この原稿は救急医療ジャーナル'98第6巻第5号(通巻第33号)「TOPICSトピックス」のページを収載したものです。もしホームページを希望されない記事や訂正を希望される部分がありましたら、 web担当者までご連絡下さい。

スチュワーデスを対象に救急員を養成

日本エアシステム(JAS) 日本エアシステム(JAS)では、今年度より、自社で救急法講習会を実施するな ど、全社を挙げて、救急法の普及と救急員の養成に力を入れている。

救急員は日本赤十字社が与える民間資格で、18時間の救急法講習会を受けた後、 筆記と実技の試験に合格すると認定される。同社には、以前から、自主的に救急員の 資格を取得しているスチュワーデスが70人ほどいたが、昨年度からは、「乗務員が 救急法を身につけ、乗客の安全を守ることもサービスの一つ」であるとして、会社と して救急法の普及を図ることにした。

昨年度はまず、日本赤十字社認定の救急法指導員を3人養成、救急員養成教育に取 り組むエキスパートとして訓練所に1人、現場に2人配置した。また、自社による救 急法講習会の試みとして、日本赤十字杜の講師を迎え、訓練所の教官や、スチュワー デスのリーダー的存在であるアドバイザーを対象とした救急法講習会を開催した。

今年度は、3人の救急法指導員を講師として、救急法講習会を自社の施設内で年4 回計画し、救急員養成を本格的にスタートさせた。すでに、6月と9月の2回に渡り 実施。いまのところ、訓練所の教官以外のスチュワーデスは、休みを利用して自主的 に参加しなければならないが、30人の定員に対し、70人の申し込みがあるとい う。

客室本部客室乗員部乗務室の吉田千鶴子室長代理は、受講希望者が多い理由につい て、「通常のサービスやクレーム対応については、乗務経験を積むにつれて、実力や 自信が身につくものですが、緊急事態の対応については、日頃の業務を通して経験を 積むことがなかなかできません。ですから、私たちは、「機内でお客様が倒れたと き、自分は冷静に対応できるだろうか?」「今日、具合の悪くなったお客様がいた が、実施した処置は適切だったのだろうか?などと、常に不安を抱えています。

そのため、スチュワーデスたちは、正しい救急法の知識や技術を身につけ、急病人 発生時等にプロとして自信を持って対応したいという思いで、講習会を受けているの だと思います」と語る。また同社では、乗務時に救急員であることを示す認定バッジ の着用を義務づけており、このことも学習意欲を高める動機づけの一つになっている という。

救急員資格取得者は、今年の5月15日から、乗務時に「FIRST AIDE R」のバッジを着用していますが、「自信につながる」「お客様に安心感を与えるこ とができる」と好評で、自主的に日赤の講習会に参加する者も増えているようです。

当社の救急員資格取得者数は現在、約100人ですが、今年度中には、延ベ200 人以上になるのではないかと期待しています」救急法講習会のほか、9のつく日を 「救急の日」と決め、「JASオリジナル」ともいえる救急法勉強会を開催してい る。これは、救急法指導員が毎月、「心肺蘇生法」「骨折」などのテーマを日本赤十 字社のカリキュラムに基づいて決め、機内で発生した事例も入れた実践的な指導内容 を企画し、実施しているものである。9日は東京、19日は大阪、29日は福岡と毎 月3回開催。4月から7月で、延ベ300人以上が参加している。

これまでの成果について、吉田さんは「第一段階としては、救急法の技術そのもの の向上ではなく、緊急事態にお客様の安全を守ることもサービスの一つであるという 意識の向上を図り、救急法を学ぶきっかけづくりをしたいと考えていましたが、皆、 大変意欲的に取り組み、それ以上の効果を上げているのではないかと思います」と話 している。

今年8月には、講習会を受けてまもないスチュワーデスが、東京モノレールの羽田 空港駅で傷病者に遭遇する、という事例もあった。

倒れている傷病者を発見したスチュワーデスは、講習で学んだ通り意識を確認した が、反応はなかった。 「彼女も一瞬、とまどいがあったようですが、すぐに気道確保などを実施し、救急法 指導員2人がフライトを終えて事務所にいることを思い出し、電話をかけて呼んだそ うです。幸い、CPRの心得のあるお客様が近くにいたため、駆けつけた救急法指導 員とそのお客様のニ人でCPRを実施しながら、救急車を待つたとのことでした。私 どもの講習の目的は、機内だけでなく、いつ、どこで緊急事態に遭遇しても、きちん と対応できる人材を育成することにありますから、今回の事例は、スチュワーデスに とつても救急法指導員にとつても、救急法の重要性を再認識する機会になったのでは ないかと思います」。

同社によれば、着陸後に救急車で搬送されるなど、症状の重い傷病者の発生件数は 年間約50件程度であるが、便数および利用客の増加に伴い、機内で異常を訴える乗 客は、年々増えているという。

同社では現在、救急車で搬送された傷病者については必ず、病院に予後を確認して いる。そして、結果を担当者に知らせるだけでなく、必要に応じて産業医のコメント をつけたプリントを作成して回覧するなど、重症傷病者の事例を現場のスタッフに フィードバックしている。ただ、いまのところ消防との情報のやりとりは、ほとんど 行われていないのが実情で、吉田さんは、この点について、「私たちが具含の悪く なったお客様を引き継ぐのは、救急隊の方です。ですから、来年度以降の計画とし て、救急隊員の方を講師に迎え、引き継ぎ後、救急車内でどのような処置が行われる かなどについて学ベる講習会を実施し、救急隊との連携を図ることができればと考え ています」と話している。


ポケベルを利用した防災情報通信システムの運用を開始

神奈川県川崎市 神奈川県川崎市では、今年8月より、災害発生時にポケットベルネットワークを通 して、(1)消防職員に対して緊急動員通知を送信する、(2)川崎市民に対して防 災情報等を発信するということの機能を持つ防災情報通信システムの運用を開始し た。

このシステムは、複数のポケットべルに共通の番号を設定することによって、一斉 に情報伝達することを可能にしたもので、災害発生時の初動体制の強化に効果を上げ ることが期待されている。

同市では、災害発生時、消防職員の緊急動員通知について消防指令センターから各 消防署へ、さらに一人ひとりの職員へと伝達される。しかし、従来、緊急連絡はすベ て電話で行われていたため、時間がかかったり、不在の場含は運絡が取れないなどの 点が問題となっていた。

これに対して、新システムでは、共通番号を設定したポケットベルが500人の消 防職員に配布されているため、指令センターのパソコンで入カしたメッセージを共通 番号に送信するだけで、一斉にその情報を伝えることができる。

さらに、同システムでは、災害時にはポケットベル回線に加えて、携帯電話回線、 衛星携帯電話回線を緊急回線として確保し通信するため、輻輳を避けることもでき る。

川崎市総合企画局企画推進課の担当者は、新システムについて、「電話では、連絡 網が回るまでに20分ぐらいの時間がかかっていましたが、本システムの導入によ り、10分程度の時間の短縮が実現できそうです。また、外出中の職員に確実に連絡 できることも大きなメリットです」と語る。

一方、市民向けの防災や災害に関する情報は、JRの川崎駅、武蔵小杉駅と、東急 田園都市線の

鷺沼駅の駅前に設置された電光表示装置により提供される。装置の大 きさは高さ390Cm、幅180cm、奥行き70cm。市役所のパソコンから、装置に内 蔵されているポケットベルに送信されたメッセージが、縦40cm、横102cmの表示 画面に映し出される仕組みである。

電光表示装置は耐震構造であるばかりでなく、太陽光発電と商用電源で駆動し、停 電しても内蔵バッテリーで最低3日間は作動するなど、緊急時に備えた配慮もなされ ている。

平常時、ポケットベルと電光表示装置には、防災情報のほか、ニュースや気象情報 などが流れる。同システムは、2年間の実験期間を経て本格的に運用される予定に なっており、同市では、この間に消防職員や市民に対するアンケート調査を行い、反 響を調ベるなどして、慎重に検討を重ねていきたいとしている。


救急車内のエピネフリンについて保管温度による効能の変化を調査

アメリカ・コロラド州 コロラド州で行われた研究によって、救急車に積載されているエピネフリンの効能 は、6か月の間に大きく失われることが明らかになった。

コロラド救急医療研究センターとコロラド大学健康科学センターの研究者たちは、 アンプル、バイアル、注射用シリンジの3種類の容器に入れたエピネフリンを、都市 部の救急車、郊外の救急車、さらにに実験の照査基準として、救急医療サービスの事 務所内の計3か所に置いた。

そして、それぞれの設置場所の気温を10分ごとに記録し、3か月ことにエピネフ リンをサンプリングした。

この実験を指揮した、正看護婦でパラメディックでもあるマリリン・ボーン氏は、 「実験では、6か月の保存期間にエピネフリンの薬効に大きな減少が見られたが、薬 品に影響を与えた唯一の変数は気温だった」と述ベた。

薬品メー力ーの指示書(添付文香)には、エピネフリンはほぼ15から30度Cで保 管するようにと記載されているが、実験では、都市部の救急車内の気温は7から38 度C、郊外の救急車内では11から40度Cであった。

研究グループは、実験の概要を5月の救急医療学会で発表しており、現在、今秋発 表予定の2本の論文に取り組んでいる。ボーン氏によれば、すでに5か所で、価値あ るー年間の試験結果を得ているとのことで、研究グループは現在、化学変化が及ぼす 臨床的影響について調査中である。

「この研究結果によって、EMS(救急医療サービス)システムによる結果の違い を説明できるようになるかもしれない」と、医学博士のケイ、ハンダル氏は語る。彼 はフェニックスの救急医で、米国救急医師会EMS委員会の前委員長でもある。彼は さらに、「もし、これらの薬品が、薬品メー力ーの指示する温度で保管されていると 保証できなければ、その薬品は劣化している。また、そのような保管の仕方は違法で ある」とも述ベている。

EMSの薬品保管温度の問題は、ミシシッピ州EMS州監督者のウェィド・スプ リュール氏が、もう一人の研究者との共著で「プレホスピタルEMSでの薬品劣化」 を発表し、EMS州監督者協会に問題提起した1994年に表面化した。

「われわれが適正な温度で薬品を保管していないことは、いまや周知の事実であ る」と、ニュージャージー州EMS監督者のジョージ・レジェット氏は述ベ、同州で は救急車に搭載している薬品についてのいくつかの研究が進行中である、と報告し た。

1995年、スプリュール氏は、ミシシッピ州のEMS。フロバイダーに、次のよ うな通達を出した。救急医療に用いる薬品を適切な温度で保管するように努めるこ と、薬品メーカーが指示する温度の範囲内で保管されていた薬品のみを、十分に冶療 に使えるものと見なすこと、病院やクリニック、薬局内で薬品メーカーの指示通りに 保管されていなかった薬品を使い回すのを避けること、劣化した薬品は破棄すること である。

最近、彼は「多くのプロバイダーが、以前よりも薬品の管理を適正に行っているこ とに拍手を送りたい。しかし、それですベてが解決した訳ではない。問題は依然とし て残っており、市民の命にかかわることなのだ」と述ベた。

また、前米国救急医師会EMSディレクターで、スプリュール氏の薬品劣化に関す るレポートの共著者であるボブ・ケロウ氏によれば、USファーマコピア(アメリカ 薬局方)は、現在この問題について、EMS特別専門委員会を組織しているとのこと である。ケロウ氏は、温度変化を監視し、温度管理を行うことができるような救急車 用薬品箱の特許を持つ会社を経営しており、この製品の製造をする会社を探してい る。

一方、ボーン氏はプロバイダーに、薬品保管場所の温度を監視すること、薬品を温 度管理されている棚に保管するよう心掛けることを呼び掛けており、出動しない場含 には、救急車から薬品を下ろしておくことも考慮する必要があると思う、と述ベてい る。

「EMSINSIDER1998年8月号より、訳/林香代子)


市民救命士の会が、CPR普及のために自主企画請座を開催

東京都 東久留米CPR友の会 さる7月25日、東京都東久留米市の市民救命士によるボランティア団体「東久留 米CPR友の会」が、自主企画講座「幼児の応急手当」を開催した。

市民救命士とは、東久留米市消防本部が実施している「市民救命士養成講習」を修 了した人のことで、16時間の講習を修了後、上級救命講習の修了証と併せて、市民 救命士認定証が与えられる。同消防本部では、1993年より市民救命士を養成して いるが、昨年3月、市民救命士の有志により、CPRの技能維持とレベルアップ、な らびに応急手当の普及啓発を目的に、「東久留米CPR友の会」が結成された。

友の会の代表者である川島清詩さんは、会結成の経緯について、「市民救命士の資 格は3年間有効ですが、繰り返し訓練する機会がなければ、せっかく身につけた知識 や技術を忘れてしまい、いざというときに役に立たないと考えたのがきっかけです。 そこで、仲間と一緒に自主的に訓練することはできないかと思い、ほかの市民救命士 に声を掛けてみたところ、賛同してくれる人がいたので、「CPR友の会」を結成す ることにしました」 と語る。

現在、会員は57人。市の防災訓練で包帯法を実演するなど、さまざまなイベント に参加してCPR普及活動を行ってきたが、最近では、友の会が独自に企画し、医師 や救急救命士に講師を依頼して実施する自主企画講座に力を注いでいる。7月の「幼 児の応急手当」講座は、本年度の第2回目の自主企画講座として、都立大塚病院の辻 村淑子婦長を講師に迎え、行われたものである。

当日は、幼児を持つ母親35人が参加。約2時間に渡る講義では、「子どもに異常 が見られても、慌てず落ち着いて症状を判断する」「病院に行くときには、母子手帳 など、子どもの日頃の様子を説明できる資料を持つていく」など、緊急時の心構えや 対処法のほか、元気がないときにおふろに入れてもよいかどうかなど、日常生活にお いて注意しなければならないことについても、詳しい説明がなされた。

また、具体的な応急手当として、誤燕時の異物除去法や外傷処置を指導。とくに、 子どものけがとして頻度が高いやけどの応急手当については、三角巾と訓練用人形を 使った実技講習も行われた。受講者からは、「人形を使って実際に練習することがで きたので、いざというときに自信を持って実行できそう」などの声が聞かれ、好評 だったとのことである。

自主企画講座は、「心肺蘇生法」「幼児に起きやすい事故の救急法」「高齢者の諸 問題」などのテーマで年に4から5回開催されているが、とくに幼児、高齢者につい ては、CPRの指導だけでなく、日頃から注意しなければならない事項や、身近な幸 故の予防策を細かく指導するのが特長である。

東久留米市消防木部では、友の会の活動を高く評価し、会場を提供する、救急救命 士を講師として派遣するなどの形で自主企画講座に協力しているが、この点につい て、救急福祉担当主幹の千葉弘さんは、「数時間の救命講習でCPRをマスターする ことは難しいとの考えから、16時間の市民救命士養成講習を実施していますが、き め細かな指導を行うには、これでもまだ十分とはいえません。その点、友の会の自主 企画講座は、テーマを絞り込んで、より具体的な知識や技術を修得できるような内容 になっているので、学ぶところも多いと思います。一人でも多くの方に参加してほし いですね」と話している。

川島さんは、今後の活動について、「今年、4人の会員が(財)東京救急協会の応 急手当普及員として認定され、講師としてCPR講習に出向くこともできるようにな りました。講座の内容を企画したり、講師を務めることは会員自身のレべルアップに もっながりますので、これからも、さまざまな普及啓発活動を積極的に展開していき たいと考ています」と語る。

千葉さんもまた、「市の広報紙などを通して、友の会の活動や講習への参加を呼び 掛けていきたいと思います」と話している。

現在、市民救命士の数は333人。今年の2月には、市内の全23町に行き渡っ た。市民救命士制度は着実に普及しているといえるが、緊急事態に対応するために は、資格を取得するだけでなく、「自分の身は自分で守る」という意識を高め、自主 的に事故の予防策や緊急時の対応策を取ることも大切である。

ボランティアとして活動を続ける友の会の会員には、市民のリーダーとしての活躍 が期待されている。


山で発生した救急患者を衛星を使って遠隔治療

信州大学医学部・山岳部常念小屋診療所 長野県の北アルプス・常念岳(2875m)の2450m地点にある信州大学医学 部・山岳部の常念小屋診療所では、今夏、人工衛星を使用した遠隔医療システムの実 験を行った。

松本市にある同大学医学部附属病院の救急部に当番医を配置し、同診療所から、人 工衛星を通して送られてくる救急患者の映像をテレビ画面で見ながら診断、治療方法 を指示する仕組みである。

信州大学医学部では、夏山診療所として、1986年に常念岳山頂付近に診療所を 開設。毎年、7月20日から8月20日までのーか月間、医師と看護婦、医学部・山 岳部の学生の計3人がボランティアで常駐し、山で発生する救急患者の診療に当たっ てきた。夏季シーズン中、常念岳頂上に近い山小屋に宿泊する登山者数は1万人近く に達し、毎年、100人を超える登山者が診療所で診察・治療を受けている。

受診するのは、ほとんどが頭痛や過呼吸、腹痛などの軽症患者で、簡単な診察、応 急処置を受けた後、自力で歩いて下山できるケースが大部分を占めている。しかし、 中高年の登山、ブームで40歳代以上の登山者が増え、体力不足からくる高山病や骨 折などの救急事例が増加しており、なかには病状が複雑で、診療を適切に行うための 判断が、診療所だけでは難しい症例もあるという。

そこで、夏山診療所の診療をより充実させるために、今回の実験が行われた訳だ が、この点について、同大学医学部医療情報部の滝沢正臣副部長は、「患者が当番医 の専門外の症状を訴えている場含や、天候等の事情でローテーションの医師が入山で きず、看護婦と学生のみが診療に当たっているような場含には、十分な対応ができ ず、近隣の基幹病院の専門医に電話で相談することもあります。この場合、相談を受 けた専門医は、音声のみのやりとりを通して、ヘリコプター搬送の必要性などを判断 するしかないのが現状です。

これに対して、映像伝送が可能な遠隔医療システムが実現すれば、専門医による患 者の観察と対話から得られる情報を基に行った指示によって、迅速かつ的確な処置が 可能になり、患者に安心感を与えることができる、診療所や山小屋、遭難対策関係者 の精神的な負担を減らすことができる、効率のよいへリコプター搬送が可能になるな ど、さまざまな効果が期待できます」と話している。

実験は、診療所開設期間である7月20日から8月20日の1か月間に渡り実施さ れた。診療所には、もともと酸素供給装置や簡単な手術を実施できる外傷セットなど の資器材を準備しているが、今年の夏は実験に向けて、通信用装置、テレビ会議装 置、移動TVカメラ、心電図モニター等の資器材をへリコプターで運び込んだ。

一方、松本市の同大学医学部医療情報部にも、通信用装置とテレビ会議装置を設 置。専門医の診断が必要と判断される患者が診療所で発生した場含には、救急部の当 番医が診療所から送られてくる患者の映像をテレビ画面で見て、処置方法等を指示で きるようにした。

今シーズン中に同システムを利用した事例は5件。膝の亜脱臼、原因不明の熱など の患者であったが、いずれも診療所で処置を受けた後、無事、徒歩で下山することが できたという。

滝沢副部長は、実験の成果について、「実際の症例を扱うのはむろんのこと、これ に加えて、機能や費用効果などを評価することも大きな目的の一つでした。今回の実 験は、常念岳に限らず、多くの山小屋を対象に、実用性の高い遠隔医療システムを検 討していく上で、貴重な材料になったと思います。来年もまた、関係機関の協力が得 られれば何らかの形で実施し、他の山小屋にも普及させたいと考えています」と話し ている。


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