霞が関通信

自治省消防庁救急救助課

(プレホスピタルケア 1:1 1号 41-42, 1989)


 救急隊員の皆さん、日夜を通じた救急活動大変ご苦労様です。今度、近畿救急医学研究会救急隊員部会を母体としてこのような救急隊員向けの教育情報誌が発刊されますことは、誠にご同慶の至りであり、心からお祝い申し上げます。消防庁といたしましても、情報提供の場を与えられましたことは、願ってもないことと考えており、今後「霞が関通信」と題して、主として消防庁で進めている諸施策を広く紹介してまいりたいと思います。今回は、今年度進めている救急関係の調査研究委員会を紹介いたします。

1 救急隊員の教育訓練充実強化対策検討委員会について

(1)趣旨

 救急業務は、現在、ほぼ全国的に普及し、国民の生命の安全を確保する上で不可欠の行政サービスとして定着していますが、近年、災害事故の態様は複雑多様化してきており、また今後、本格的な高齢化社会を迎え、救急業務の役割は、ますますその重要性を増すものと考えられます。

 したがって、これらの状況に適切に対応し、傷病者の救命率をこれまで以上に高めていくためには、何よりも救急隊員の教育訓練を充実強化し、その資質をより一層向上させていくことが必要です。

 消防庁では、これまでにも救急隊員の行う応急処置等の基準を定め、これに対応して救急隊員に135時間以上の救急業務に関する講習を義務付けるとともに、全国標準的な教科書を作成し、さらにその補助教材として視聴覚教材の作成準備を進めるなど、全国一定水準の資質を有する救急隊員の効果を客観的に評価できる全国標準的な効果測定基準がないため、各消防学校、消防本部においては、個々の救急隊員に対する教育訓練の成果を十分に把握することができず、また再教育訓練を実施するに当たっても、その重点の置きどころが分からないといった問題があり、各消防学校等における教育訓練体制のあり方ともあいまって、全国の消防本部間で救急隊員の資質に格差が生じてきているおそれが予想されます。

 そこで、今回、消防大学校、消防学校及び消防本部において実施されている救急隊員の教育訓練に関する実態調査を踏まえ、救急業務に関する講習等の効果を客観的に評価できる全国標準的な効果測定基準のあり方について検討を行うため、「救急隊員の教育訓練充実強化対策検討委員会」を設置し検討しているところです。

(2)委員会の構成

 桂田先生を委員長として、委員には、消防関係者(仙台、東京、大阪及び京都各消防局)、救急医療関係者及び学識経験者12名で構成しています。

(3)委員会の審議状況

 昭和63年8月24日に第1回委員会を開催し、実態調査の収集分析、質疑、意見交換を行い、今後小委員会を設置し、審議を進め、今年度末を目途に結論を得ることとしています。

 

2 消防機関におけるドクターカーの導入及び管理運営に関する調査研究委員会について

(1)趣旨

 救急車への医師搭乗システム、いわゆるドクターカー運営システムは、救急事由発生後速やかに医師が現場に出場し、現場及び医療機関への搬送途上において早期に適切な医療措置を施すことが可能となることから、傷病者の救命効率を高める上で有効なものであるといわれています。

 しかし、ドクターカー運営システムについては、その円滑な運営を図る上で必要不可欠の前提でありながら、その解決に関係者の同意と協力を得ることが困難な、若しくは各本部の現体制では対応が困難な数多くの課題、問題点があります。

 このため現在、消防機関においては、特殊な構造及び設備を有した救急車を保有している筑南広域消防本部、松本市消防本部及び宇都宮市消防本部をはじめとして、一部の消防本部においてしか運営されていないのが実情です。

 一方、山村、へき地等傷病者の搬送に長時間を要し、適切な救急医療を十分には確保できない地域が存在すること、また、本格的な高齢化社会を迎え、単なる搬送及び一次救命処置だけでは傷病者の救命が困難な、あるいはその症状を悪化させるおそれがある重篤傷病者が増加することが予想されます。

 そこで、このような状況を踏まえて、救命率向上方策の一環として、消防機関が、ドクターカー運営システムを導入し、管理運営する場合の課題、問題点を明らかにし、ドクターカー運営システムに関する基本方針について提言を得るため、委員会を設置し、検討を進めているところです。

(2)委員会の構成

 日本医科大学附属病院長大塚先生を委員長として、委員には、消防関係者(前述のドクターカー保有消防本部消防長及び仙台、東京各消防局)、救急医療関係者、日本医師会及び厚生省関係者12名で構成しています。

(3)委員会の審議状況

 昭和62年12月21日に第1回委員会を開催し、消防機関におけるドクターカーの管理運営状況について、実態調査結果をもとに意見交換を行い、今後医療機関におけるドクターカーについても審議を進め、今年度末には、消防機関におけるドクターカー運営システムに関する基本方針について提言する予定です。