する意識高揚を図り、応急手当講習会
  を効果的に運営するために有効である。現在は大都市を中心に全国
  二十九本部(平成三年度現在)に配置されているが、今後は、地域
  の実状にあわせて整備を推進することが望ましい。

 (2) 蘇生訓練用人形
   心肺蘇生法等の実技指導に不可欠な資機材である。現在、全国消
  防機関の九四・三%に配備されており、住民への普及啓発と隊員の
  訓練に用いられている。

   今後は、救急隊の配置されている各署所に成人型人形三体を標準
  として配備すべきである。さらに、消防本部ごとに乳児型人形及び
  小児型人形も適宜配備すべきである。また、地域の実状に応じて、
  都道府県等が人形を保有し、消防機関の求めに応じて貸し出す方法
  での配備も考えられる。

   なお、消防機関が行う講習に支障を生じない範囲において、事業
  所等が行う講習に貸し出すことも積極的に考慮すべきである。

   なお、指導を効率よく、かつ、客観性をもって行うために記録機
  能付きで全身モデルの人形が望ましいと考える。

 (3) 映画・ビデオ

   応急手当習得の意義を理解させ、習得の動機付けとするために有
  効な資機材である。現在、七〇%以上の消防機関において、市販の
  ものを購入して使用している。

   今後は、市販のものや、一部の消防機関で独自に作成しているも
  のに関する情報収集・提供を全国的に行うしくみを整えることが必
  要である。

 (4) 小冊子・パンフレット等

   講習参加者に手渡しできるもので、講習のテキストとして、ま
  た、自宅等に持ち帰り復習するためのものが必要である。現在約半
  数の消防機関で独自に創意工夫しなんらかの小冊子・パンフレット
  等を用意している。

   今後は、国等において図解を中心としたパンフレット例を作成す
  ることが必要で、それをもとに消防機関で適宜、調整・複製を行
  い、自ら行う講習及び事業所等で行う講習の受講者に配布すべきで
  ある。

 (5) 感染防止用資機材

   応急手当指導に当たっては、感染防止に関する指導が必要であ
  り、とくに口対口人工呼吸を行う場合、従来よりハンカチ等で傷病
  者の口を覆うなどと指導してきたが、最近、ポケットマスクや、一
  方弁つきディスポーザブルマスクなど携帯用の感染防止用資機材も
  市販されている。人形を利用する実技指導に際しては、これらのこ
  とを踏まえて対応するものとするが、実際の傷病者に遭遇する場合
  に備えて、これらの資機材を受講者に配布又は消防庁舎内の売店で
  販売するなどの方法を検討すべきである。

 (6) 指導者用マニュアル

   従来、応急手当の指導者用マニュアルはほとんど作成されておら
  ず、各消防機関あるいは指導者個人の経験・知識をもって指導に当
  たっているところである。

   今後、応急手当の講習内容の統一が図られ、各消防機関、事業所
  等での普及啓発を推進するにあたっては、各講習に対応する指導者
  マニュアルを作成し、配布する必要がある。

 (7) 講義用資機材
   映写機、ビデオ装置、拡声装置、OHP等の視聴覚資機材や、人
  体模型その他の資機材を必要に応じて整備するべきである。

 (8) その他
   普及啓発用資機材は、従来国内でのニーズが必ずしも高いとは言
  えなかったこともあり、国内企業は商品開発を積極的に行っていな
  い。したがって、蘇生訓練用人形等は輸入品で高価である。
   今後は、消防機関における資機材のニーズが高まることから、国
  内企業に働きかけ、消防機関にとって使いやすい商品の開発・改良
  を推進する必要がある。

8 全国的推進方策

 (1) 国の役割
   救急事故現場において、居合わせた人が心肺停止状態の傷病者に
  対し直ちに心肺蘇生法等を実施できるようにするためには、応急手
  当の講習について心肺蘇生法を主たる内容とし、かつ蘇生訓練用人
  形等を用いて住民自らが実習を行えるようにすることが必要であ
  る。このような心肺蘇生法を主体とした住民体験型の普及啓発活動
  や大規模災害時における住民の自主救護能力の向上を全国的規模で
  促進するためには、国としても積極的に普及啓発活動の実施に当た
  る消防機関等、都道府県を支援することが必要である。

   国は、消防機関等の実施する応急手当の普及啓発活動を支援する
  ために、当面次に掲げるような施策を実施すべきである。

  ア 応急手当普及啓発活動実施要綱の策定と指導員資格認定制度の
   創設
    消防機関が住民に対して応急手当の普及啓発を行う場合の主な
   普及対象者、標準的なカリキュラム、標準的な実施方法等を定め
   る「応急手当普及啓発活動実施要綱」を策定することにより、全
   国的なカリキュラムの標準化、組織的な普及体制の確立を図ると
   ともに、消防職員又はその退職者を中心とした「応急手当指導
   員」の認定制度を創設する。

  イ 指導者用マニュアルの作成
    「応急手当普及啓発活動実施要綱」や「応急手当指導員」の認
   定制度等に基づき、各講習に対応する基本的な指導者用マニュア
   ルを作成する。なお、このマニュアルは、各都道府県、各消防機
   関の協力により、地域の実情に即応したものに調整のうえ、運用
   されるべきものである。

  ウ 応急手当指導員講習の支援
    (財)救急振興財団を中心として、応急手当指導員資格取得講習の
   講師にあたる職員等の資質向上のための講習を実施する。なお、
   第一種応急手当指導員の資格取得講習は、都道府県消防学校、各
   消防本部等を中心に実施するが、(財)救急振興財団では、その講師
   の斡旋等の支援を行うとともに、自らも第一種応急手当指導員資
   格取得講習を行い、指導員の養成に努める。

  エ 応急手当普及啓発にかかる経費に対する財政措置
    消防機関による普及啓発用資機材の整備、住民に対する応急手
   当普及啓発のための講習会の開催、消防機関や地方公共団体が実
   施する指導員養成講習会の開催等応急手当の普及啓発を実施する
   ために必要となる経費について、十分な財政措置を講じる。

  オ 普及啓発にかかる広報
    応急手当習得の必要性を広く住民に広報する。広報の重点は、
   心肺蘇生法等の救命手当とし、「救急の日」、「防災の日」等あらゆ
   る機会を利用する。広報は、テレビ・ラジオ・新開雑誌等や、ポ
   スターの掲出、パンフレット配布等によるものとする。また、こ
   れらの広報は、国のみならず都道府県、市町村、消防機関、その
   他医療関係団体と連携・協力して行う。

 (2) 都道府県の役割
   都道府県は、消防機関の実施する応急手当の普及啓発活動が、効
  果的に展開することのできるよう、次の事項に留意し事業を進め
  る。

  ア 消防機関や地方公共団体の行う指導者養成講習会
    当面は、ある程度まとまった人員の養成が必要となることか
   ら、養成にあたっては標準的なカリキュラムにより、それぞれの
   消防機関や地方公共団体が独自に講習会を開催することや、地域
   ごとに共同で行ったり、都道府県単位で開設するなど、それぞれ
   の地域の状況に応じた対応を図っていく必要がある。
    なお、当然のことであるが、将来的には恒常的に指導者の養成
   ができるシステムを定着させる必要がある。

  イ 消防学校における教育
    都道府県単位における応急手当指導員講習については、受講対
   象者の多くが消防職員であることや、資機材、講師の確保などの
   条件に鑑み、それぞれの消防学校を中心に行うことが適当である
   が、地域の実状に応じて、(財)救急振興財団、各消防機関及び他の
   消防学校とも連携しつつ推進するものとする。
    また、将来的には消防学校専科教育救急科への入校生につい
   て、指導員として標準的なカリキュラムに基づき専科教育の受講
   と同時に指導員資格の取得ができる方策も考えられることから、
   この方策についても検討する。

  ウ 普及啓発用資機材の整備促進
    ほとんどの団体が、救急隊員の訓練用資機材を共用して普及啓
   発を行っており、必ずしも満足できる状況ではない。
   市町村における普及啓発用資機材の整備は、それぞれの団体に
   おける保有の促進を図りつつ、都道府県においても、指導員養成
   講習会や住民に対して行う講習会に必要な資機材の貸出しを目的
  として整備し、その有効活用を図るものとする。

 (3) 市町村・消防機関の役割

 ア 応急手当の普及啓発に関する基本計画の作成
   救命率の向上を図るには、救急現場にいあわせた住民による迅
  速、的確な応急手当が最も重要であり、指導にあたっては統一的
  な基準によって行われることが重要である。各消防本部において
  は、それぞれの管内の規模、普及啓発対象者の状況等に応じて指
  導員の養成方法や、講習会の開催など、普及啓発活動の実施に必
  要な計画を策定するとともに、さらに、いつでも、どこでも、誰
  にも容易に受講できるような普及啓発体制の確立を図る必要があ
  る。

 イ 普及対象者の拡大
   従来、各消防署等で実施してきた応急手当の訓練指導は、指導
  要請があった場合、それに応じて指導するという傾向があった
  が、今後は様々な機会をとらえて、応急手当の重要性を住民に広
  く浸透させ、普及対象者の拡大に向けて積極的な働きかけを行う
  必要がある。

 ウ 住民意識の高揚
   住民の応急手当に対する受講意欲を高揚させるには、その重要
  性を十分に認識させていくことが普及啓発の基本である。現在、
  各消防本部においては「救急の日」等の機会をとらえて住民の意
  識高揚を因っているが、今後「救急の日」及び「救急医療週間」
  はもちろんのこと、マスコミや市政だより等の広報紙を活用し
  て、年間を通しての広報活動も必要である。

   内容については、応急手当を行ったことによる救命事例を紹介
  するなど、なぜ応急手当が必要かを具体的に住民に理解させるな
  どの方策を検討していく必要がある。また、講習会への積極的な
  参加を促すため、ビデオ、映画等の視聴覚機材の活用、医療講演
  等との併設、修了証・認定証等の発行など、講習会を魅力あるも
  のとして企画運営に留意する必要がある。

 エ 指導者の養成と指導体制の確立
   応急手当の普及啓発の重要性を勘案すると、指導者としての資
  質を備えた専従指導担当員を配置することが理想であるが、当面
  は消防本部の実情により配置の点で困難な面があることを考慮す
  ると、主として救急隊員が通常の救急出動に支障をきたさないよ
  う配慮しつつ応急手当の住民指導に従事する例が多いものと考え
  られる。今後、普及啓発の拡大を積極的に図るためには、救急隊
  員以外の消防職員、消防機関退職者、その他を指導者として養成
  するよう努めるべきであり、このための講習会開催、講師確保等
  の対応が必要である。

 オ 普及啓発用資機材の整備
   応急手当の普及啓発を効果的に推進するには、十分な資機材の
  整備がその効果を左右することから、なるべく早い時期に配備目
  標に到達できるよう資機材の整備が望まれる。
   普及啓発用の資機材としては、救急普及啓発広報車、実技指導
  用の蘇生訓練用人形、視聴覚教材用としてビデオ、映画、パネ
  ル、普及啓発用小冊子、感染防止用資機材等があるが、とくに蘇
  生訓練用人形については、受講者が多数の場合であっても、必ず
  実習を体験できるだけの数が望まれることから優先的に整備して
  いくことが必要であり、さらに、消防本部の実情に応じた普及啓
  発に必要な資機材を計画的に整備していく必要がある。

 (4) 関係省庁及び団体との連携方策
  以下の省庁・団体に対しては、それぞれの行っている普及啓発活
 動を踏まえながら、各種行事の運営協力や、講師派遣等、相互の連
  携方策を検討する必要がある。

  なお、普及啓発にあたっては、日本医師会・日本救急医学会の作
 成する 「救急蘇生法の指針」 に準じて普及啓発を行うものとする。
  また、今後運転免許取得時に応急手当の習得が義務づけられる場
 合には、消防機関等で受講した講習を義務講習の一部とみなす等の
 調整が図られることが望ましいと考える。

  ア 厚生省(都道府県衛生担当部局・保健所)
  イ 文部省(都道府県教育担当部局・各地域教育委員会・小・中・
   高等学校)
  ウ 警察庁(都道府県警察本部)
  エ 総務庁(都道府県交通安全担当部局)
  オ 日本医師会・日本救急医学会等
  カ 日本赤十字社
  キ 日本交通福祉協会等の団体
  ク その他各地域で応急手当の普及啓発にあたっている団体


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