霞が関通信

平成10年度補正予算における消防補助金のうち

高規格救急自動車関係の概要にいて

自治省消防庁救急救助課

(プレホスピタルケア 11:3 29号 66-69, 1998)


 自治省消防庁の補助金のうち、高規格救急自動車関係補助金については、緊急消防援助隊の災害対応救急車と救急業務高度化資機材緊急整備事業2種類の項目で計上し全国的に整備を進めているところであり、平成10年度当初予算においては、これら全てで139台を整備する予定となっている。一方、当初予算成立後、政府は総合経済対策にかかる補正予算を国会に提出し、本年6月17日に成立したが、その補正予算にも高規格救急車が含まれていることから、今回は総合経済対策と消防補助金の関係について説明することとしたい。

 

1 総合経済対策について

 平成10年度予算成立後、本年4月24日に総合経済対策が策定されたが、「我が国経済の直面する課題」と「21世紀の展望をひらく経済対策の在り方」として、社会資本整備、特別減税など5項目から構成されている。

 今回の総合経済対策の全体の事業規模は、16兆円超、この総合経済対策による今後1年間の名目GDPの押し上げ効果は2%程度を見込むものとなっている。

 事業費の内訳については表1のとおりとなっている。

 このうち、国等が行う事業の社会資本整備は「21世紀を見据えた社会資本整備等」としたうえで、「内需拡大のため、21世紀を見据えて、豊かで活力のある経済社会の構築に向けて、真に必要となる社会資本等を整備することとし、国・地方あわせて総額7兆7000億円程度の事業を実施する。なお、社会資本の整備に当たっては、コストの縮減、費用対効果分析の積極的活用等を通じて、効率性、透明性を高めることに十分に配慮を行う。」としており、6の項目で構成されている。その内訳は、表2のとおりである。

 他に、地方の単独事業について、地域の実情に即して、住民に身近な社会資本の整備が図られるよう、地方公共団体に対して、1兆5千億円程度要請することとしている。

 

2 総合経済対策と平成10年度補正予算について

 総合経済対策のうち、国を中心とした社会資本整備費として6兆2千億円であり、それらを含めた国の補正予算は4兆6千億円余の増額となっている。

 この補正予算については、6月17日に第214回国会で可決成立し、執行について作業がなされているところであるが、消防庁関係では合計74億円補正予算で増額しており、その内訳は表3のとおりである。

 

3 消防庁の補助金のうち補正予算で計上した項目について

(1)消防庁における補正予算

 今回の補正予算において、消防庁として計上した額は、総額で74億円となっており、その内訳と、消防補助金以外の項目について主な事業内容は 表4 のとおりである。

 なお、消防補助金関係補正予算増加額は 表5 のとおりであるが、平成10年度当初予算においては、シーリング等により対前年度比では減少していたが、補正予算が追加されたことにより予算総額では前年並みとなった。

(2)消防補助金のうち高規格救急車関係補正予算の内訳

 消防補助金で15億円計上しているが、その内訳は 表6 のとおりである。

 このうち、高規格救急自動車関係は、緊急消防援助隊関係資機材整備事業のうち災害対応救急自動車・高度救命処置用資機材分及び救急業務高度化資機材緊急整備事業である。また、緊急消防援助隊関係資機材整備事業の残額1億4千万円については、高度探査装置分として計上されている。

 なお、災害対応救急自動車は、消防防災施設整備費補助金交付要綱によれば、救急業務高度化資機材緊急整備事業でいう高規格救急自動車は2輪駆動によるものが補助対象であるが、これを4輪駆動としたものが災害対応に該当するものである。

 このことから、両事業とも高規格救急自動車が補助対象事業となっているが、事業の趣旨等制度上の違いから総合経済対策においては、それぞれ違う項目で掲げられている。

ア 緊急消防援助隊関係資機材整備事業のうち災害対応救急自動車・高度救命処置用資機材整備分

総合経済対策の項目としては、科学技術振興によるものであり、その趣旨としては、「最新の機械工学、電子工学等の技術を取り入れた消防防災活動用資機材である緊急消防援助隊関係資機材等について整備を進めることにより、消防防災分野における新製造技術関連分野の成長を促進する。」となっている。

 また、事業の緊急性として、緊急消防援助隊が保有する資機材については、地震防災対策特別措置法に基づき平成8年度から平成12年度までの5カ年間で整備することとされているが、さらに事業の進捗を図るため補正予算に計上した。

 なお、この補助金の補助対象となる消防本部は、緊急消防援助隊の救急部隊として登録され、かつ、災害対応救急車が未整備な場合に対象となるものである。

−整備予定台数−

357,916千円 ÷(27,532千円×1/2)=  26台

(補正予算額) (補助基準額)(補助率)(整備予定台数)

(なお、整備予定台数については、各消防本部からの補助要望額により異動を生ずる。)

 

イ 救急業務高度化資機材緊急整備事業

 総合経済対策の項目としては、高齢化等に対応した福祉・医療によるものであり、その趣旨としては、「急速に高齢化が進展している我が国において、今後、高齢者が救急搬送される割合が増大していくものと予想される。また、高齢者の場合、医療機関に到着するまでに救急救命士による高度な救急救命処置を受けないと手足の麻痺などの後遺症や死に至る可能性の高い、脳卒中及び心筋梗塞などの循環器系による疾患等で搬送される場合が多いということについて留意することが必要である。

 こうした事態に対処していくためには、高齢者の搬送について、救急救命士によるプレホスピタルケアが十分行える体制を整備していくことが必要である。そのため、救急救命士による高度な救急救命処置が行える高規格救急自動車の整備を推進する。」としている。

 また、事業の緊急性について、高齢者の急連な進展に備えるために、高規格救急自動車の整備を速やかに進めることが必要であるこ とから補正予算に計上したものである。

−整備予定台数−

751,230千円÷(26,514千円×1/3)= 85台

(補正予算額)(補助基準額)(補助率)(整備予定台数)

(なお、整備予定台数については、各消防本部からの補助要望額により異動を生ずる。)

 

(3)国庫補助額以外の地方負担額にかかる普通交付税措置について

 政府の経済対策により補正予算で高規格救急車措置されたのは平成7年度以来であるが、通常の補助であれば、補助率に応じた補助金が交付されるわけであるが、先にも述べているとおり、総合経済対策は国を始め地方においても積極的に地方単独事業等を推進することとしており、今回の補正予算による補助金についても、国が整備を進めるとしているが補助率の残りの額については各市町村において財源手当をしなければならないが、総合経済対策については政府がある程度主導で行っていることから、その補助率の残りの地方負担額分について緊急援助隊関係では1/2、救急業務高度化資機材緊急整備事業にあっては2/3に補正予算債という起債(借入金)を充当することができるとされている。また、この補正予算債は借入金であるため、毎年元利金を償還することとなるが、その元利金の実際の額に80%を乗じたもの及び残り20%分については経済対策分として単位費用により、普通交付税の基準財政需要額に算入されるため、理論上、各市町村の負担は通常の補助と比べかなり軽減されることとなる。

 救急自動車関係の補助金で普通救急車は昭和39年度から平成2年度まで、高規格救急自動車は平成3年度から補助制度が創設され随時整備が進められているところであるが、特に、高規格救急自動車については、救急自動車全体の割合では整備がまだ不十分なところがあり、このことから緊急的に整備を図る必要があることも今回の補正予算に計上した理由となっている。

 しかし、例年の当初補助要望にあってもかなりの台数が要望されてきているところであり、このことは、高規格救急自動車がいかに住民のニーズが高いものであることを反映していると考えられるが、高規格救急自動車関係補助金はその全ての要望に必ずしも答えることができないのが現状であり、他方、事業費も普通救急車と比べ相当高額となっている。

 今回の補正予算については、こういった観点からも各市町村にあっては有利なものであり、高規格救急自動車の整備もさらに進めることができるものであるが、今後補助金消防補助金を含め国全体で効率化等を進めていることから、各消防本部にあっては、これらを踏まえたうえで高規格救急自動車の整備を進めていくことが望まれると思われる。

○参考資料

総合経済対策(平成10年4月別日)

            経済対策閣僚会議

 

表1  総合経済対策における事業費の内訳

 

財政措置

事業費(兆円)

1 減税

特別減税

4.0

政策減税・福祉給付金等

0.6

2 社会資本整備

一般公共・施設費等

6.0

災害

0.2

地方単独事業

1.5

 

小計

12兆円程度

2 その他

土地対策

2.3

中小企業体対策

2.0

雇用対策

0.05

合   計

16兆円超

表2  社会資本整備に係る分の内訳について     (単位:兆円程度)

国を中心とした社会資本整備

金額

主な内容

  • 環境に負荷の少ない経済社会の実現

1.6

ダイオキシン対策等(産廃処理施設等)

水質保全(下水道等)

  • 将来の発展の基盤となる情報通信の高度化・科学技術振興

1.0

電線共同溝の整備

ETCインフラの整備等

  • 少子・高齢化等に対応した福 祉・医療・教育

1.0

高齢者向けバリアフリー化等

  • 物流効率化のための基盤整備

0.8

 

  • 国民の生命、財産の安全確保のための緊急防災

0.8

老巧住宅の立て替え

防災公園の整備等

  • 中心市街地活性化等民間投資誘発

0.8

国費の6倍以上の民間投資誘発効果を有する市街地再開発等

表3  平成10年度一般会計補正予算         (単位:百万円)

区     分

平成10年度成立予算額

補  正  後

改平成10年度予算額

追 加 額

修正減少額

差 引 額

歳出予算(国の総額)

  77,669,179

5,116,813

471,360

4,645,453

  82,314,632

うち消防庁分

     22,460

7,400

0

7,400

29,860

 

表4  消防庁分平成10年度補正予算の状況

消防庁(本庁分)

 ○消防補助金 15億円

  • 消防防災活動に係る広域地図検索システムの開発
  • に関する調査研究 <情報通信> 2億3千万円

 (開発に係る、研究会の設置、実証実験の実施)

消防大学枚

 情報通信の高度化等に対応した大規模災害対応訓練

 施設等 <情報通信>                       42億円

 (大学校本館を含めた施設整備)

消防研究所

 消防防災に関する研究基盤の充実強化 <科学技術> 14億7千万円

(研究所における研究施設の整備)

 

      消防庁総額                       74億円 

 

表5  平成10年度消防補助金関係予算の状況   (単位:首万円)

 

9年度

(A)

10年度

対前年伸率

D/A

当初(B)

補正(C)

補正後(D)

消防補助金総額

20,296

18,802

1,500

20,302

100.03%

 

表6  平成10年度補正予算における消防補助金の内訳

(項)消防防災施設整備費補助金(補助1/2)           7億5千万円

 ○緊急消防援助隊関係資機材整備事業              5億円

 (上記のうち、災害対応救急自動車・高度救命

  処置用資機材整備分 3億6千万円)

 ○防災無線                          2億5千万円

(項)市町村消防防災施設整備費補助金(補助率1/3)

○救急業務高度化資機材緊急整備事業               7億5千万円

 

   消 防 補 助 金 合 計                15億円

 

 

表7  平成10年度補正予算による事業にかかる普通交付税算入率の概念図

国庫負担額

地方負担額

消防補助金

1/2若しくは1/3

補正予算額

国庫補助の残額の90%

自主財源

10%

毎年度の元利償還金の80%を基準財政需要額に算入

 〃    〃   20%は単位費用により算入

 なお、補助事業の一環として行う補助対象以外の事業は、継ぎ足し単独分としての起債が認められているが、普通交付税の事業費補正の対象とはならないものである。