この原稿は救急医療ジャーナル'94第2巻第6号(通巻第10号)「TOPICSトピックス」のページを収載したものです。もしホームページを希望されない記事や訂正を希望される部分がありましたら、 web担当者までご連絡下さい。

主役登場

心肺停止状態の傷病者が完全社会復帰を果たす

神戸市 藤井勝彦さん(神戸市生田消防署) この8月、神戸市生田消防署の救急 救命士、藤井勝彦さん(32)が心肺停 止状態の傷病者を蘇生させ、完全社会 復帰にまで導いたとして、市消防長の 特別表彰を受けた。心肺停止状態に陥 った人が完全社会復帰した例は全国で も数少ない。

ランチタイムの出来事

19○○年○月○○日12時30分ごろ、 ○○市中央区の喫茶店の厨房内で同店 のマスター○○○さんが突然倒 れた。客や従業員の目の前で、しゃが みこむようにして倒れたらしい。

急を聞いて、2階から降りてきた奥 さんの○○さんは、「落ち着いて、落 ち着いて」と自分にいいきかせながら、 119番に通報。電話口の管制員に、 あわてて住所、名前と急病人が発生し たことを伝えた。このとき管制員から、 症状や病歴についての質問を受けた が、動転していたにもかかわらず、き ちんと答えることができたという。

○○さんは、電話を切るとアルバイ トに来ていた甥に近所の知人を呼びに 行かせた。知人はすぐさま駆け付け、 手助けをしてくれた。そこへ神戸市生 田消防署の救急隊(藤井勝彦隊長、井 川真二機関員、中田充武隊員)が到着 した。

藤井さんらが勝手口から厨房に入 り、○さんを見ると、顔貌無欲状で開 眼し、一見して心肺停止状態が疑えた。 藤井さんは、ただちに井川さんにスト レッチャーを勝手口まで携帯し、指導 医からの指示を得るために、医師が病 院内で持ち歩いているポケットベルを 鳴らすよう指示した。

藤井さんが○○さんの頭部側で観察を 続けたところ、
(1)顔貌無欲状、瞳孔散大
(2)意敵レベル JCS300
(3)呼吸停止
(4)脈拍 右総頸動脈で触れず
で、心肺停止を確認した。

2回の除細動で蘇生

厨房内は、幅1.2mほどの広さし かなく、処置空間がないため、バッグ マスクで数回人工呼吸をした後、藤井 さんと中田さんで勝手口まで搬送。す でに到着していたストレッチャーに移 し、CPRを行いながら車内収容した。

車内収容後、心電図モニターで心室 細動であることを確認し、神戸大学医 学部附属病院に心電図を伝送した。医 師の指示の下、除細動を200Jで行 った結果、心静止となったので再びC PRを続行、医師にその旨を伝えると 気道確保を行い、CPRを続けての搬 送を指示された。

その後、藤井さんはコンビチューブ の準備をし、挿入前にCPR効果の確 認をすると「自発呼吸発現、瞳孔縮 小」、「心音なし」の報告を井川さん、 中田さんから、それぞれ受けた。自発 呼吸4回/分、心室細動を確認し、再 び医師の指示を仰ぎ、2回目は300 Jで除細動を行った。

まもなく十分に深い呼吸が認められ 同時に右総頸動脈で脈拍が触れたた め、中田さんに血 圧とSpO2(動脈血 酸素蝕和度)の測 定を指示した。藤 井さんは人工呼吸 をしていた井川さ んと交代し、井川 さんには、中央市 民病院に連絡し、 向かうように指示 した。

「血圧160/ 80、脈拍60回/分、 SpO2‥100%」 の報告を中田さんから受け、藤井さん は呼吸管理を、中田さんは循環の管理 を担当して、現場を出発した。

病院到着時、意識レベルはJCS3 00ではあるが、呼吸16回/分、脈拍 80回/分、血圧110/(触診)、SpO2 ‥100%、瞳孔両側3mmの状態であ った。

兵庫県下救急救命士会の発足

○○さんの事例が発生した一週間 後、藤井さんたちは他の負傷者を搬送 して、中央市民病院に赴いた。このと き、藤井さんは、同病院に入院中の○○ さんに面会することができた。 「○○さんは、生気のなかった顔に 赤みが戻り、まるで別人のように見え ました。心肺停止状態に陥った人が除 細動によって蘇生するという理論は理 解できるのですが、一週間前にその状 態にあった人が元気になっている姿を 目の前にすると、とても不思議な気持 ちになって、生命力のすごさのような ものを感じました」 と藤井さんは話す。

○○さんに、倒れたときの状況を覚 えているかどうか尋ねると、まったく 覚えておらず、気がついたら病院のベ ッドの上だったということだ。

さらに、「胸は痛くないですか」 (心臓マッサージのときに肋骨を傷め ていないか)「口や喉は痛くないです か」(気道確保の際に食道等を痛めて いないか)などと質問したが、どこも 痛くないという返事が戻ってきた。

藤井さんにとっては、正しく処置を 行うのは無論のこと、それが患者にと って負担でなかったかどうかが心配だ ったのである。

藤井勝彦さんは救急救命中央(現東 京)研修所の第一期生。1992年春、 神戸市には藤井さんを含めて2人の救 急救命士が誕生した。その後、順調に 救急救命士の数は増えてゆくのだが、 資格取得後の学習の場は整備されてい なかった。

そこで、92年秋、藤井さんら10人が 発起人となって救急救命士会の準備会 を結成、この8月に兵庫県下救急救命 士会が発足した。現在、藤井さんは副 会長として活躍している。

同会は神戸市救急救命士養成所の卒 業生を中心にほとんどが兵庫県在住も しくは勤務の人々で組織されている。

「全国で医師会や看護部会、救急隊 員部会が開かれていますが、救急救命 士のレベルやニーズにあったものはな かなかありません。各地で救急救命士 会が発足したという話を聞き、自分た ちも会を発足させようと考えたので す。形式にとらわれず、疑問や意見を 活発にいい合ってお互いに切磋琢磨で きるような会にしたいと思います」 と藤井さんは語る。

すばらしいチームワークに感心

今回の○○○さんの事例で救急隊の 一連の行動を間近で見ていた人がい る。傷病者の奥さんの○○さんである。 ○さんが倒れたとき、○○さんが一番 気をつけたのは、冷静でいることだっ たという。とにかく救急車を呼んで、 それからは救急隊に任せるしかないと 思っていたのだ。救急車に同乗すると、 藤井さんから、○さんが心肺停止状態 であること、そのために救急救命士に 許されている特定行為を行うことなど の説明を受けた。

○○さんは以前にも人に付き添って 救急車に同乗したことがある。そのと きは、まだ救急救命士法が施行される 前で救急隊は搬送が主な仕事であっ た。それが今回乗った救急車は以前と はまったく違い、新鋭の設備を整え、 救急救命士が医療行為を行っている。 救急隊の適切な処置、てきぱきとした 行動、それにすばらしいチームワーク に感心したと○○さんは語っている。

○さんは8月23日に退院し、いまで は7時30分から14時まで店で元気に働 いている。重いものは持たないように しているものの、以前とほとんど変わ らない生活をしている。2か月間、休 業していたにもかかわらず、常連客も 次第に戻ってきて、○さんの全快を喜 んでくれているとのことだ。

「救急隊の皆様のご尽力により、九 死に一生を得ました。たいへん感謝し ております。いまは毎日仕事に励んで おり、ピーポー音を聞くたびに、皆様 のことを思い出しております」

藤井さんは神戸市ではすでに中堅の 救急救命士として活濯している。しか し、いまはまだ、いろいろな経験を積 まなければならない段楷だという。

藤井さんにとつて救急救命士の理想 像はアメリカのパラメディックであ り、最終的にはパラメディツクに負け ない優秀な救急救命士を育成、指導し ていきたいと考えている。

現在、救急救命士の前には多くの問 題が山積している。(1)卒後研修の充実、 (2)救急救命士をとりまく環境の整備、 (3)救急救命士法の改正に伴う医療行為 枠の拡大、(4)救急救命士の社会的地位 の向上などである。(1)(2)(3)に関しては、 行政や周囲の協力が多分に必要だが、 社会的地位の向上については、救急救 命士の地道な努力によって実現する部 分も多分にある。

少なくとも○○さん夫妻は今回のこ とで救急救命士という存在を知り、そ の行動に感謝している。日々の活動を 通して、救急救命士のファンをー人で も多く増やしていくことが、大切な第 一歩となるように思う。(坂本 愛)

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特殊救急車『スーパーアンビュランス』登場

東京消防庁 傷病者が多数発生したときにすみやかに対応 東京消防庁は列車事故や航空機事故 など傷病者が多数発生した場合に備え て、救急資器材等を搭載し、高度な救 急処置を行うことができる特殊救急車 (スーパーアンビュランス)を開発、 運用を開始した。

スーパーアンビュランスは、全長 11.1m、全幅2.5mの大型救急車 で、現場到着後、油圧方式により車体 が拡張、約40平方メートルの救護室と なる仕組みになっている。救護室には、 最大8ベッド(折り畳み収納型)まで 収容できるほか、傷病者を搬送するた めのストレッチャーを2基、装備して いる。

救護室の左右の壁には、大型収納庫 が備え付けられ、各ベッドごとに、心 電図伝送システム、アンビューバッグ、 半自動式除細動器やパルスオキシメー タ、ラリンゲアルマスク等、CPRに 必要な資器材を積み込んだワゴンが収 納されている。このワゴンは移動が容 易で、処置台付近で使用するためのも のである。

このほか、ボンベ交換の回数を減ら すために10L酸素ボンベを12本積載、 機能性を重視して酸素配管を壁体内に 固定配管するなど、さまざまな工夫が なされている。

また、発動発電機を装備し、走行の エンジンを停止しているときでも、空 調や電装関係が使用できるようになっ ている。

救護室の後部に一か所、前部には左 右2か所に出入り口があり、傷病者を 後部から収容し、前部から車外に搬出 できるようになっている。

災害現場では、まずトリアージが行 われ、重度傷病者に対しては、救護室 内で救急処置が施きれた後、搬送とい うことになる。

スーパーアンビュランスはこの10月 31日より、東京の中心部に位置する丸 の内消防署に配置されている。今年4 月に起きた名古屋空港・中華航空機事 故や特異な火災などの大規模災害時に おける活躍が期待される。


除細動器メーカーのフィジオ・コントロール、ベイン・キャピタルに買収される

米国 大手製薬会社イーライ・リリーの子 会社で除細動器のメーカーであるフィ ジオ・コントロールが、ペイン・キャ ピタルに売却されたことが、この7月、 発表された。

ぺイン・キャピタルは、ヘルスケア、 情報、一般消費財、小売業、工業、製 造業などに70以上の会社を持ってい る。

フィジオ・コントロールは、1992年 5月から、米食品医薬品局(FDA)の基 準に合うまでは、と自主的に除細動器 ライフパック300の生産を停止していた が、この売却発表のすぐ前に、FDAから 同製品の販売開始の許可を得ていた。


外国人救急医療システムがスタート

兵庫県 以前、本誌(第6号)でも取り上げ たことがある兵庫県の外国人救急医療 システムが、この9月1日から実施さ れている。

兵庫県では、就職や留学目的で滞在 する外国人が年々増えているが、関西 国際空港の開港により、今後はさらに その増加が予想される。そこで、外国 人をとりまく救急医療体制を確立する ために、関西国際空港の開港に合わせ て始まったのが、外国人救急医療シス テムである。

同システムは、(1)緊急時の受け入れ 体制の整備、(2)医療機関での外国語案 内板の設置や、外国語の問診票での対 応、(3)外国人救急医療費損失補助等か ら成っている。

受け入れ体制については、三次救急 を担っている中核8病院のほか、外国 人の多い阪神、神戸、播磨地域の外国 人患者の受け入れに協力する45病院が 交代で、休日、夜間の診療を行う「外 国人対応病院群輪番制」をとる。

また、対応病院の応需情報は、兵庫 県救急医療情報センターが消防本部等 に提供する。

医療機関での外国人対応について は、中国語、ハングル、英語、スペイ ン語、ポルトガル語の5か国語で併記 された院内案内板を、参加病院や救命 救急センター等の三次病院に配布。ま た、言葉のトラブルを防ぐために各国 語ごとのハンドブック(問診票)を作 成し、休日夜間急患センター、病院群 輪番制病院、救急告示医療機関、医師 会等に配布した。ハンドブックは日本 語と各国語を対照させてお り、答えはいくつかの選択 肢から選ぶことができるよ うになっている。

また、医療費の損失補助 については、外国人救急患 者を受け入れた診療所のほ か、二次、三次のシステム 参加病院で生じた未払い医療費につい て、医療機関の1年以上の回収努力に もかかわらず、徴収できない医療費の 一部(補助限度額1OO万円)を県と 市町が医療機関に補助する。

今後、全国的に外国人の増加が見込 まれる。先行事例としての同システム から学ぶことは多いだろう。


「小児への気管内挿管の必要性と安全性についての研究」がスタート

米国 プレホスピタルにおける小児への気 管内挿管の必要性と安全性に関する研 究が、アメリカ南カリフォルニアのロ サンゼルス郡とオレンジ郡の約2千8 00人ものパラメディックを動員し て、今年1月に始まった。研究結果に よっては、救急における小児気管内挿 管の常識が大きく変わるのではないか と注目されている。

この研究の目的は、非常に高いとさ れるプレホスピタルにおける小児への 気管内挿管による合併症の割合(39% にもなるといわれている)が、気管内 挿管による救命率によって正当化でき るのかどうか、また、どのような場合 に気管内挿管をすべきなのか、といっ たことを知ることにある。

研究に際し、各パラメディックは小 児の気道管理についての再教育を受け た後、呼吸困難の小児患者に遭遇した ら、今日は気管内挿管、次の日はバッ グマスクによる呼吸補助、というよう に1日おきに二つの方法を交互に実行 するように指示されている。

一方、この研究に対して疑問を持つ パラメディックの人たちもいる。

あるパラメディックは、 「救急処置に必要な一つの技術を持っ ているのに、それを研究のためといっ て使わないのは、もしそれが患者にと って必要なことであったとしたら、何 か変だと思います。もちろん研究のた めに必要なことは理解できます。しか し、現場のパラメディックにとつて重 要なのは、その患者にとってベストの ことを自分はしようとしているのかど うか、ということなのです」 と述べている。

この研究は1997年6月までかか る予定で、最終的には約800人にお よぶ患者のデータが集まるという。


ゴルフ場に自衛救急隊が誕生

宮城県塩釜市 宮城県塩釜消防署管内の三つのゴル フ場に、自衛救急隊が発足。さる9月 9日に発会式が行われ、多くの参加者 が見守る中、訓練の成果を披露した。

自衛救急隊はゴルフ場のスタッフで 組織され、プレイ中にけがをしたり、 倒れた人に対して、救急車が到着する までの間、応急手当やCPRを施す。

今回の発足は、塩釜消防署の呼びか けに管内の利府ゴルフクラブ、松島チ サンカントリークラブ、仙塩ゴルフク ラブの3ゴルフ場が賛同して実現し た。

塩釜消防署では以前から、ゴルフ場 における自衛救急隊の発足を検討して いたが、最近、56歳の男性が、ゴルフ のプレイ中に心肺停止状態になるとい う事例が起こったことから、その必要 性を再確認したという。

一方、ゴルフ場側でも以前から、場 内で急病人が出たときの対応の必要性 が支配人会議で取り上げられるなどし ていた。

年配のゴルフ愛好家も多く、緊張し た状態で頭を下げてプレイしたり、ボ ールを打つときに力を入れたりするた め、脳血栓や、くも膜下出血などの脳 血管障害が懸念される。また、コース で急病者が出た場合、周囲にいた人が コースからクラブハウスまで行き、そ こで119番通報するとなると、通常 の場合よりも10〜15分、余分に時間が かかる。

このような事態に対して、自衛救急 隊が組織されれば、救急車の到着前に、 何らかの処置が行われ、搬送時間も5 分程度短縮される見込みである。

今年の夏、3ゴルフ場ではそれぞれ 3回ずつ救急講習会が開かれている。 講習会では、心臓マッサージ、人工呼 吸のほか、三角巾の使用法などについ ての講習が行われ、利府から9人、松 島から9人、仙塩からは5人が自衛救 急隊員として選ばれた。

「救急隊のメンバーにはお客様に接 する時間の長いキャディー、キャディ ーを統括しているキャディーマスター 室、それにいつもコースに出ているコ ース管理の社員などを選びました」

と話すのは、利府ゴルフクラブ支配 人の小松聖一氏。小松氏は自らも救急 委員長として率先して活躍している。

発会式はコース上で行われ、装備品 および任命書を授与。その後、各ゴル フ場の隊員がそれぞれ、心肺蘇生法や 三角巾による応急手当を披露した。コ ース上で傷病者が発生してから救急車 に搬送されるまでの訓練も、本番さな がらに行われた。 「自衛救急隊のシステムは3年 計画で整備することを考えていま す。将来的には、隊員の方は訓練 を積んで、一般社員に対する指導 や普及活動をしていただき、社員 の皆さんには普通救命講習の有資 格者になってほしいと思います」 と塩釜消防署の救急救命士、志 賀さんは語る。

今後は、ゴルフ場ごとに年間計 画や連絡系統を記した救急計画書 を消防署に提出し、それにしたが って講習会や合同訓練を行ってい く予定である。


24時間態勢の女性救急隊員誕生

東京消防庁 東京消防庁は、24時間態勢勤務の女 性救急隊員を誕生させるべく、今年8 月から9月にかけて、女性職員の希望 者に対して、救急隊員養成研修選抜試 験を実施した。

この4月、労働基準法の「女子労働 基準規則」が一部改正された。東京消 防庁はこの改正に伴い、女性消防職員 の24時間態勢の119番受信や指令管 制業務なとを実現、女性職員の職域拡 大に努めてきた。そして今回、男性と 同じ勤務態勢の女性救急隊員の登用と なったのである。

欧米諸国ではなじみの深い女性救急 隊員も、日本では埼玉県の入間東部地 区消防本部と千葉県の市川市消防局な とで数名が活躍しているだけである。

女性隊員は男性隊員に比べ、傷病者 に与えるソフトな印象や婦人科系の疾 患の際の対応など、女性ならではのメ リットも多い。いまのところ入間東部 地区消防本部と市川市消防局の女性隊 員は4人目の救急隊員という位置付け で、日勤のみの勤務態勢である。しか し、両者とも今後は24時間態勢勤務に 移行する方向で話がすすんでおり、市 川市では東京消防庁と同じく、態勢が 整い次第、3人1組の救急隊の1人と して男性と同じ条件で勤務する予定で ある。

東京消防庁の選抜拭験は8月19日に 筆記試験、9月16日に面接試験が行わ れ、11人の合格者が決定した。合格者 は、11月1日および12月8日から、お よそ40日間、消防学校で救急研修を受 ける。研修内容は解剖生理など救急医 学の基礎を学ぶ学科、心肺蘇生法や止 血法を学ぶ実科、病院実習等である。

研修修了後、彼女たちは所属の消防 署に戻り、救急車同乗実習等を受けた 後、救急隊員として就業する予定であ る。


外国人応急手当講習会・徳島市で初の開催

「救急の日」の9月9日、徳島市新 蔵町の市消防局講堂で、外国人のため の応急手当の講習会が、初めて開かれ た。

この講習会は、市内の大学や日本語 学校に通ったり、縫製工場などで働く 外国人を対象に開催されたもので、午 前9時30分から12時まで、中国の21人 をはじめとしてアメリカ、フィリピン、 インドネシアの4か国から30人が参加 した。当日は中国語や英語を交えなが ら、救急隊員自らが指導を行った。 「119番通報」「応急処置の仕方」 「訓練・見学」を中心に、実技講習で は、徳島市東消防署に配属されている 4人の救急救命士から人形を使っての 人工呼吸や心臓マッサージ、止血法、 包帯の巻き方、そして搬送法などの指 導を受けた。

また、ほとんどなじみのない高規格 救急車を知ってもらおうと、交通事故 が起こつたという想定でダミー人形を 救急車に乗せ、医療機関とコンタクト しているところや処置の仕方 を見学する時間も用意された。

このような、外国人を対象 にした催しが開かれるきつかけとなっ たのは、1992年9月に起こったあ る事故だった。場所は海部郡海南町を 流れる海部川。徳島市内に研修生とし て来ていた中国人男性が海部川で水泳 中に溺死してしまった。

このとき、「もし応急処置が行われて いたなら」という思いから、外国人も 応急処置ができるようにと、救急隊関 係者が講習の機会を設けたものであ る。参加者の募集は、県国際交流協会 にも協力してもらった。

講習会では、同協会が製作した救急 隊員と外国人との7か国語の会話集が 参加者に配られた。

徳島市東消防署の救急救命士、赤澤 平典さんは、今回の講習会について、 「会話や、説明をする際の言葉の問題 は、私たちも勉強をしていますし、参 加者の中には日本語が話せる人もいま すから、困ることはありませんでした。 ただ、参加者からは、なぜ訓練用の人 形が、すべて女性なのかなどと率直な 質問が出されまして、答えに窮するこ ともありましたが・・・。

(応急手当の講習は)これまで実施 したことがなかったので、とても反響 が大きかったですね。もし自分の目の 前で交通事故や急病人等が発生したと きは、きょうの体験をもとに、勇気を もって、早速応急手当を実行してみた いと話していました」 と、語っている。

今後の予定については、「応急手当は トレーニングを繰り返すことで身につ くだけに、来年以降も講習会を定期的 に開いていきたいと考えています」と いうことである。

講習会の終了後、職員が作ったカレ ーライスを昼食に出すと、みんな喜ん でくれたそうだ。

なお、徳島市の外国人は、9月30日 現在644人。これまでに外国人が応 急手当を行った症例はない。一方、1 994年に入って救急搬送された外国 人は、軽症ながら急病や交通事故で5 件とのことである。


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