・患者等搬送事業指導基準等の作成について
             平成元年十月四日 消防救第百十六号
         各都道府県消防主管部長あて 消防庁救急救助課長
 近年における国民意識の変化や人口の高齢化等を背景として、最近、
寝たきり老人、身体障害者、傷病者等(以下「患者等」という。)を対象
に、これらの者の医療機関への入退院、通院及び転院並びに社会福祉施
設への送迎に際し、ベッド等を備えた専用車(以下「患者等搬送用自動
車」という。)を用いて搬送を実施する事業(以下「患者等搬送事業」と
いう。)が次第に普及しつつある。

 患者等搬送事業が事業活動を展開していくことは、このような社会的
ニーズの高まりに対応するものであり、今後も増加していくものと思わ
れる。

 しかしながら、他方患者等を搬送の対象とする限り、容体の急変、患
者等間の疾病の感染等の不測の事態の発生も予測されるところであり、
利用者の安全、利便を確保するためには、消防機関との連携体制、搬送
業務に従事する者の資格、患者等搬送用自動車の構造等について一定の
基準を定め、患者等搬送事業の質的向上を図って行くことが必要であ
る。

 このため、消防機関が患者等搬送事業を指導する際の基準として、別
添一「患者等搬送事業指導基準」(以下「指導基準」という。)を作成す
るとともに、指導基準に適合する患者等搬送事業を広く住民に公表する
ための事務処理基準として別添二「患者等搬送事業認定基準」を作成し
たので、管下市町村に対してこの旨示達のうえ、趣旨の徹底を図るとと
もに、その実施についてよろしく御指導願いたい。

 なお、患者等搬送用自動車を用いず、例えば一般のタクシーを用いて
同種の業を行う事業形態も増加しつつあるが、このような事業に対して
も、実情に応じて、指導基準に準じて指導することが適当であるので念
のため申し添える。


別添一 患者等搬送事業指導基準
指導事項
           指導内容
1 事業実施の基本原則
 (1) 患者等搬送事業を行う者(以下「患者等
  搬送事業者」という。)は、患者等からの通
  報の適正処理及び患者等の搬送技能の向上
  に努めること。
 (2) 患者等搬送事業者は、緊急性のない者を
  搬送対象とすること。
 (3) 患者等搬送事業者は、事業の社会的責任
  を十分自覚し、関連法規を遵守すること。

2 消防機関との連携
  患者等搬送事業者は、次の各号の一に該当
 する場合は、一一九番等により、患者等の居
 る場所、状態、既往症、掛かり付けの医療機
 関等を消防機関に通報し、救急自動車を要請
 すること。
 @ 患者等からの要請時点において、緊急
  に医療機関へ搬送が必要である場合。
   なお、この場合は、併せて乗務員を派
  遣すること。
 A 要請者の依頼場所に到着時点におい
  て、緊急に医療機関に搬送する必要があ
  る場合。
 B 患者等の搬送途上において、緊急に医
  療機関に搬送する必要がある場合。

3 乗務員の要件
  患者等搬送用自動車に同乗し搬送業務に従
 事する者(以下「乗務員」という。)は、満十
 八歳以上の者で、次の各号のいずれかに該当
 する者をもって充てること。
 (1) 別記第一に掲げる消防機関が行う講習を
  修了した者。
 (2) 別記第二に掲げる前号の者と同等以上の
  知識及び技能を有する者。

4 患者等搬送乗務員適任証の交付
 (1) 消防長は、3の(1)及び(2)の該当者に対し
  て、別記様式第一号に定める患者等搬送乗
  務員適任証(以下「適任証」という。)を交
  付すること。
 (2) 適任証の有効期間は、二年間とするこ
  と。ただし、6で定める定期講習を受けた
  者についてはさらに二年間有効とし、それ
  以降も同様とすること。

5 適任証の携行
  乗務員は、搬送業務に従事するときは、適
 任証を携帯すること。

6 定期講習
  患者等搬送事業者は、乗務員の応急手当技
 能を適切に管理するため、適任証の交付を受
 けた乗務員に、二年に一回以上消防機関の行
 う別記第三に掲げる定期講習を受講させるこ
 と。

7 運行体制
  患者等搬送事業者は、患者等搬送用自動車
 一台につき二名以上の乗務員をもって業務を
 行わせること。ただし、退院等を目的とした
 運行をする場合、又は医師若しくは看護婦等
 が同乗する場合は、乗務員を一人とすること
 ができること。

8 患者等搬送用自動車の要件
  患者等搬送用自動車は、次の各号に掲げる
 構造及び設備を有するものであること。

 @ 十分な緩衝装置を有すること。
 A 換気及び冷暖房の装置を有するもので
  あること。
 B 乗務員が業務を実施するために必要な
  スペースを有するものであること。
 C ストレッチャー及び車椅子等を確実に
  固定できる構造であること。
 D 自動車電話又は無線機等、通信、連絡
  に必要な設備を有していること。

9 車両の外観
  患者等搬送用自動車は、サイレン又は赤色
 警告灯を装備するなど、救急自動車と紛らわ
 しい外観を呈していないこと。

10 積載資器材
  患者等搬送用自動車には、別記第四に掲げ
 る資器材を積載すること。

11 消毒
  患者等搬送用自動車及び積載資器材の消毒
 は、次により行うこと。
 @ 定期消毒   毎月一回以上
 A 使用後消読  毎使用後
 B 医師から消毒について特別な指示があ
  った場合は、指示に基づいた消毒を行う
  こと。

12 衛生安全管理
 @ 患者等搬送用自動車及び積載資器材に
  ついては、点検整備を確実に行い、清潔
  保持に努めること。
 A 乗務員の服装は、患者等搬送業務にふ
  さわしいものとし、清潔の保持に努める
   こと。
13 事業案内
  パンフレット等の事業案内には、救急隊と
 同レベルの活動ができるかのような表現はさ
 けること。



別添二 患者等搬送事業認定基準

認定手続
       手続き内容等

1 認定対象となる患者等搬送事業者
  認定対象となる患者等搬送事業者は、道路
 運送法に定める次の者とする。
 @一般乗用旅客自動車運送事業免許取得
  者
 A一般乗用(患者等輸送限定)旅客自動
  車運送事業免許取得者
 B一般貸切旅客自動車運送事業の免許取
  得者
 C 特定旅客自動車運送事業の許可を受け
  た者
 D 無償自動車運送事業の届出者

2 認定の申請
  認定を受けようとする患者等搬送事業者
 は、当該事業所を管轄する消防長に対し認定
 を申請するものとする。

3 認定の審査
  消防長は、別記第五に示す認定審査基準表
 により審査を行うものとする。

4 認定マークの交付
 (1) 消防長は、認定審査基準に適合Lた患者
  等搬送事業者(以下「認定業者」 という。)
  に対し、別図1に示す患者等搬送事業者認
  定マーク及び別図2に示す患者等搬送用自
  動車認定マークを交付するものとする。
 (2) 消防長は、審査の結果、認定しない場合
  は、その理由を付して患者等搬送事業者に
  通知するものとする。

5 認定の有効期間
  認定の有効期間は、認定を受けた日の翌日
 から起算して五年とする。

6 認定の更新
 (1) 認定業者は、認定の有効期間の満了後も
  引き続き認定を受けようとするときは、消
  防長に更新を甲請するものとする。
 (2) 更新時の手続きは、認定時の手続きを準
  用するものとする。

7 認定マークの亡失等
  認定業者は、認定マークを亡失し、又は滅
 失したときは、速やかに消防長に届け出て認
 定マークの再交付を受けることができるもの
 とする。

8 事業の休止等
  認定業者は、患者等搬送事業の全部若しく
 は一部を休止し、又は廃止したときは、消防
 長に届け出るものとする。

9 認定の失効
  次の各号の一に該当するときは、認定はそ
 の効力を失うものとする。
 @ 道路運送法に定めるところにより、運
  輸大臣の免許等が取り消され又は失効し
  たとき。
 A 患者等搬送事業を廃止したとき。
 B 認定の有効期間が満了したとき。

10 認定業者の責務
 (1) 認定業者は、指導基準を誠実に履行しな
  ければならない。
 (2) 認定業者は、患者等搬送業務実施中、搬
  送業務の遂行に支障を及ばす重大な事故を
  発生させたときは、消防長に報告するもの
  とする。

11 認定業者の調査
  消防長は、少なくとも年一回以上認定業者
 に対し、指導基準の履行状況について調査す
 るものとする。

12 認定の取り消し
  消防長は、次の各号の一に該当するとき
 は、認定を取り消すことができる。
 (1) 認定業者が指導基準を遵守しないとき。
 (2) 業務の遂行に当たって、重大な事故を発
  生させたとき。
 (3) その他、認定を継続することが、不適当
  と判断されるとき。


別記第一  消防機関の行う講習

 1 消防機関の行う講習

課 目
          時間数
総   論             一
観察要領及び応急措置       十三
体位管理要領            二
消防機関との連携要領        二
車両資器材の消毒及び感染防止要領  二
搬 送 法             二
修 了 考 査           二
合   計           二十四

*課目の一時間は、四十五分とする。

2 講 師
  上記に掲げる講習の講師は、次のいずれかに該当する者をもって
 充てるものとする。
 @ 救急隊長として三年以上の実務経験を有する者で、消防長が適
  任と認めた者
 A 消防大学校の救急科課程の修了者で、消防長が適任と認めた者
 B 消防学校の救急科課程の教官として二年以上の経験を有する者
  で、消防長が適任と認めた者

3 乗務員の修了考査実施基準
  修了考査は次の内容とし、八十点以上を以て合格とする。

  区 分     課 題       配 点

  実技    観察要領及び応急措置  六十点
  筆記    消防機関との連携要領    二十点
        車両資器材の消毒及び感染
        防止要領        二十点
  合 計                百点



別記第二 消防機関の行う適任者講習を修了した者と同等以上の知識及
    び技能を有する者
     次表の通り
分類
 1 消防法施行令第四十四条に定める救急業務に関する講習課
  程を修了した者。
 2 日本赤十字社の行う応急処置に関する講習を受けた者で、
  資格の有効期間内の者。ただし、消防機関の行う適任者講
  習に不足する課目については、消防機関の行う講習を受講
  すること。
 3 上記、1及び2に掲げる者以上の知識及び技能を有すると
  消防長が認めた者。


別記第三 定期講習

 1 定期講習は、次の表に掲げるものとする。
  課目           時間数
  観察要領及び応急措置 二
  体位管理要領     一
  合    計     三

 *課目の一時間は、四十五分とする。

 2 講 師
   適任者講習と同じ。


別記第四 患者等搬送用自動車に積載する資器材

項目        資器材名
  呼吸管理用資器材
            マスクバッグ
            ポケットマスク
  保温用等資器材
            敷物
            保温用毛布
            担架
            まくら
  創傷等保護用資器材
            三角巾
            ガーゼ
            包帯
            タオル
            ばんそうこう
  消毒用資器材(車両・資器材用)
            噴霧消毒器
            各種消毒薬
  その他の資器材
            はさみ
            マスク
            ピンセット
            手袋
            膿盆汚物入れ
            体温計等


別記第五 認定審査基準表
  事業所名
  所在地
  電話( )
  管理責任者・職氏名

審査項目           判定   不適内容
1 乗務員の資格要件      適・不適
2 一台あたりの乗務体制    適・不適
3 患者等搬送用自動車
   (1) 緩衝装置      適・不適
   (2) 換気及び冷暖房装置 適・不適
   (3) 室内のスペース   適・不適
   (4) ストレッチャー等の
     固定         適・不適
   (5) 通信、連絡装置   適・不適
4 車両の外観         適・不適
5 積載資器材         適・不適
6 車両・資器材の消毒体制   適・不適
7 乗務員の服装        適・不適
8 パンフレット等の表示    適・不適
9 免許の取得等        適・不適
備考

別記様式第1号
(略)



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