参考図書・文献の紹介

看護に役立つ手話「え」辞典

編集室

(プレホスピタルケア 8:4 18号 72-73, 1995)


はじめに

 

 言葉の障害を持つ人々にとって、救急車を要請するような事態に陥ったときの不安感はどれほど大きいものであろうか。一刻を争う状況において、伝えたいことが伝えられない、こうした焦りが苦痛や不安をより増大させることにつながりはしないだろうか。

 より高度な救急サービスが求められている昨今、いろいろな消防本部で、手話の講習会や勉強会が行われているという話を耳にする。独学に好ましいテキストはなかなか見つからない、そんな声も聞かれるので本書を紹介したい。

 

構成

 そもそも本書は表題にあるように、看護婦をはじめ看護に携わる人々のための入門書として編集されたものである。したがって必ずしも救急に関することだけではないが、逆に広く理解を深めるためには好都合であろう。

 さて内容は、全110 ページからなるが、単語編と会話編に分かれている。

 単語編は「医師」「看護婦」「病院」あるいは「救急車」「交通事故」「病状」、「脈拍」「血圧」「頭痛」など計230 余りの単語の表し方をそれぞれ分かりやすいイラストを添えて解説してある。

 会話編では「昨夜から熱が39 度あります」や「頭が痛く吐き気があります」「血圧が高いと言われています」など30 余りの簡単な会話が、単語編と同様、イラストを交えて記されている。ただしこの編は、病院内において、特に入院に関することが多くを占める。

 その他に巻末には指文字五十音、数字の表し方が、一目で分かるよう記されている。また、もくじは五十音順の索引になっており、検索に非常に便利である。

 

あわりに

 本書は動作の説明をできる限りやさしく表現してある。特に指や手の角度にはこだわらず、手話と初めて出会う人々にとっても学びやすいよう配慮されている。

 以上、手話を学んでいくうえで本書は非常に有用であると考える。

 会話は心と心のコミュニケーションである。形だけではなく、傷病者の側に立って伝え合うためには、本書を「入門書」として活用し、さらに自己研鑽に励んでいただきたい。

 

看護に役立つ手話「え」辞典

監 修:望月一宏

発行所:あすなろ書房

定 価:2,500