・住民に対する応急手当の普及啓発活動の  推進について
             平成五年三月三十日 消防救第四十二号
             都道府県消防主管部長あて 消防庁救急救助課長

  救急隊の現場到着前において、救急事故現場に居合わせた住民により
 適切な応急手当が行われることは、傷病者の救命率の一層の向上につな
 がるものであり、消防機関の行う救急業務の効果を高めるものである。
 さらに、住民による応急手当の習得は、大規模災害時における住民の自
 主救護能力の向上にも資するものである。

  このため、各消防機関では、従前から、住民に対する応急手当の普及
 啓発に努めてきたところであるが、今般、「応急手当の普及啓発活動の
 あり方検討委員会」の報告書を踏まえ、応急手当の普及啓発活動の推進
 に関する実施要綱(平成五年三月三十日付け消防救第四十一号)を定
 め、あわせて救急業務実施基準の一部を改正し、消防機関による住民に
 対する応急手当の普及啓発をより効果的かつ積極的に推進することとし
 たところである。

  ついては、貴職におかれては、下記事項に十分留意され、住民に対す
 る応急手当の普及啓発活動が積極的に実施されるよう、貴管下市町村
 (消防の事務を処理する一部事務組合を含む。)をよろしくご指導願い
 たい。

      記

 1 各消防本部においては、応急手当の普及に対する住民の要望に応え
  るため、応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱(以下「実
  施要綱」という。)に基づき、普及啓発活動に従事する応急手当指導員
  等の養成や普及啓発用資機材の整備を図るなど、普及啓発活動の実施
  体制の整備に積極的に努められたいこと。

 2 「実施要綱」では、応急手当の普及講習にあたっては、垂篤な傷病
  者の救命にかかわる心肺蘇生法及び大出血時の止血法を普及項目の中
  心とするとともに、蘇生訓練用人形等を用いた実技指導を重視し、受
  講者が心肺蘇生法等の実技の習得ができることを目標としているもの
  であること。

 3 上記2に基づき、普通救命講習及び上級救命講習(以下「標準的講
  習」という。)のカリキュラム、講習時間等の標準が定められているの
  で、標準的講習の実施にあたっては、実習指導者の配置を適切に行う
  など実技実習の円滑な実施について特に配慮されたいこと。

   なお、標準的講習において受講者の効果確認を行うにあたっては、
  実技を中心として計画されるとともに、講習修了者に対しては、努め
  て再講習の受講をすすめ、習得した知識及び技術の維持を図るよう指
  導に努められたいこと。

 4 応急手当の普及啓発は、すべての住民を対象とするものであり、住
  民に対する普及講習の定期的な開催、住民からの要望に応えての応急
  手当指導員の派遣など、地域の実情を踏まえつつ普及方策について工
  夫を決らし、積極的に取り組まれたいこと。

   なお、応急手当の早期かつ効果的な普及を図る上からも、住民を指
  導する立場にある消防団員や自主防災組織の指導者等に対する普及啓
  発の促進に配慮するとともに、事業所や防災組織等が自ら当該事業所
  の従業員や防災組織等の構成員を対象として普及講習を行う際の指導
  者となる応急手当普及員の養成にも努められたいこと。

 5 応急手当の普及啓発活動を推進するためには、応急手当に関する正
  しい知識と技能を有し、その効果的な指導法を習得した指導者を確保
  することが、特に重要であることに照らし、応急手当指導員及び応急
  手当普及員の認定制度を新たに設けることとしたものであること。

 6 応急手当指導員は、消防機関の行う標準的講習の指導(住民等の要
  請に応じて消防機関が指導者を派遣し普及指導する場合を含む。)に、
  また、応急手当普及員は主として事業所又は防災組織等において当該
  事業所の従業員又は防災組織等の構成員を対象とした普通救命講習の
  指導に、それぞれ当たる者であること。

 7 「実施要綱」6(2)及び同11(2)に定める応急手当指導員講習及び応急
  手当普及員講習の講習時間、講習内容等については、消防職員に対す
  る初任教育及び救急 I 課程等の専門教育、救急救命士の養成課程等に
  おける応急処置に係る履習時間等を勘案して定められたものであるこ
  と。

   なお、実施要綱6(2)IIにおいて消防職員と同等以上の知識及び技能
  を有すると認められる者については、応急手当に関して消防職員の初
  任教育と同等以上の講習を消防学校で修了した消防団員を対象とする
  ものであり、当分の間該当者の認定にあたっては予め当庁と協議され
  たいこと。

 8 応急手当指導員講習については、各消防本部、都道府県及び消防庁
  長官が別に指定するもの(以下「指導員養成機関」という。)が実施す
  るものであるが、その修了者に対する応急手当指導員の認定は、指導
  員養成機関からの修了に関する通知をもとに、各消防本部の消防長が
  行うものであること。その際、修了者が消防職員である場合にはその
  所属する消防本部の消防長が、また、修了者が消防職員以外の者であ
  る場合には、当該修了者の住所地を管轄する消防本部の消防長が認定
  することとしているので、各消防本部では該当者の認定及び名簿への
  登録事務に遺漏なきようされたいこと。

 9 「実施要綱」6(2)IVの「応急手当の普及業務に関し、前各号に掲げ
  る者と同等以上の知識及び技能を有する」と認められる者について
  は、救急医療に従事している医師、看護婦(士)等の資格を有してい
  る者を予定しているものであること。

 10 「実施要綱」7の「消防庁長官が別に指定するもの」については、
  当面、財団法人救急振興財団を指定する予定であること。また、都道
  府県及び市町村において、同様の公益法人等を活用して応急手当指導
  員講習の実施等応急手当の普及業務を行わせようとする場合には、予
  め当庁と十分協議されたいこと。

   なお、財団法人救急振興財団では、応急手当指導員講習の開催、都
  道府県及び消防本部における指導員養成講習の講師の斡旋、普及啓発
  用資機材の整備の支援等の業務を行うことを予定しているので、各都
  道府県及び消防本部においてもその活用を図られたいこと。

 11 応急手当の普及啓発活動における感染症の防止対策については、従
  前からも「救急業務等の実施に当たってのAIDS感染防止対策の確
  立について」(昭和六十二年四月三十日付け消防救第三十八号)等に
  基づき対処願っているところであるが、住民の不安を払拭し応急手当
  の普及啓発活動を円滑に推進する上からも、普及講習に際し蘇生訓練
  用人形の消毒、滅菌等の処置を行うほか、ビニール手袋の使用や人工
  呼吸を行うに際しての一方弁つきディスポーザブルマスクの使用等に
  ついても適宜指導するなど、感染防止対策について配慮されたいこ
  と。

 12 「実施要綱」の施行日については、新たな普及啓発活動の実施方法
  の周知、実施体制の準備等にも配慮して平成五年十月一日とされてい
  ること。
   なお、附則第二項の取り扱いに関しては、別途通知を予定している
  ので留意されたいこと。



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