器材紹介

救急情報処理システム

Rec119

編集室

(プレホスピタルケア 10:4 26号 57-60, 1997)


はじめに

 年々増加する救急出場件数、そして高度化する救急業務。それに伴い、現場での観察データ収集、医師への報告の迅速化、帰署後の報告書作成の簡素化も急務となっている。本稿では、現場で携帯型端末にペンタッチ入力することで観察データの記憶、医療機関へのデータ送信、帰著後の報告書作成、さらに研究用のデータ統計が可能な救急情報処理システム、「Rec119」を紹介する。

 

構成機器

(1)情報入力システム

  1. 携帯型端末:SHARPコペルニクス(タテ179mm、ヨコ263mm、厚さ39mm)

  2. 携帯型プリンタ:Canon BJプリンタ

  3. 通信用モデム

  4. データバックアップ:Zipディスク

  5. 情報入力ソフトウェア

 

(2)情報統計システム

  1. デスクトップパソコン:Windows95

  2. レーザープリンタ

  3. 統計ソフトウェア

 

システムの概要と特徴

 同システムを活用した際の特徴として、

 1 ペンタッチ入力

 すべての入力は画面をペンタッチ(あるいは指でタッチ)することによって行うことができる。

 2 通信機能

 画面上のFaxボタンをタッチすることで、自動車電話の回線を利用して傷病者の観察データを医療機関へ直接Fax送信すること ができる。また、近い将来デジタル回線化に伴い、自動で医療機関へダイヤルすることが可能になる見込みである。

 また、同様に各消防署から本部へ電話回線を利用してデータを送信することができる。

 3 時間記録

 出場から帰署まで、行った処置及び意識レベルの経過等の時間管理ができる。

 4 救急支援ソフト

 観察データの入力は、「外傷」「疾病」「中等」「熱傷」「幼児」等に分類された項目を開くことにより、各症状の観察手順に沿って行うことができる。

 また、入力した観察データの数値によって内蔵ソフトが重症度を判断し、自動的に病院選択を行う。

 5 携帯型プリンタ

 医療機関において、現場処置、意識レベルの時間経過を確認することができる。

 6 帰署後の事務処理

 現場で入力したデータによって、そのまま書式に従った報告書を作成することができる。また、データ入力が完成された救急草案のみ報告書となるので、未完成なのか完成しているのかが不明な報告書がなくなる。

 7 統計処理

 現場の入力データはそのまま統計ソフトに連動するため、救急に関する各種の統計が速やかに作成できる。などが挙げられる。

 

おわりに

 救急隊員が行う業務は現場の活動にとどまらず、市民への応急手当の普及活動、各種研修や訓練、自己研鑽のための学習、研究など多岐にわたっている。こうした現状で、同システムのような方法で事務処理に割く時間を短縮することも重要であろう。また、本部内での統計処理の統一化、そしてそのデータをもとに研究資料へ活用したり、市民へのデータ開示により救急事故予防の普及啓発に活用するなど、多方面での有効活用の可能性も秘め、今後注目されるシステムになるかもしれない。

 最後に、本稿執筆にあたり株式会社ワコー商事のご協力に感謝する。