NEWS WAVE

各地のニュース

東京消防庁「救急ヘリコプター」運用開始

編集室

(プレホスピタルケア 12:1 31号 64-65, 1999)


はじめに 

 東京消防庁は、平成10年10月30日より、全国で初めて「救急ヘリコプター」の運用を開始した。

 これは、同年3月の消防法施行令第44条の改正により、ヘリコプターによる救急隊が位置づけられたことに伴うもので、従来の消防ヘリコプターに高度救急処置対応の新たな体制を整備し、「救急ヘリコプター」として導入を開始したものである。

 

「救急ヘリコプター」運用に至る経緯

 東京消防庁では、昭和42年に島しょ地区からのヘリコプターによる救急搬送業務を開始して以来、3,500名以上の傷病者を搬送してきた。平成4年からは多摩の山間地域などで発生した傷病者に対してもヘリコプターを活用してきている。

 平成7年の阪神・淡路大震災では、被災地以外の医療機関に傷病者を搬送できるヘリコプターの救命効果が見直され、また近年東京都内では、交通渋滞や多摩地区での救急件数の増加等により救急ヘリコプターの潜在的需要が高まつてきている(表1・2)。

 こうした状況から、東京消防庁では、救急ヘリコプターの必要性と効果的な業務体制について東京消防庁救急業務懇話会に諮問し、平成8年3月に救急専用ヘリコプターの導入の必要性を提言した答申を受けた。

 自治省消防庁においても検討委員会が設置され、ヘリコプターを活用した救急システム確立のためのガイドラインが平成8年12月に報告書としてまとめられ、昨年3月には、消防法施行令第44条が改正され、「救急隊の編成及び装備の基準」の中に「回転翼航空機1機及び救急隊員2人以上をもって編成」することが規定された。

 これらのことを踏まえて、東京消防庁では、従来の消防ヘリコプターに高度処置救急活動を確保した体制を整備し、今回「救急へリコプター」として新たに運用することとした。

 

「救急ヘリコプター」の活動体制

1 配置場所

 従来の消防ヘリコプター6機のうち2機を「救急ヘリコプター」として運用するものとし、下記2か所のヘリポートに1機ずつ配置した。

(1)東京消防庁航空隊(東京都江東区新木場)

(2)多摩航空センター(東京都立川市)

2 運航範囲及び運航時間

 運航範囲は東京消防庁管内及び島しょ地域とし、業務実施時間は原則として日の出から日没とする。

3 対象救急事案

  1. 現場到着時間または医療機関への搬送時間を著しく短縮できる場合。

  2. 現場の救急隊長からの要請がある場合。

  3. 119番通報内容等から救急ヘリコプターの運用が必要である場合。

  4. 早期に医師、救急救命士及び救急資器材等を災害現場に搬送することにより救命が期待できる場合。

  5. 多数傷病者の発生が予想される場合。

  6. 応援協定等に基づく救急ヘリコプターの要請に対して特に必要と認める場合。

 

新たに整備された活動体制

 今回新たな活動体制として整備されたのは以下の点である。

1 救急隊員の搭乗体制

 原則として、救急隊員(救急救命士)2名が搭乗する(従来は1名が搭乗)。

2 医師の搭乗体制

 救急救命センター及び屋上に緊急離着陸場を有する3つの医療機関(日本赤十字社東京都支部武蔵野赤十字病院、国立病院東京災害医療センター、東京都立広尾病院)と協定を締結し、必要によっては医師が搭乗できる体制とした。

3 医師との連絡手段

 救急救命士が処置を行う際の医師や病院等との専用の連絡手段として、航空機電話を設置した。

4 救急資器材の配備

 従来より配備されている資器材以外に、新たに運航中、気圧、振動等に影響されない次の救急資器材を配備した(ただし、電磁場がヘリコプターの計器等に与える影響を検証した上で搭載)。

1.輸液ポンプ 2.患者監視装置(心電図、血圧、脈拍、血中酸素飽和度を監視)

 

おわりに  

 この体制により、ヘリコプターにおける救急搬送においても、救急自動車による高度救急処置と同等の処置が実施できるようになつた。救急ヘリコプターの活躍が大いに期待されるとともに、今後他の都市でも救急ヘリコプターの導入が検討される契機となることを願うものである。

 

表1  東京消防庁のヘリコプターによる救急活動件数

 

平成 7年

平成 8 年

平成 9年

島しょ地区

152 件

170 件

200 件

多摩地区等

43 件

31 件

35 件

合   計

195件(172)

201件(184)

235件(212)

*(  )内は、搬送人員を示す。

 

表2  全国の消防・防災ヘリコプターによる救急活動件数

 

平成 7年

平成 8 年

平成 9年

救急件数

389 件

428 件

510 件

保有機数

50 機

58 機

63機