霞が関通信

応急処置等の範囲拡大と平成4年度財産措置

自治省消防庁救急救助課

(プレホスピタルケア 5:1 8号 61-62, 1992)


1 はじめに

 自治省消防庁では、救急現場及び搬送途上における傷病者の救命率の一層の向上を図るため、平成 3年8月に、救急隊員の行う応急処置等の基準を定める消防庁告示を改正し、その範囲の拡大を図った。具体的には、拡大すべき応急処置等のうち、比較的軽易な応急処置等(9項目)については、都道府県等の消防学校で新たに実施される救急業務に関する講習の課程を救急隊員に受講させて行うこととし、心肺停止状態に陥った傷病者に対する高度な応急処置(3項目)については、ほぼ同時期に施行された救急救命士法に基づく国家試験を救急隊員に取得させて行うこととしたところである。

 この拡大された応急処置等が全国の消防機関の救急隊によって早期かつ円滑に実施されるためには、救急救命士の養成を含めた救急隊員に対する教育訓練の充実、高規格の救急自動車及び救急資器材等の全国的な整備等を推進していく必要があり、各地方公共団体においてこれらの施策を推進するために必要となる費用については、一定の財政措置が講じられているところである。以下では、平成4年度における財政措置の概要について紹介する。

 

2 救急隊員に対する教育訓練

(1)9項目に対応する教育訓練については、平成3年度には大部分の消防学校で、平成4年度には全国すべての消防学校で実施されることとなっているが、拡大された応急処置等のうち特に9項目が早急に全国の救急隊で実施されることが強く求められていることから、当該教育訓練が可能な限り早期に全国すべての救急隊員に対して実施されることが必要である。このため、普通交付税の単位費用において、標準団体(人口170万人規模の県を想定)が救急II課程(総時間数115時間)を年2回の割合で実施するために必要な報償費を措置しているほか、高規格の救急自動車を始めとする当該課程に必要な教育訓練用資器材の備品購入費を措置している。その結果、標準団体ベースでは、消防学校費について、報償費が 659千円、救急自動車の購入費が2,920千円、視聴覚・救急用教材の購入費が5,774千円増額されている。

(2)救急救命士の資格を救急隊員が取得するために必要な教育訓練については、平成 3年5月に各都道府県の共同出資により設立された財団法人救急振興財団が設置する救急救命中央研修所において、同年8月より、全国の救急隊員を対象として開始され、平成4年度においては、借り上げ施設で半期60人程度で行われることとされているとともに、救急救命士の養成規模の拡大を図るべく、現在、東京都内において、同研修所の専用施設の建設が準備されている。

 同財団への各都道府県の負担金については、平成4年度においても、引き続き普通交付税で措置している。

(3)消防機関の行う救急業務は24時間対応が必要な業務であり、常に一定の人員を配置しなければならず、救急隊員は交替制の勤務形態をとっていることから、定員の手当が行われないまま、救急業務に影響を与えることなく、上記(1)及び(2)の教育訓練に救急隊員を短期間のうちに受講させることは不可能である。このため、平成4年度地方財政計画において、消防職員について、救急高度化対策分として、1,281 人の増員措置を講じている。また、これに伴い、普通交付税上の標準団体(10 万人規模の市を想定)の救急隊員数についても、16人から17人への増員措置を行っている。

 

3 高規格の救急自動車等の導入

 拡大された応急処置等を実施するためには、各消防機関において、高規格の救急自動車、高度救急用資器材等を整備することが不可欠である。

 このため、平成3年度に「救急高度化推進整備事業」を創設し、高規格の救急自動車、高度救命処置用資器材、心電図伝送装置、自動車電話及びファックス等の整備に対し、メニュー方式による国庫補助を行ってきたところである。本事業は、救急業務の高度化を実現する上で必要な高規格の救急自動車や資器材の整備、医療機関との連携体制の確立などを総合的に推進するモデル的な市町村の育成を目指すものであり、平成4年度においても、平成3年度と同様に、25市町村を対象として4億5千万円の予算額を確保している(補助率1/3)。

 これとともに、平成4年度より、普通交付税の単位費用において、標準団体の救急自動車3台のうち2台を高規格の救急自動車に切り替えるとともに、9項目に必要な資器材を中心とした高度応急処置用資器材の購入費を新規に措置している。その結果、標準団体ベースでは、救急業務費について、救急自動車の購入費が7,880千円(平成3年度 2,040千円)に増額され、高度応急処置用資器材の購入費2,859 千円が新規に措置された。

 なお、これらの整備については、地方債(一般単独事業債)の活用が認められているものであり、各消防本部の財政事情等に応じ、その活用を図ることが望まれる。