46号 p79

「救急業務(平成12年中)の概要について」

総務省消防庁救急救助課


1 救急業務の実施状況

平成12年中の救急出場件数および救急搬送人員は、平成10年3月に法制化されたヘリコプターによる出場を含め、それぞれ418万4,121件、399万9,265人であり、昭和38年の法制化以降、増加の一途を辿っています。

また、救急自動車による出場件数は1日平均11,428件で、約7.6秒に1回の割合で救急出場し、国民の約32人に1人が救急搬送されたことになります。

平成12年中の救急出場件数および救急澱送人員は、それぞれ418万4,121件、399万9.265人であり、前年と比べて救急出場件数は25万3,122件〈6.4%)、救急搬送人員は23万8,146人(6.3%〉の増加となり、いずれも過去最高となりました。このうち、救急自動車による出場件数は418万2,675件、搬送人員は399万7,942人であり、ヘリコプターによる出場件数は1,446件、搬送人員は1,323人でした。また、救急自動車による覚知から現場到着までの所要時間の全国平均は6.1分、救急自動車による覚知から医療機関収容までの所要時間の平均は27.8分でした(図1、表1・2)。

2 高齢者搬送割合の増加 平成12年中の救急自動車による搬送人員のうち、65歳以上の高齢者の占める割合は増え続けており、これまでで最も高い37.3%を占めました。

また、事故種別搬送人員が最も多かったのは「急病」であり、全雑送人員の54.8%を占めました。

この「急病」による搬送人員のうち、65歳以上の高齢者は44.8%を占めました。 平成12年中の救急出場件数および搬送人員は増加の一途を辿っていますが、救急自動車による搬送人員のうち、65歳以上の高齢者の占める割合は、年々増え続けており、これまでで最も高い37.3%となりました。

救急自動車による救急事故種別搬送人員のうち最も多い事故種別は「急病」で、全搬送人員に占める割合は54.8%でした。この「急病」においても、65歳以上の高齢者の占める割合は年々高くなっており、平成12年は44・8%とこれまでで最も高い割合となりました。この割合を65歳以上の高齢者の人口構成割合と比較すると、人口構成割合が低いのに対し、高齢者の搬送割合が非常に高いことが分かります(図2〜4、資料1)。

3 救急救命士 消防庁では、国民の救命効果の向上を図るため、救急救命士の養成の促進を図っており、平成12年中において、全国の消防本部のうち救急救命士を運用している消防本部の割合は93・1%となりました。

また、全国の救急隊のうち特定行為と呼ばれる救急救命処置が実施できる救急救命士運用隊の割合は56.8%でした。今複とも救急救命士の養成を促進するとともに、高度な応急処置を実施するために必要な賛器材と、医療機関との連携体制の整備を推進する必要があります。 消防庁においては、「すべての救急隊に救急救命士が常時1名配置される体制」を目標に救急救命士の養成と、運用体制の整備を推進しています。

平成13年4月1日現在において、全国904消防本部のうち救急救命士を運用している消防本部の割合は93.1%を占める842本部となりました。また、全国4,563隊の救急隊のうち救急救命士を運用している救急隊は年々増加しており、平成13年4月1日現在では56.8%を占める2,592隊となっています。しかしながら、都道府県による格差が非常に大きくなっています〈国5、表3、資料2)。

4 特定行為 救急救命士は特定行為と呼ばれる救急救命処置を実施することができ、その実施件数は年々増加しており、国民の救命効果の向上に大きく青献しています。

平成3年に救急救命士が制度化されたことにより、救急救命士は医師の具体的な指示の下、「半自動式除細動器による除細動」「薬剤を用いた静脈路確保のための輸液」「ラリンゲアルマスク等器具による気道確保」のいわゆる特定行為が実施可能となりました。(財)救急振興財掃の救命効果検証委員会報告書によると、救急隊が病院に到着する前に心拍再開することが救命効果の向上に重要であり、そのうち早期の除細動の救命効果が高いことが科学的に示され、除細動を行うことができる救急救命士の導入が救命効果の向上に大きく貢献していることが明らかとなっています。

救命効果の向上に大きく貢献する特定行為の実施件数は、救急救命士運用隊の増加とともに年々増加しており、平成12年中の特定行為の合計実施件数は3万6,777件であり、前年と比較して7・4%の増加となりました掴6、資料3)。

5 応急手当関係 救急隊が到着するまでの全国平均時間は6・1分であり、この間に救急現場に居合わせた人により応急手当が実施されることは、救命効果の向上に大きな影響を与えます。図7は、平成12年中における全国の救急隊が搬送したすべての心肺停止傷病者について、救急隊の到着時に家族等により応急手当が実施されていた場合と実施されていない場合とで、1か月後の生存者の割合を比較対比したものです。これを見ると、家族等により応急手当が実施された場合の方が、1.1ポイント(約1.4倍)救命効果が高いことが認められます。

119番通報を受けてから救急隊が現場に到着するまでの全国平均時間は6.1分であり、この間に救急現場に居合わせた人により応急手当が実施されることは、救命効果の向上に大きな影響を与えます。

消防庁では国民の救命効果の向上を図るため、住民に対する応急手当の普及啓発活動を推進しており、受講者数は年々増加しています。

平成12年中に全国の消防機関が行った応急手当普及講習では、国民の約140人に1人が受講したこととなります。消防庁では平成5年から「応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱」に基づき、住民に対する応急手当普及講習として普通救命講習(3時間コース)と上級救命講習(8時間コース)を推進しています。応急手当普及講習受講人員は年々増加しており、平成12年中の受講者数は前年と比べて約8・5%増加し91万0,僻2人となりました。これは平成12年中には国民の約140人に1人が消防機関による応急手当普及講習を受講したこととなります。応急手当普及講習受講者数の増加に伴い、心肺停止傷病者に対する応急手当の実施件数は年々増加し、救命効果の向上に貢献しています(図8、資料4)。


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