器材紹介

蘇生訓練用生体シュミレーター

KOKEN RESIM

編集室

(プレホスピタルケア 11:3 29号 62-64, 1998)


はじめに

 心肺停止患者の救命率を上げるためには救急隊や医療機関の問題と同時にバイスタンターによる適切なCPRの実施が重要であるといわれている。このCPRの訓練指導に用いるシミュレーターとして、人形部にバイタルサインを確認できる機能を持ち、心肺停止から蘇生に成功するまでの過程をリアルに模擬体験できる画期的な機能を備えた「RESIM」を紹介する。

 

これまでの経過

 初代のRESIMは昭和57年に国産初のCPR訓練用人形として発売された。それは画期的な機能を備えていたために多方面から注目を集め、これまでに全国で医師、看護士、救急隊員などにより活用されてきた。また平成3年に救急救命士法が制定されて以来、各地の消防機関からの需要が急速にのびた。さらに平成9年4用には全面的なモデルチェンジが行なわれ、ユーザーからの要望を取り入れて小型軽量化されると同時に、いくつかの機能が追加された。

 

特徴

 通常のCPRの訓練では人形の機能的限界から、主に手順を学ぶことや処置の正確さに主眼が置かれ、蘇生を成功させた達成感までを体験することは不可能であった。RESIMでは種々なバイタルサインを人形部に再現でき、これらが消失した状態からCPRを実施することで、蘇生に成功する瞬間までをリアルに模擬体験できるようになっている。訓練者は先ず人形のリアルさに驚き、そのバイタルサインのチェックに関心を持ち、心肺停止を確認して適切なCPR続けると、バイタルサインが再現し蘇生が確認できる。このように蘇生に成功する歓びまでをリアルに模擬体験できるので真剣な訓練への取り組みを促し、後にCPRを必要とする場面に直面した際にも、すぐに実行できる「自信」をも養成できるのが特徴である。

 

訓練手順と主な機能

(1) 先ず正常状態にセットしてバイタルサインの確認を行う。以下のものが確認できる。

    1. 意識の確認(呼びかけによる開眼)

    2. 自発呼吸の確認(腹部動による)

    3. 脈拍の確認(総頚動脈、とうこつ動脈の触知)

    4. 瞳孔の対光反射(ペンライトによる確認)

    5. 心音の確認(聴診器による聴取)

    6. 血圧の測定(触診法、聴診法による)

(2) 訓練者の経験に応じた異常状態を設定する。

    1. 呼吸停止からの経過時間を設定する。

    2. 心拍停止からの経過時間を設定する。

    3. 必要なら手位置センサーの感度を設定する。

(3) 心肺蘇生法を実施する。

    1. バイタルサインの確認

    2. 気運確保

    3. 人工呼吸

    4. 心臓マッサージ

    5. 血圧測定

(4) 実施中には画面表示と警告によるガイダンスが行われる。

    1. 人工呼吸による吹込量と適否を判断し画面に表示する。

    2. 心臓マッサージの胸骨圧迫深度と手位置不良の適否を判断し自動警告すると同時に画面に表示する。

    3. 処置により変化する血圧値と自発パルスの有無を画面に表示する。

(5) 総合判定

 人形に対して実施された処置はコンピューターで判定され、適切なCPRを行うことにより蘇生する。処置によつては蘇生させることができない場合がある。またCPR開始が遅れたり、中断した場合は悪化し蘇生までに要する時間が長くなる。

(6) 蘇生できたことを人形のバイタルサインで確認し、画面で処置の有功率を確認できる。

(7) 訓練結果のプリントアウトができる。

   訓練中の経過状況と判定結果をプリントアウトでき、訓練者に指導できる。

   昨年のモデルチェンジにより以下の改良が行われた。

 

主な仕様

 1.人形部  性別:成人女子

   身長:約160cm  重量:約18kg

 2.コントロールボックス

   寸法:W305mm、D350mm、H440mm

   重量:約11kg  定櫓電圧:100VAC

 

おわりに

 救急隊員が行う現場処置をより確実に習得したり、市民への応急手当の普及啓発に用いて蘇生法への関心を高め、さらに受講者に自信を持たせる工夫までされているRESIMは、今後ますます活躍が期待される製品であり、さらに多くの機会に有効に活用されれば、救命率の向上も期待できる。

 最後に、本稿執筆にあたり株式会社高研のご協力に感謝する。