霞が関通信

第25回日本救急医学会救急隊員部会

学術総会の開催について

自治省消防庁救急救助課

(プレホスピタルケア 10:4 26号 61-64, 1997)


1 はじめに

 第25回日本救急医学会救急隊員部会学術総会は、11月26日(水)〜28日(金)の3日間にわたり京王プラザホテル及び東京都庁(東京都新宿区)にて開催されることとなっている。

 さる8月11日には、日本救急医学会総会プログラム委員会が開催され、本会の学術総会準備状況の報告と各部会のプログラムの編成概要が了承されたところである。

 そこで、昨年の第24回の参加出席状況とともに、これまでに決まっている第25回の救急隊員部会学術総会プログラム(予定)について紹介することとする。

 また、最近設立された日本臨床救急医学会についても発起人会が開催されたので、その紹介をいたしたい。

  

2 昨年の第24回日本救急医学会救急隊員部会学術総会の参加出席状況

 昨年は、神奈川県横浜市のパシフイコ横浜において、第24回日本救急医学会が開催され、救急隊員部会学術総会については、941名の参加があり、盛大な学会となった。

 事務局が実施しているアンケートによれば、学会に参加したものの多くは現場の救急隊員でアンケート回答者中の82%に達し、他に消防学校の救急教育担当者や消防本部の救急事務担当者などの参加を得た。

 救急隊員の中の割合としては、救急救命士63%、救急標準課程・II課程修了者が32%となっていた。また、参加した消防職員の所属している消防本部は、政令指定都市の職員が16%、人口30万人以上の本部の職員が20%で、人口10万以上30万人未満、5万以上10万人未満の本部の職員が共に23%と最も多く、人口5万人未満の本部の職員が11%となっていた。

 このように、参加者は救急救命士や救急標準課程・II課程修了者が多かったが、参加者は人口規模に関わらず数多くの消防本部から参加していた。

 学会参加回数を見ると、初めての参加であった者が62%と最も多かったが、2度目の参加であった者が14%、3度目が9%、4度目以上も15%であり、何度も参加する熱心な消防職員も増加してきている。また、学会の講演等で得た知識は、救急活動(救急業務)や救急隊員に対する実務教育面に活用されている実態が把握された。

 また日本救急医学会では、同時に開催されている医師部会や看護部会への参加も可能であり、実際多くの者がそれらの部会にも参加している。

 

3 第25回のスケジュール予定

 本年は、シンポジウム、パネルディスカッションにおいて救急救命士のあり方について、教育講演は、救急業務遂行上必要な課題について講演いただき、一般演題において救急隊員の研究の成果を発表していただくこととなっている。

 シンポジウムは「救急救命士の現状と今後の展望」と題して、司会に前川和彦教授(東京大学医学部救急医学教室)を迎え、演者に岡林清司助教授(広島大学医学部救急医学)、円山啓司先生(市立秋田総合病院中央診療部)等によって救急救命士制度発足後6年を経た救急救命士をとりまく諸問題について活発な討議をしていただく予定である。

 パネルディスカッションは「地域に根ざした救急救命士の活動について」として、司会に澤田祐介教授(東海大学救急医学教室)を招き、大都市における救急活動に注目が集まりがちな状況において今回は比較的小規模な消防本部に焦点を当て、いろいろな取組みをしている例を発表していただくとともに、これからのあるべき姿を議論する予定である。

 これら2題については、聴衆席に200名分のスイッチが用意され、聴衆の意見をリアルタイムで集計し示すことができるようになっており、舞台上と聴衆が一体となってシンポジウム、パネルディスカッションが行えることになっている。

 教育講演は、「各種気道確保時の人工呼吸法について」、「ショック患者の病態把握と搬送」、「精神科救急の現状と展望」の3講演を予定している。

 第1題目は、小松久男助教授(香川医科大学麻酔救急医学講座)に心肺機能停止傷病者をはじめとする傷病者の搬送をする際の一番の基本の手技となる気道確保についてその理論から実技のあり方まで話していただくものである。

 第2題目は、安田和弘教授(救急振興財団救急救命東京研修所)に迅速な対応を要求されるショックについて話していただく。アナフィラキシーショック、出血性ショック等の各ショックの病態と分類、発生機序、治療法、搬送の際の留意点などを話していただける予定である。

 第3題目は、計見一雄先生(千葉県精神科医療センター)に搬送先選定に時間がかかり、関係機関との連携が難しい等いろいろな問題を抱える精神障害者の救急搬送についてその抱える課題と将来展望について講演を受ける予定である。

 一般演題については、全国の各消防機関から募集を行い、全国から75題採用されており、各演者からそれぞれの内容について発表していただくことになっている。

 今回は、応急手当の普及啓発に関する研究の応募が例年に比べ多くあり、時間枠を延ばして発表していただくことになった。特に、障害者、老人等社会的弱者に対する普及のあり方等興味深い題目が集まっている。

 

4 日本臨床救急医学会について

 日本救急医学会が25周年を迎えたのをひとつの区切りとして、平成9年7月8日に東京ガーデンパレスにおいて日本臨床救急医学会発起人会が開催され、同学会が設立されることとなった。今後、日本救急医学会が日本医学会の分科会として、医師を中心とした学究的な学会を目指す一方、日本臨床救急医学会は医師のみならず、看護婦、救急隊員等も含め救急医療の現場に則した学会として位置づけられ、3〜5年後に日本救急医学会の賛同があれば、看護部会、救急隊員部会を日本臨床救急医学会に移行させる計画もあるやに聞いている。

 いずれにしても、2つの学会は相対する性格のものではなく、今後、さらにわが国の救急医学、救急医療の向上、発展に寄与することが期待されている。

 

5 おわりに

 昨年は横浜市で941名という大変多くの参加者があったことから、本年も昨年同様多数の参加による盛大な学会となることが見込まれる。本学会では、救急隊員部会以外にも、医師部会や看護部会へ自由に参加することができる。本学会以外ではあまり聞くことのできない専門性の高い演題や多種多様な演題を聞くことができるため、救急隊員のみならず広く消防職員に参加していただきたいと考える。そして、参加していただいた消防関係者それぞれが、自らの資質の向上を図るとともに、本学会で得たことを普段の救急業務に反映させ、1人でも多くの尊い生命を守れるよう活躍していただきたい。