この原稿は救急医療ジャーナル'96第4巻第6号(通巻第22号)「TOPICSトピックス」のページを収載したものです。もしホームページを希望されない記事や訂正を希望される部分がありましたら、 web担当者までご連絡下さい。

防災映画「絆-明日への架け橋-(仮題)」完成間近

自治省などの支援の下、ボランティアで製作 映画関係者がボランティアで製作す る防災映画「絆-明日への架け橋 -(仮題)」が、10月18日、兵庫県淡 路島の洲本市でクランク・インした。 同映画は、監督をはじめ、脚本家、出 演者など製作にかかわる関係者のほと んどがボランティアであること、自治 省消防庁が全面的にバックアップする ことなどで話題を集めている。

キャスティングは、主役の小学校教 師で特別救助隊員の"佐伯誠"役に緒 形直人、その父親で、元消防団員役に 田中邦衛、母親役に高橋恵子、誠の同 僚の教師役に薬師丸ひろ子、その他、 佐藤慶、樹木希林、森繁久弥など、豪 華な顔ぷれになっている。

物語の舞台は、19年前に大地震に襲 われた海治いの某地方都市。その大地 震の際に母親を失った誠と、その死を 巡って息子との間に深い心の溝が出来 た父親。この親子を軸に、再び起こる 大地震を通して、災害時における家族 や友人などのさまざまな人間ドラマを 描いている。

今回の映画を製作しているのは、「A. V.P.(アーティスト・ボランティア・ プロジェクト)」というプロジェクト チーム。監督、プロデユーサー、俳優 など、「映画製作という自分たちの仕 事を通じて防災に貢献したい」という 思いを持つ映画関係者によって組織さ れたチームである。

監督でA.V.P.発起人の一人でもある 菅原浩志さんは、1994年、アメリ カでロサンゼルス大地震を経験し、以 来、災害への備えの重要性を強く感じ ていたという。そんなとき、阪神・淡 路大震災が発生。「映画に携わる者の 一員として、ぜひ、映画を通じて、防 災対策の重要性を伝えたい」とA.V.P. を発足、「絆」の製作に取り掛かった。

阪神・淡路大震災後、多くの防災関 係の映像が作られたが、それらのほと んどは、災害の"恐怖"を描くことで 人々に危機感を抱かせ、防災意識を高 めようとするものであった。これに対 して、菅原監督らは、災害時における さまざまな人間ドラマを描くことで、 見る人に感動を与え、そこから自然に 防災意識が喚起されるような作品づく りを目指している。

製作にあたって、A.V.P.は自主防災 を推進する自治省消防庁に支援を求め た。同庁では、映画製作の趣旨や、ス タッフがボランティアで参加している などの点を高く評価し、積極的なパッ クアップを約束 した。とくに資 金面では、サマ ージャンボなど 宝くじ収入の一 部から支援を行 うとしている。 また、同庁以外 にも複数の企業 や団体等から資 金援助の申し出 があったという。

映画には、激しい地震や現実さなが らの火災シーンも含まれている。この ような難しいシーンをこなして漁場感 を出すため、消防団員の役を演じる俳 優の田中邦衛さんは、製作に先立ち、 東京消防庁品川消防署で火災救助訓練 を体験した。二階家屋からの子どもの 救出や、ポンプからの放水、また斧を 使っての破壊活動等に取り組み、役づ くりに励んだ。

このような製作関係者の意気込みに 呼応して、ロケ地でも映画製作に対し て全面的な応援体制がとられている。 地元消防局など行政機関のほか、漁業 協同組合や地域住民からも支援を受 け、たとえば地元の婦人会からは夜間 撮影に対する協力として、炊き出し等 が行われた。

「絆」は、阪神・淡路大震災から満2 年を迎える来年1月16日に神戸市文化 ホール、同17日に東京の中野サンプラ ザで試写会を行い、その後、公共機関 を中心に配布され、研修や社会活動、 学校活動などに利用される予定になっ ている。


乳幼児特殊救急医療事業を実施

東京都 東京都では、土曜夜間と休日に発生 する乳幼児の急患に対応するため、こ の10月5日から「乳幼児特殊救急医療 事業」を開始した。専門的な医療を必 要とする乳幼児救急患者を対象とした 診療体制の整備は、全国でも初めての 試みである。

わが国における出生率の低下は深刻 な問題となっているが、とくに大都市 部における出生率は低く、東京都の場 合、1994年度で1.16人となって いる。このような出生率の低下にとも ない、小児科専門の医師および医療機 関も減少し、乳幼児に対する救急医療 の確保が困難になっているのが現状で ある。

東京都では、新生児に対しては、す でに「東京都新生児未熟児救急医療事 業」を実施してきたが、乳幼児につい ては、休日診療、準夜診療、休日夜間 急患センターなどの診療体制を整備す るにとどまっていた。そこで今回、乳 幼児特殊救急医療事業を実施すること になったのである。

同事業は、都立病院や民間病院など、 小児専門医療を提供できる都内57医療 機関の協力の下、当番制で実施されて おり、都内12の二次医療圏ごとに1施 設ずつ、都全体で12施設24床が確保さ れている。

受診方法としては、患者は従来通り、 まず最寄りの休日診療、夜間診療、準 夜診療、休日夜間センター、救急告示 医療機関等で受診する。そこで医師が、 小児専門医療が必要と判断すると、東 京消防庁災害救急情報センター、もし くは東京都保健医療情報センター「ひ まわり」に直近の当番病院を確認して 紹介するという方法がとられる。

また、医療機関の調整等の実際の運 用は、(社)東京都医師会に委託している。

診療時間は、休日の午前9時から翌 日の午前9時までの24時間、および土 曜日の午後5時から翌日の午前9時ま での16時間である。

欧米のデータによると、小児に対す る集中治療は、成人や新生児への集中 治療に比ペて完全社会復帰率が高いと されている。また小児の場合、成人に 比べて社会復帰後の生存期間が長いた め、経済面においても意義深いと言わ れている。

わが国における新生児死亡率は、世 界でもっとも低いレベルであるにもか かわらず、乳児期以降の小児の死亡率 は、必ずしも低いとは言い難い。これ には、医療機関におけるマンパワーの 不足、受け入れ医療機関とくに専門医 療を提供できる小児のICUの不足な ど、さまざまな問題が考えられる。

今回の東京都の取り組みは、これら の問題を解決する一助として今後の展 開が期待される。モデルケースとして 東京都に課せられた期待と責任は大き い。


アスピリン等の適用拡大

FDA(アメリカ食品医薬品局) FDA(アメリカ食品医薬品局)は、 以下の2種類の薬剤と1種類の器具に ついて、救急に関連する適用を広げる 決定を下した。

・アスピリン〜心臓発作の徴候が出 ている患者が服用することを推奨する 旨、アスピリンのラベルに記載するこ とを求める通知が出された。新しく適 用を広げる根拠となった研究では、通 常の半分の強さのアスピリンの錠剤で あっても、心臓発作が疑われたらすぐ に服用し、その後30日間服用を続ける と、死の危険性を大きく減少させるこ とが報告されている。

循環の専門医の何人かは、この適用 拡大により、胸部痛がある患者が専門 医に相談せずに、アスピリンを服用す るようになるのてはないかと、心配して いる。

・血栓溶解剤〜ジェネンテック社が、 血栓溶解剤tPA(組織プラスミノゲ ン活性剤)を脳卒中の治療用として販 売することが許可された。今回、脳卒 中患者に血栓溶解剤を使用することの 安全性に対して、相反する結果が報告 されている中での承認となった。

・埋め込み型除細動器〜これまで埋 め込み型除細動器は、心停止を起こし た患者か、心室性不整脈が繰り返して 持続し、薬剤に反応しない患者に対し てしか使用を承認されていなかった。

しかし今後は、心筋梗塞の既往はあ るが、心電計でみればときどき不整脈 を起こしている以外、無症候性である ような人たちにも埋め込むことができ る。

アメリカの心筋梗塞患者は年間約1 00万人であるが、そのうち約8万人 に対して、埋め込み型除細動器の使用 を適用できるようになると予想されて いる。
(訳/三上 斉)


救急車搬送中の突然の加・減速に対応

-傾くベッドで血圧の急激な上昇を防ぐ 自動車で搬送される傷病者が受ける ショックや振動を軽減するベッドが、 東北大学大学院情報科学研究科の猪岡 光教授(知能制御システム学)、佐川貫 一助手と、大泉記念病院(宮城県蔵王 町・高橋孝院長)らのグループにより 開発された。

このベッドを使用することで、救急 車搬送中の突然の加・減速の際の血圧 の変動が抑制されるという実験結果が 出ており、搬送途上における患者管理 という点から注目を集めている。

今回開発されたのは、自動車の加・ 減速の度合いに応じて、自動的にベッ ドが傾き、傷病者の足の部分が下がる よう設計された「アクティブ制御ベッ ド」。ベッドに備え付けられた加速度 計からコンピュータにデータが送ら れ、あらかじめ設定されているアルゴ リズムで計算した角度にベッドが傾斜 するという仕組みである。

ベッドの最大傾斜度は16度。これに より、0.4Gの加速度で約半分、0. 2Gの場合には約70%の加速度を相殺 できるという。

ベッド開発の発端は、5〜6年ほど 前のこと。猪岡教授の元に大泉記念病 院の猪岡英二副院長から、救急車等で 搬送されてくる患者の症状、とくに循 環器系の症状が悪化するのはなぜだろ うか、という質問があった。

「原因を究明するために、私自身が 実際に救急車のベッドに寝て搬送して もらいました。すると、最近の技術の 進歩により、上下振動はいくぶん少な くなっているものの、急ブレーキ・急 発進・急カーブなどで、身体が振り回 されたり、ベッドからずれるなどして 気持ちが悪くなることがわかりまし た」(猪同教授)。

通常、傷病者は救急車の進行方向に 頭を向けて横たわる。そのため急ブレ ーキなどにより、足部から頭部方向に 加速度が働き、血圧が瞬間的に上昇す ることが、気持ちが悪くなる原因であ ると考えられた。

実際、健康な20〜40歳代の男性6人 を対象に搬送実験を行ったところ、安 静時に比べて平均で30%、最大で40% 程度血圧が上昇することがわかった。

「上下振動の吸収は比較的容易です が、前後のそれは大変難しい。たとえ ばどのくらいの速度で走っているかに もよりますが、急ブレーキをかけたと きは、0.4Gほどの加速度がかかり ます。それを吸収するためには、前後 に何mも移動できるベッドが必要にな りますが、実際問題としてそれは不可 能です。

そのため、足部が下になるようにベ ッドを傾けることで身体にかかる加速 度を重力の加速度と相殺し、身体への 影響を軽減させることにしたのです」 (猪岡教授)。

実験は、大泉記念病院の協力の下、 県内の菅生サーキット場を借り切って 行われた。同病院のドクターカーに、 アクティブ制御ベッドを備え付け、22 〜36歳の健康な男性を対象にして実験 したのである。その結果、アクティブ 制御ベッドの場合、ベッドを水平に固 定した場合と比較して、血圧の上昇が 約半分に抑えられるという有効なデー タが得られた。

「今回のアクティブ制御ベッドの開 発は、あくまでも学術的な研究として 行ったものですが、もし要望があれば、 さらに研究を進めて実用的なものに し、実際の救急現場で使用してもらい たいと考えています。

しかし、アクティブ制御ベッドの実 現のためには、動力源やコストの問題 など、まだまだ解決しなければならな い課題が多く残っていると考えていま す」(猪同教授)。

救急車搬送時の振動や加速度の影響 は、傷病者にとって深刻な問題である。 アクティブ制御ベッドの今後の展開を 注目したい。


同名の市町村サミットで進む災害時相互支援協定づくり

「全国池田」「全国かしま」「ドラゴンのまち」など 同じ名前の市町村が集まり、交流を 深める「サミット」において、いま災 害時における支援協定づくりが進んで いる。

「池田」という名前の1市6町(大 阪府池田市、北海道、長野県、岐阜県、 福井県、香川県、徳島県の池田町)は、 11月に徳島県で開催された「全国池田 サミット」において、「全国池田災害相 互支援協定」を締結した。

支援協定づくりのきっかけは、昨年 の阪神・淡路大震災で披害を受けた大 阪府池田市に対して、ほかのメンバー が見舞金を送るなどの支援活動を実施 したことである。昨年7月、長野県で 開かれた同サミットで阪神・淡路大震 災のことが話題に上り、災害に備えて 相互支援体制を確立するため、協定づ くりを進めることを申し合わせた。

徳島県池田町役場総務課係長の安宅 広樹さんは、協定締結に至る経緯につ いて、

「阪神・淡路大震災以前にも、北海道 南西沖地震の被害を受けた北海道池田 町、1994年に集中豪雨に見舞われ た大阪府池田市など、メンバーの市町 村が被災した場合には、見舞金を送る などの支援活動を相互に行ってきまし た。

そこで、災害が起こったときに、全 国池田は日本中に散らばっているとい う利点の下、応急対策や復旧作業に必 要な物資や資器材の提供が迅速に行え るように、支援体制を確立し、明文化 しておく必要があると意見が一致し、 協定づくりに着手することになりまし た」

と語る。

その後、担当者が詳細について協議 を重ね、明文化された形での相互支援 協定が、今年のサミットで締結された。

協定は、災害対策基本法第67条の規 定に基づき、11条で構成されている。 支援活動の内容は、生活必需品の提供、 被災者の救出、医療等に必要な資器材 の提供、支援活動に必要な職員の派遣 などである。避難生活が長期化する場 合も想定し、被災児童らの受け入れも 項目として挙げられている。また、支 援活動の事務局は、サミットを統括す る自治体が持ち回りで務めることにな つている。

このほか、「竜(龍)」の名の付く2 市9町3村(北海道北竜町、雨竜町、 秋田県八竜町、茨城県龍ヶ崎市、山梨 県竜王町、長野県天龍村、静岡県龍山 村、天竜市、竜洋町、滋賀県竜王町、 和歌山県龍神村、熊本県竜北町、龍ヶ 岳町、鹿児島県龍郷町)で構成される

「ドラゴンサミット」でも、さる9月 30日、「ドラゴンのまち災害時応援協 定」が締結された。

ドラゴンサミットの目的は、ドラゴ ンのまちがお互いを知り、さまざまな 情報交換を図り、切磋琢磨してまちづ くりを進めることだが、参加している 市町村は全国に散らばっているため、 災害時に同時に被害を受ける可能性が 低く、支援の効果が期待できることか ら、応援協定を締結することになった。

支援活動の内容については、池田サ ミットの協定と同様であるが、市町村 の数が多いため、北海道・東北地域、 首都周辺地域など五つの地域区分を定 め、地域単位で円滑な支援活動を実施 できるように規定されている。

また、10月に茨城県鹿嶋市で開かれ た「かしまサミット」では、同市と佐 賀県鹿島市、福島、石川、島根各県の 鹿島町、鹿児島県鹿島村の2市3町1 村の首長らが、災害時相互応援協定づ くりに合意した。

「災害時における全国かしま連絡協 議会相互応援協定(案)」では、災害 時の支援活動に加えて、自治体の防災 担当課長を連絡責任者とし、災害対策 連絡会議を定期的に開催することが盛 り込まれている。連絡会議では、応援 のあり方や協定の見直しを協議するだ けでなく、地域防災計画を相互に提供 するなど、平時における防災対策につ いても情報交換がなされる。

鹿嶋市企画部広報広聴課の木滝一彦 さんは、

「来年の締結に向け、今後、担当者レ ベルで詳細な内容について話し合いが 進められます。相互応援協定を現実的 なものとするためには、担当者が協議 を重ね、内容を充実させなければなり ません。また、協定締結後も担当者に よる連絡会議を開催するなど、内容の 見直しも考えられます」

と話している。来年、佐賀県で開催 される「かしまサミット」には、各市 町村から防災担当者が出席し、協定を 締結する予定である。

これらのサミットに参加する市町村 の多くは、市町村レベルで初めて、県 の枠を越えた広域の支援協定を締結す る。地域や規模の違う市町村による支 援体制づくりは、新たな試みであると 言えよう。さらに検討を重ね、充実さ せていくことが望まれる。


地域に根ざした防災活動を〜女性団員に期待

川崎市消防局、女性消防団員45人を任用 川崎市消防局は、10月14日付けで、 市内にある8消防団のうち臨港、川崎、 幸、中原、宮前の5消防団に、20〜50 歳代の女性45人を消防団員として任用 した。

現在全国的に、都市化の進展にとも なう地域の連帯感の希薄化、消防団活 動に対する理解不足や関心の低さなど から、団員数の不足が深刻になってい る。川崎市もその例外ではなく、19 96年4月1日現在、定員1345人 のところ1231人と定員割れの状態 にあったが、今回女性が45人加わるこ とで、ある程度人員不足を解消するこ とができた。

今回の女性消防団員の任用につい て、川崎市消防局庶務課長の福元さん は次のように語っている。

「団員数の確保という意味もありま すが、それ以上に、女性ならではのき め細かさ、やさしさ、ソフトさなどを 活かして地域に根ざした防災活動を展 開してくれることを期待しています」

女性団員の内訳は、臨港消防団で11 人、以下、川崎12人、幸15人、中原3 人、宮前4人となっている。地域ごと に人数が違うのは、それぞれのニーズ に合わせた人員配置となっているため である。

女性消防団員は、それぞれの地域に おいて自主防災活動等を熱心に行って きた人々を中心に、町内会や消防団の 推薦によって選出されている。

川崎市では、各地区ごとに消防団組 織とは別に「婦人消防隊」という組織 がある。これは、主婦が中心となり、 消火器の使用方法や災害時の応急措置 等についての講習を随時行うなど、万 一の災害に備えた組織だが、今回女性 消防団に任用された45人のうち21人 は、この婦人消防隊での活動を評価さ れ、団員に推薦された。

女性消防団員に期待されている主な 役割は、防災意識の普及・啓発、防火 指導および火災現場での後方支援等で ある。

防火指導としては、それぞれの地域 において各家庭を訪問し、「未然に火 災の発生を防ぐ」という防火の考え方 の普及・啓発を行うことになっている。

とくに、災害の発生に気づかないま ま、逃げ遅れて生命の危険にさらされ る可能性がある一人暮らしの老人への フォローは最重要視されている。その ため、消防職員と合同で、一人暮らし の老人の家を訪問、火元の点検や火災 予防のための備え等についての話を中 心に普及・啓発活動を行う。

男性消防団員と違い、女性の場合は 相手に与える印象もソフトで、訪問も 柔軟に受け入れられるため、防災に関 する知識を確実に伝えることができる と考えられている。

実際の火災現場での消火および救出 活動については、かなりの危険を伴う ため、女性消防団員は後方支援に回る ことになっている。

したがってこの場合は、隣近所の家 族構成など地域事情に詳しい女性の特 性を活かして、逃げ遅れた人はいない かどうかなどの情報収集にあたるほ か、現場周辺のやじ馬を押さえるため、 警戒区域でのロープ張りや、一般の人 の規制や誘導を行う。

「男性団員による災害救助活動と合 わせ、普段から地域とつながりが深く、 在宅している割合が高い女性には、日 中発生する火災現場においても、情報 収集など積極的に活躍してもらえるも のと思います」

と、福元さんは話す。

女性消防団員たちは、今後各消防署 での研修のほか全体的な特別研修を2 日間受け、消防団員としての基本的な 心構え、訓練礼式、応急手当、動力ポ ンプの操作方法など消防機器の取り扱 い方法も含め、消防の全体像を学ぶこ とになっている。

「自分の街は自分で守る」という自 主防災組織が見直されている現在、「女 性の特性」を活かした今回の任用は、 「消防分野における住民主体の街づく り」という意味においても、大いに期 待される。


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