40号 p83

「救急業務(平成11年中)の概要について」

自治省消防庁救急救助課岡本 征仁


救急の日について 「救急の日」及び「救急医療週間」は昭和57年に制定されて以降、救急業務及び救急医療に対する国民の理解と認識を深めるとともに、救急医療関係者の意識の高揚を図ることを目的として実施されている。

消防庁では、今年も厚生省、日本救急医療財団及び日本中毒情報センターとともに、JR東京駅で「救急の日2000」を開催し、多くの方々を対象に応急手当の普及啓発を図った。

また、救急医療週間に、救急自動車を10年にわたり各消防機関に寄贈されてきた安田生命保険相互会社に対して感謝状を贈呈するとともに、今年度を第1回目として救急功労者表彰式を挙行し、個人3名及び2団体に対して消防庁長官から表彰状が授与された。

救急活動について 救急の日を前に平成11年中の救急活動の概要を発表したので、これについて以下に述べる。

1 救急業務実施状況

平成11年中における救急出場件数は、ヘリコプターによる件数を含め393万999件で前年(370万2,075件)に比較して22万8,924件(6.2%)増加した。また、搬送人員は、376万1,119人で前年(354万6,739人)に比較して21万4,380人(6・0%)増加しており、昭和38年の法制化以降年々増加の一途を辿っている(図1)。

救急自動車による出場件数及び搬送人員は、それぞれ393万24件、375万9,996人であり、これは全国で1日平均10,767件、8.0秒に1回の割合で出場し、国民33人に1人が搬送されたことになる。また、覚知から現場到着までの所要時間の全国平均は、6.1分(昨年6.0分)、覚知から医療機関収容までの所要時間の全国平均は27.1分(昨年26.7分)であった(表1)。

2 高齢者搬送割合の増加

平成11年中の救急自動車による搬送人員のうち、65歳以上の高齢者の搬送人員は138万9,047人で、これまでで最も高い36.9%を占めた。

また、搬送人員で最も多くを占めた事故種別は「急病」であり206万7,196人で全搬送人員の55.0%を占め、このうち高齢者は92万2,835人(44.6%)であった(図2)。

3 救急救命士

平成12年4月1日現在、全国907消防本部のうち、救急救命士を運用している消防本部は87.3%にあたる792消防本部であった。また、全救急隊4,582隊のうち救急救命士を運用している救急隊は2,345隊(51.2%)であり都道府県による格差が非常に大きくなっている(表2)。

4 特定行為

財)救急振興財団の救命効果検証委員会中間報告書によると、救急隊が病院に到着する前に心拍再開することが救命効果の向上には重要であり、そのうち早期に除細動を施行された場合には救命効果が高いことが科学的に証明された。

平成11年中の救急救命士による特定行為の実施件数は、器具による気道確保が2万3,111件、除細動3,557件、静脈路確保7,568件であった(図3、表3)。

特定行為は救急救命士の増加に伴い、年々増加しており、早期除細動によって救命効果の向上が期待される。

5 応急手当普及啓発

応急手当普及啓発講習の受講者数は年々増加しており、平成11年中の受講者数は前年と比較して約21.5%増加し83万9,114人となり、これは国民の約150人に1人が消防機関による応急手当普及講習を受講したことになる。また、応急手当普及講習の受講者の増加に伴い、心肺停止傷病者に対する応急手当の実施件数も増加している(図4、表4)。

平成11年中に全国の救急隊が搬送したすべての心肺停止傷病者のうち、救急隊の到着前に家族等によって応急手当が実施されている場合の1か月後の生存者の割合は、応急手当が実施されていない場合と比較して、応急手当が実施されている場合が1,7%向上している(図5)


目次にもどる