霞が関通信

自治省消防庁救急救助課

(プレホスピタルケア 2:1 3号 30-31, 1989)


 今回は、さる10月4日通知された、患者等搬送事業指導基準等の作成について紹介いたします。

 

1 患者等搬送事業に対する指導基準等作成の背景と目的

(1)背景

 近年の国民意識の変化や人口の高齢化等を背景として、最近、寝たきり老人、身体障害者、傷病者等を対象に、これらの患者等の医療機関への入退院、通院及び転院並びに社会福祉施設への送迎のため、ベッド等を備えた患者等搬送用自動車を用いて搬送を行う事業が次第に普及してきています。

【参 考】

昭和63年11月末の事業者数290社、保有車両494台。

昭和63年12月以降患者等輸送限定免許を与えられた事業者数13社、保有車両37台。

 このような社会的ニーズの高まりに応じて、患者等搬送事業が事業活動を展開していくことは、今後も増加していくものと思われます。

(2)目的

 患者等を搬送の対象とする限り、容体の急変、患者等間の疾病の感染等の不測の事態の発生も予測されるところであり、利用者の安全性、利便性を確保するためには、消防機関との連携体制、搬送業務に従事する者の資格、患者等搬送用自動車の構造等について一定の基準を定め、患者等搬送事業の質的向上を図っていくことが必要となります。

 このため、消防機関が患者等搬送事業を指導する際の基準として、「患者等搬送事業指導基準」を作成するとともに、指導基準に適合する患者等搬送事業を広く住民に公表するための事務処理基準として「患者等搬送事業認定基準」を作成しました。

 なお、患者等搬送用自動車を用いず、一般のタクシーを用いて同種の業を行う事業形態も増加しつつあるので、このような事業に対しても、実情に応じて、指導基準に準じて指導することとしました。

 

2 患者等搬送事業指導基準

(1)事業の基本原則

 緊急性のない患者等を、搬送対象とすること。

(2)消防機関との連携

 搬送途上等において、患者等を緊急に医療機関に搬送する必要がある場合は、消防機関に通報し、救急自動車を要請すること。

(3)乗務員の要件

 乗務員は、満18歳以上の者で、消防機関が実施する講習修了者等をもって充てること。また、乗務員は 2年に 1回以上、消防機関の行う定期講習を受講すること。

(4)運行体制

 患者等搬送用自動車の運行にあたっては、原則として 2名以上の乗務員を確保すること。

(5)患者等搬送用自動車の設備及び積載資器材

 換気装置及び業務に必要なスペース等を有するとともに、マスク・バッグ、担架、保温用毛布、タオル等の資器材を積載しておくこと。

(6)消毒

 患者等搬送用自動車及び積載資器材については、定期消毒及び使用後消毒を行うこと。

(7)衛生・安全管理

 患者等搬送用自動車及び積載資器材については、点検整備を確実に行い、清潔保持に努めること。

 乗務員の服装は、患者等搬送業務にふさわしいものとし、清潔の保持に努めること。

(8)事業案内

 パンフレット等の事業案内には、救急隊と同レベルの活動ができるかのような表現はさけること。

(9)車両の外観

 患者等搬送用自動車は、サイレン及び赤色警告灯を装備するなど、救急自動車と紛らわしい外観を呈していないこと。

 

3 患者等搬送事業認定基準

(1)認定対象となる事業者

 道路運送法に定める免許取得者等

(2)認定の申請

 認定を受けようとする事業者は、当該事業所を管轄する消防長に対し認定を申請するものとする。

(3)認定の審査及び認定マークの交付

 消防長は、指導基準に基づき認定の適否について審査を行い、これに適合した業者に対し、認定マークを交付するものとする。

(4)認定業者の責務

 認定業者は、指導基準を誠実に履行しなければならない。

(5)認定の有効期間

 認定を受けた日の翌日から起算して、5年とする。

(6)認定業者の調査

 消防長は、少なくとも年1回以上認定業者に対し、指導基準の履行状況について調査するものとする。

(7)認定業者の責務

 認定業者は、指導基準を誠実に履行すること。

 また、患者等搬送業務実施中、搬送業務の遂行に支障を及ぼす重大な事故を発生させたときは、消防長に報告するものとする。

(8)認定の取り消し

 消防長は、認定業者が指導基準を遵守しない場合等においては、認定を取り消すことができる。