37号 p102

「救急業務実施状況に関する調査結果から」

自治省消防庁救急救助課


はじめに

先般消防庁救急救助課が実施した、平成11年12月1日現在における各都道府県の救急業務実施状況に関する調査結果のうちから、救急救命士の就業前教育の状況、協議会の設置状況を中心に述べる。 救急救命士の就業前教育の状況 救急救命士の就業前教育については、「救急救命士の資格を有する救急隊員に対して行う就業前教育の実施要領について」(平成6年4月1日消防救第42号各都道府県消防主管部長あて消防庁救急救助課長)及び「救急救命士の資格を有する救急隊員に対して行う就業前教育の実施要領についての一部改正について」(平成10年5月25日消防救第125号各都道府県消防主管部長あて消防庁救急救助課長)により通知しており、その中で救急活動現場において傷病者に対して迅速かつ的確な特定行為を行うためには就業前教育の充実を図る必要があり、医療機関において行う病院実習にあっては160時間以上の実施に努めるものとしている。

今回の調査結果によると、この160時間以上の就業前病院実習を実施している消防本部は、全国の救急救命士がいる消防本部881のうち約62%にあたる545消防本部であった。120〜159時間の就業前病院実習を実施している消防本部は約7%にあたる62消防本部であった。

80〜119時間の就業前病院実習を実施している消防本部は約11%にあたる97消防本部であった。 0〜79時間の就業前病院実習しか実施していない消防本部が約20%にあたる177消防本部もあった。また、全国の救急救命士がいる消防本部881のうち約35%にあたる307消防本部が病院実習先に救命救急センターが含まれるとしていた。また、実習先医療機関がすべて自己の管轄内にあるとした消防本部は、全国の救急救命士がいる消防本部881のうち約51%にあたる451消防本部であった(表1)。

協議会の設置状況について 協議会については、「消防機関と救急医療機関との連携強化について」(平成9年8月4日消防救第178号各都道府県消防主管部長あて消防庁救急救助課長)により、その設置の促進及び協議の充実について通知している。その中で、救急業務を円滑に実施するためには消防機関と医療機関との連携が必要不可欠であり、それぞれの地域における救急に係わる諸課題について関係機関が恒常的に協議する場の設置を図ることとしている。また、協議会の単位は、都道府県単位、二次医療圏単位、消防本部の管轄区域単位等、それぞれの地域の実情に即して重層的に協議の場を設けることとしている。協議会の構成は協議会の単位により異なるが、都道府県単位の協議会の構成は都道府県の消防担当部局、都道府県の衛生担当部局、都道府県の医師会等、消防機関としている。

また、二次医療圏単位の協議会の場合、都道府県の消防担当部局、都道府県の衛生担当部局、地域の医師会等、消防機関としている。また、消防本部における管轄区域単位の協議会の場合は、当該地域の行政を担当する部局、地域の医師会等、消防機関としている。なお、それぞれ必要に応じて学識経験者、住民の代表等の参加も考えられるとしている。

協議の対象については、地域における救急業務のあり方に関すること、救急救命士に対する医師の指示体制の確立に関すること、救急隊員の教育訓練・臨床実習等の支援に関すること等となっている。

救急現場及び搬送途上における傷病者の救命効果の向上を図るためには、救急救命士運用体制の整備が早急に図られるべきであり、そのためには救急救命士の行う高度な応急処置を実施する上で不可欠な医師の指示体制の整備が図られなければならない。

消防庁救急救助課が実施した、平成11年12月1日現在における、救急救命士はいるが運用していない消防本部に関する調査結果によると、救急救命士がいながら救急救命士としての運用がなされていない消防本部数は全国で104本部にのぼり、運用されていない救急救命士の数は331名となっている。

その運用できない主な原因の一つとして、医師の指示体制の未整備が挙げられており、また、救急救命士が運用されている777消防本部のうちでも、常時医師の指示が可能な消防本部は全体の約78%にあたる604消防本部のみであり、約22%にあたる173消防本部においては常時医師の指示が得られる体制が整備されていない状況にある(表2)。

今回の調査において、都道府県単位の協議会が設置されていたのは47都道府県のうち約85%の40都道府県であった(表3)。二次医療圏単位の協議会を設置していた消防本部は全国911消防本部のうち約47%にあたる431消防本部であった。

消防本部単位で設置していた消防本部は、全国911消防本部のうち約31%にあたる282消防本部であった。

おわりに 救急現場及び搬送途上における傷病者の救命効果を向上させるためには、医師の指示体制の確立はもとより救急救命士の就業前教育などの救急隊員に対する教育体制の充実が必要である。
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