○救急救命士法の施行について

                 (平成三年八月一五日)
                 (健政発第四九六号)
       (各都道府県知事あて厚生省健康政策局長通知)

 救急救命士法が、平成三年四月二三日法律第三六号をもって、
救急救命士法施行令並びに救急救命士法施行規則及び救急救命
士法に基づく指定登録機関及び指定試験機関に関する省令が、
それぞれ平成三年八月一四日政令第二六六号並びに平成三年八
月一四日厚生省令第四四号及び平成三年八月一四日厚生省令第
四五号をもって公布され、平成三年八月一五日に施行された。
 都道府県の経由事務等は原則としてないこととされているが、
医療機関関係者や国家試験受験希望者、養成所設立希望者等か
らの照会が予想されるため、貴都道府県主管課に救急救命士の
担当を決めるとともに、次の事項に留意の上、適切に対処され
たい。
 なお、この通知では、救急救命士法を「法」と、救急救命士
法施行規則を「規則」とそれぞれ略称する。

    記

第一 法制定の趣旨について
 救急医療については、受け入れ側の医療機関の体制は概ね整
備されてきているが、病院又は診療所に搬送されるまでの間の
傷病者に対する救急救命処置については必ずしも十分ではなく、
その確保が重要な課題となっている。
 そのためには、医師が救急用自動車に同乗して必要な指示を
行っていく体制を確保するとともに、医師の指示の下に、搬送
途上において必要性の高い救急救命処置を行うことができる新
たな資格制度を設けることが求められてきた。
 この法律制定の趣旨は、このような現状にかんがみ、救急救
命処置を行うことを業とする者として救急救命士の資格を定め、
その資質の向上を図るとともにその業務が適正に運用されるよ
うに規律し、もって医療の普及及び向上に寄与することにある
こと。

第二 救急救命士及び救急救命処置の定義について
 救急救命士とは、厚生大臣の免許を受けて、救急救命士の名
称を用いて、医師の指示の下に、救急救命処置を行うことを業
とする者をいうものであること。
 救急救命処置とは、その症状が著しく悪化するおそれがあり、
又はその生命が危険な状態にある傷病者(以下「重度傷病者」と
いう。)が、病院又は診療所に搬送されるまでの間に、当該重度
傷病者に対して行われる気道の確保、心拍の回復その他の処置
であって、当該重度傷病者の症状の著しい悪化を防止し、又は
その生命の危険を回避するために緊急に必要なものをいうもの
であること。
 また、救急救命処置の具体的内容については、別途通知する
ものであること。

第三 救急救命士の免許について
  一 救急救命士の免許は、救急救命士国家試験に合格した
   ものに与えられるものであること。
  二 救急救命士の免許の申請の手続きは、規則第一条及び
   規則第三条から規則第九条までの規定によるほか、医師
   等の免許等の申請手続と同様に扱うこととしていること。
  三 免許の実施に関する事務については、法第三七条に基
   づき指定登録機関を指定して行わせる予定であり、また、
   指定登録機関の指定が行われた場合には、免許の申請等
   は救急救命士登録事務規程に基づき指定登録機関に提出
   することになること。
    なお、指定登録機関の指定については別途告示するも
   のであること。

第四 救急救命士国家試験について
  一 救急救命士国家試験(以下「試験」という。)の受験資
   格は、次の者に与えられるものであること。
   (一) 大学入学資格を有する者であって、文部大臣が指
     定した学校又は厚生大臣が指定した救急救命士養成
     所(以下「指定施設」という。)において二年以上の
     教科課程を修了した者(法第三四条第一号)
   (二) 学校教育法に基づく大学(短期大学を含む。)、高
     等専門学校、旧大学令に基づく大学、看護婦の学校
     養成所、高等学校の専攻科、防衛医科大学校等にお
     いて一年(高等専門学校にあっては、四年)以上修業
     し、かつ、厚生大臣の指定する科目を修めた者で、
     指定施設において一年以上の教科課程を修了した者
     (法第三四条第二号)
      なお、厚生大臣の指定する科目は、次のとおり(厚
     生省告示第一六○号)であること。
       公衆衛生学、医学概論、解剖学、生理学、薬理
       学、病理学、生化学、微生物学、看護学概論、
       内科学、外科学、小児科学、産婦人科学、整形
       外科学、脳外科学、精神医学及び放射線医学の
       うち一三科目
   (三) 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)又は
     旧大学令に基づく大学において厚生大臣の指定する
     科目を修めて卒業した者(法第三四条第三号)
      なお、厚生大臣の指定する科目は、次のとおり(厚
     生省告示第一六一号)であること。
    一 公衆衛生学
    二 解剖学
    三 生理学
    四 薬理学
    五 病理学
    六 生化学
    七 微生物学
    八 内科学
    九 外科学
    一○ 小児科学
    一一 産婦人科学
    一二 整形外科学
    一三 脳外科学
    一四 精神医学
    一五 放射線医学
    一六 臨床実習
   (四) 救急業務に関する講習で規則第一四条に規定する
     科目及び時間数を満たす課程を修了し、及び規則第
     一五条に規定する五年(救急活動を行った時間が
     二、○○○時間に至った場合においては、それまで
     の期間)以上救急業務に従事した者であって、指定施
     設において一年(現に救急業務に従事している者を対
     象とする救急救命士養成所にあっては、六月)以上の
     教科課程を修了した者(法第三四条第四号)
   (五) 救急救命処置に関する外国の学校若しくは養成所
     を卒業し、又は外国で救急救命士に係る厚生大臣の
     免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が(一)
     〜(四)の者と同等以上の知識及び技能を有すると認
     定した者(法第三四条第五号)
   (六) 法施行の際現に救急救命士として必要な知識及び
     技能の修得を終えている又は法施行の際現に救急救
     命士として必要な知識及び技能を修得中であり、そ
     の修得をこの法律の施行後に終えた者で、厚生大臣
     が(一)〜(五)の者と同等以上の知識及び技能を有す
     ると認定した者(法附則第二条)
  二 試験を施行する期日及び場所並びに受験願書の提出期
   限については、規則第一一条の規定により、あらかじめ、
   官報で公告するものであること。
  三 一―(五)の受験資格の認定を受けようとする者は、あ
   らかじめ、厚生大臣に次の書類を添え出願するものとす
   ること。
   (一) 国家試験受験資格認定申請理由書
   (二) 履歴書
   (三) 外国人登録済証明書、日本国籍の場合は戸籍謄本
     又は抄本
   (四) 写真(申請前六月以内に脱帽正面で撮影した六×四
     cmのもの)
   (五) 外国の学校若しくは養成所の卒業証書又は外国の
     免許証及びその写し(事務局で確認後、原本は返還す
     る)
   (六) 外国で卒業した学校又は養成所の教科課程を明ら
     かにした書類及び成績証明書(当該学校又は養成所
     の長の証明のあるもの)
   (七) 外国で卒業した学校又は養成所の施設現況書(当
     該学校又は養成所の長の証明のあるもの)
   (八) 外国で免許を受けた者にあっては、その免許の根
     拠法令の関係条文(原本のもの及び邦訳したもの)
  四 試験の実施に関する事務については、法第三七条に基
   づき指定試験機関を指定して行わせる予定であること。
    また、指定試験機関の指定が行われた場合には、受験
   願書等は、救急救命士試験事務規程に基づき指定試験機
   関に提出することになること。一―(五)により受験しよ
   うとする者は、厚生大臣の受験資格の認定書を指定試験
   機関に提出しなくてはならないこと。
    なお、指定試験機関の指定については、別途告示する
   ものであること。
第五 救急救命士の業務について
  一 救急救命処置のうち、従来、医師等のみができること
   とされていた医行為の範疇にわたるものについても、救
   急救命士が診療の補助として行うことができるものとさ
   れたこと。
  二 救急救命士は、医師の指示の下に救急救命処置を行う
   ものであるが、そのうち、規則第二一条に規定する心肺
   停止状態の患者に対する次の救急救命処置については、
   特に医師の具体的な指示の下に行わなければならないも
   のであること。
   (1)半自動式除細動器による除細動
   (2)厚生大臣の指定する薬剤を用いた静脈路確保のための
    輸液
   (3)厚生大臣の指定する器具による気道確保
    なお、(2)の「厚生大臣の指定する薬剤」及び(3)の
   「厚生大臣の指定する器具」については、別途告示する
   ものであること。
  三 救急救命士は、重度傷病者の搬送のために使用する救
   急用自動車、船舶及び航空機であって、医師の指示を受
   けるために必要な通信設備その他の救急救命処置を適正
   に行うために必要な構造設備を有するもの以外の場所に
   おいてその業務を行ってはならないこと。
    ただし、病院又は診療所への搬送のため重度傷病者を
   救急用自動車等に乗せるまでの間において救急救命処置
   を行うことが必要と認められる場合はこの限りでないこ
   と。
  四 救急救命士は、救急救命処置を行ったときは、次の事
   項を救急救命処置録に記載し、五年間これを保存しなけ
   ればならない。
   (1)救急救命処置を受けた者の住所、氏名、性別及び年齢
   (2)救急救命処置を行った者の氏名
   (3)救急救命処置を行った年月日
   (4)救急救命処置を受けた者の状況
   (5)救急救命処置の内容
   (6)指示を受けた医師の氏名及びその指示内容
    ただし、病院又は診療所に勤務する救急救命士の救急
   救命処置に関する救急救命処置録は当該病院又は診療所
   の管理者において、消防機関に勤務する救急救命士につ
   いては当該消防機関の長において、保存しなければなら
   ない。
  五 救急救命士でない者が、救急救命士又はこれに紛らわ
   しい名称を使用することは禁止されていること。


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