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病院前救護体制のあり方に関する検討会始まる(厚生省)

編集室

(プレホスピタルケア 12:3 33号 1-2, 1999)


 この度、「病院前救護体制のあり方に関する検討会」が厚生省により設置され、平成11年6月9日、厚生省別館会議室にて第1回検討会が開催された。これは、救急救命士の処置範囲の拡大、医師の関与のあり方について検討するもので、計5回の検討会を経て、本年12月には報告書が取りまとめられる予定となっている。

 第1回検討会では、現状と課題として、まずメディカルコントロール、諸外国の現状についての厚生科学研究報告がなされ、続いて東京消防庁より救急現場報告がなされた。


 検討会委員(五十音順)
石原 哲(全日本病院協会常任理事)
 宇都木伸(東海大学法学部長)
 大塚敏文(日本医科大学理事長)
 小濱啓次(川崎医科大学救急医学教授)
 篠田伸夫(救急振興財団副理事長)
 嶋森好子(日本看護協会常任理事)
 白谷祐二(東京消防庁救急部長)
 奈良昌治(足利赤十字病院院長)
 針生 進(仙台市消防局警防部長)
 前川和彦(東京大学医学部救急医学教授)
 松原 了(神奈川県衛生部長)
 南  砂(読売新聞解説部)
 宮坂雄平(社団法人日本医師会常任理事)
 山中郁男(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院
      救命救急センター長)

   東京大学医学部救急医学教授前川和彦氏らによる厚生科学研究報告『米国のプレホスピタルケアにおけるMedical Control』では、まず、米国のMedical Control(以下MC)の考え方とMedical Directorの位置づけについて述べられ、その業務内容も、地域における患者の病院間搬送基準及び搬送中の処置、プロトコールの作成に始まり、Dispatcb CenterへのMC、現場パラメディックへのMC、パラメディック養成所へのMC、卒後教育にかかわること、そして現場で行われたパラメディック処置の適否をチェックすることと、多岐にわたっているということが報告された。

 そして、「今後の日本における展望と提言」として、以下の内容が挙げられた。

1 個人資格としての救急救命士

 救急救命士は個人資格としての国家資格ではあるものの、その使用制限が消防内部でしか現実的には使用できない。医師法とのからみもあるが、今後米国のように自由に民間会社で活用の場を与えないと今後の制度の進展がない。

2 救急救命士を消防内部にて職能として認めることの必要性

「職能」として認めない限り、消防内部で国家資格としての救急救命士を取得することのmotivationが起こらない。内部評価がみな一緒であれば、苦労して勉強して試験を受けたいとは誰も思わない。消防内部にも資格は種々あるが、これらと救急救命士という国家資格とを同列に扱うべきではない。

3 Medical Director制度の導入

 すべてのOn−Line、Off−Line MC、Quality Assuranceを介入させるだけの土壌を消防内部に作ること。そのポジションに対しては十分な補償(対価、地位保全)を支払うこと。また消防内部にての発言力をもたせ、現在のようなアドバイザー的なものにしないこと。

4 医療側の発想を変えること

 Medical Directorはアルバイト的な感覚では行わず、それ相応の対価に対する責任を全うすること。現在のような救急隊指導医のような日替わり定食的なものであると責任の所在も不明確であり、指導医の責務自体も不明。

 またMCの意味を十分に理解し、controlできうるだけの能力があり、責任のとれる人材であることが医師側に必要とされる。

5 資格更新制度を考慮すること

 消防組織内において、医学教育を生涯教育として行うには、いまだ自発的に、かつ能動的に自己完結型の学習は不可能である。そのため、医療サイドのコントロール下において十分な卒後教育と資格更新(国家の資格ではなく、消防や医学会や、あるいは都道府県などで新たに制定した資格など)を行わなくてはならない。

 なお、第2回検討会は8月2日に開催される予定である。救急救命士制度導入の評価について、消防庁調査の中間報告、救急医学会の調査研究報告がなされるほか、地域の先駆的な事例の報告も交えて検討が行われる。

 また、第3回は9月上旬、第4回は10月下旬、第5回は12月中旬に開催される予定である