・救急隊員の行う応急処置等の基準の一部改正等について

               平成三年八月五日 消防救第七十七号
               各都道府県知事あて 消防庁長官

 救急に対する国民のニーズの高まりに的確に対応し、傷病者の救命率
の向上を図ることは、我が国の喫緊の課題である。

 自治省消防庁としては、救命率の向上を図るためには、救急隊員の行
う応急処置の範囲を拡大することが、現実的かつ効果的であるとする救
急業務研究会基本報告(平成二年十一月二十六日)を受け、都道府県の
消防学校等における救急業務に関する新たな教育訓練の実施等を前提と
して救急隊員の行う応急処置等の範囲を拡大することとし、また、特に
今回拡大して実施することになる応急処置のうち、高度な応急処置につ
いては、さる四月十八日に成立した救急救命士法(平成三年法律第三十
六号)に基づく国家資格を救急隊員が取得して行うこととしたところで
ある。

 このようなことから、今般、救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和
五十三年消防庁告示第二号)を別添一のとおり、消防学校の教育訓練の
基準(昭和四十五年消防庁告示第一号)を別添二のとおり、救急業務実
施基準(昭和三十九年三月三日自消甲教発第六号)を別添三のとおり改
正し、それぞれ平成三年八月五日から施行することとし、救急業務に関
する講習の課程を行う者を定める件を平成三年八月五日消防庁告示第六
号をもって別添四のとおり告示した。

 今回の改正は、救急隊員の応急処置等の範囲を拡大するとともに、こ
れに伴って必要となる救急隊員に対する教育訓練の実施、高規格の救急
自動車及び救急資器材の導入整備等に関する規定について所要の整備を
行ったものである。

 貴職におかれては、下記事項に留意され、その運用に遺憾のないよう
格段の配慮をされるとともに、貴管下市町村(消防の事務を処理する一
部事務組合を含む。)に対してもこの旨示達のうえよろしく御指導され
るようお願いする。

     記

第一 救急隊員の行う応急処置等の基準の一部改正について

 1 今回の改正は、救急隊員の行う応急処置等の範囲を拡大し、救急
  隊員に対する教育訓練の内容等に応じて、より充実した応急処置等
  を実施することができるよう、応急処置の方法等に関する規定を改
  めたものであること。各消防本部においては、拡大して実施するこ
  ととした応急処置等を救急隊員ができるだけ早期に実施することが
  できるよう救急業務実施体制の整備に努められたいこと。

 2 従来、救急隊員の行う応急処置等は比較的簡単なものに限定され
  ていたが、今回、高度な応急処置が含まれることとなったことに鑑
  み、応急処置の原則に関する規定を改めたこと(第四条関係)。

 3 救急隊員のうち、消防学校の教育訓練の基準の改正により新設さ
  れる同基準別表第二4に掲げる「救急標準課程」又は「救急II課
  程」を修了した者は、従来から救急隊員が行うものとしていた応急
  処置等に加え、当該課程を修了することにより得られる知識及び技
  能に応じた応急処置等を新たに行うものとしたこと(第五条第二
  項、第六条第二項関係)。

 4 救急隊員のうち、救急救命士(救急救命土法第二条第二項に規定
  する救急救命士をいう。以下同じ。)の資格を有する者は、従来から
  救急隊員が行うものとしていた応急処置等及び前記3により新たに
  行うものとした応急処置等に加え、救急救命士法の定めるところに
  より、高度な応急処置を行うものとしたこと(第六条第三項関係)。

第二 消防学校の教育訓練の基準の一部改正について

 1 今回の改正は、救急隊員の行う応急処置等の基準第五条第一項及
  び第二項並びに第六条第一項及び第二項に規定する応急処置等に必
  要となる知識及び技能を救急隊員に修得させるために、都道府県等
  の消防学校が行う専科教育の救急科に「救急標準課程」及び「救急
  II課程」を新たに設けたものであること(第四条第一項、別表第二
  4関係)。

 2 「救急I課程」は、改正前の「救急科」と同一の内容であり、そ
  の名称を改めたものであること(別表第二4関係)。

 3 「救急II課程」は、救急隊員の行う応急処置等の基準第五条第一
  項及び第二項並びに第六条第一項及び第二項に規定する応急処置等
  に必要な課程として設けたもので、「救急I課程」を修了した者等
  を対象とするものであること。なお、救急隊員の行う応急処置等の
  範囲の拡大が喫緊の課題であることに鑑み、各都道府県等の消防学
  校においては、「救急I課程」をできるだけ早急に開始されたいこ
  と(第四条第三項、別表第二4関係)。

 4 「救急標準課程」は、救急隊員の行う応急処置等の基準第五条第
  一項及び第二項並びに第六条第一項及び第二項に規定する応急処置
  等に必要な課程を含むものであって、新しく救急隊員の資格を取得
  しようとする者を対象とするものであり、「救急I課程」及び「救急
  II課程」を合わせたものに相当するものであること(別表第二4関
  係)。

 5 「救急I課程」は、従来と同様に、消防法施行令第四十四条第三
  項第一号に規定する救急業務に関する講習に該当するものである
  が、救急隊員の行う応急処置等の範囲の拡大が喫緊の課題であるこ
  とに鑑み、「救急I課程」の講習を実施する消防学校においても、で
  きるだけ早期に「救急標準課程」を設けるよう努められたいこと。

第三 救急業務実施基準の一部改正について

 1 今回の改正は、救急隊員の行う応急処置等の範囲を拡大し、充実
  した救急業務を実施するために、救急救命士の資格を有する救急隊
  員等の救急隊への配置、高規格の救急自動車及び救急資器材の整備
  等に関する規定を改めたものであること。

 2 救急隊の編成については、救急救命士の資格を有する救急隊員及
  び前記第二の3による「救急II課程」又は前記第二の4による「救
  急標準課程」を修了した救急隊員をもって行うよう努めるものとし
  たこと。なお、各消防本部においては、救急隊員に対する教育訓練
  及び救急救命士の養成等に早急に着手し、これらの救急隊員による
  救急隊の編成に計画的に取り組まれたいこと(第六条関係)。

 3 消防長は、救急隊員が高度な応急処置を行うために必要な構造及
  び設備を有する高規格の救急自動車を配置するよう努めるものとし
  たこと。なお、各消防本部においては、救急救命士の資格を有する
  救急隊員の救急隊への配置に合わせて、高規格の救急自動車の計画
  的な整備に努めらわたいこと(第九条の二関係)。

 4 消防長は、拡大して実施することとした応急処置等を的確に実施
  するために、別表第三に掲げる救急資器材を救急自動車に備えるよ
  う努めるものとしたこと。なお、各消防本部においては、これらの
  資器材の計画的な整備を図られたいこと(第十一条、別表第三関
  係)。

 5 救急活動記録票の記載事項として、救急救命士の資格を有する救
  急隊員が救急救命士法の定めるところにより高度な応急処置を行っ
  た場合に具体的な指示を行った医師の氏名及びその指示内容等を加
  えたこと(第二十条関係)。

 6 救急隊員の行う応急処置等の範囲の拡大に伴い、医療機関との連
  絡に関する規定を改めたこと(第二十二条関係)。

第四 その他

   今回の「救急業務に関する講習の課程を行う者を定める件」の制定
  は、改正後の救急隊員の行う応急処置等の基準第五条第二項に規定す
  る「消防庁長官が定める者」として財団法人救急振興財団を定めたも
   のであること。

 別添一〜三 〔略〕

 別添四

     〇消防庁告示第六号〔平成三年八月五日〕
   昭和五十三年消防庁告示第二号に基づき、同告示第五条第二項に規
  定する救急業務に関する講習の課程も行う者を次のように定める。
   一 名称
      財団法人救急振興財団
   二 住所
      東京都千代田区麹町二丁目十四番地の二
      附 則
   この告示は、公布の日から施行する。


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