この原稿は救急医療ジャーナル'99第7巻第3号(通巻第37号)「NETWORK救急救命士ならびに救急隊員の会から」のページを収載したものです。もしホームページを希望されない記事や訂正を希望される部分がありましたら、 web担当者までご連絡下さい。

筑豊地域救命救急研究会報告

原田裕成(筑豊地域救命救急研究会)  昨年6月19日に発足した、当研究会について報告する。

 当会は、福岡県筑豊地域の4消防本部の救急隊員、お よび筑豊地域内の救命救急センターならびに救急部の医 師、看護婦から構成されている。今年2月4日の研究会 で、第8回を迎えたが、新たに九州大学医学部の学生さ んにも参加していただくなど、会としての充実度も増し てきたところである。

 さて、研究会の流れを説明すると、発足当初は、傷病 者引き渡しの際の「救急連絡票」についての討議に時間 を費やし、研究会というには、何か物足りなさを感じる ものであった。しかし、その中でさまざまな意見や提案 が出されたことが、かえって会員間のコミュニケーショ ンを深めることになったようである。なかでも、重症度 を判定するための独自の救命度スコアや、フィードバッ クの重要性等が検討されたことは、今後、救急隊が傷病 者を医師に引き継ぐ際の情報伝達、また経過や予後など 救急隊員の情報収集に、大いに役立っていくものと思わ れる。

 さらに、毎回各消防本部の持ち回りにより、症例検討 を実施しているが、この会で繰り広げられる忌憚のない 意見交換は、会員の救急業務に対する問題意識を高める だけでなく、救急隊員のレベルを向上させることにも結 びついている。また、各科の医師に病態や応急処置につ いて指導していただくワンポイントレッスンは、幅広く 知識を修得するために有益なものとなっている。

 筑豊地域内の救命救急センターならびに救急部は、救 急救命九州研修所の病院実習や、救急救命士国家試験合 格後の3か月以上の就業前研修を実施しているだけでな く、就業前研修を修了した救急救命士に対しても、広く 門戸を開放し、自主的な研修を受け入れている。このよ うな研修の場は、救急隊員の生涯教育に必要不可欠なも のであり、協力して下さる関係者の皆様には、大変感謝 している。

 日常の救急業務で経験したことをフィードバックし、 自己研鑚、生涯教育につなげるためには、当会のように、 救急活動の現場での問題を研究し討論する場、あるいは 救急隊員が気軽に自主的な研修を行うことができるよう な環境を、身近なところにつくる必要があるのではない かと思う。

 最後に、私たち救急隊を指導して下さっている田中二 郎先生、鮎川勝彦先生、松口武行先生、松山博之先生、 その他数多くの救急の先生方、看護婦さんに、誌面をお 借りして、心からお礼申し上げたい。


和泉市救急救命士会症例検討会結果報告

藤原啓司(和泉市救急救命士会事務局)  和泉市救急救命士会は、現在50人の会員がおり、医療 関係者30人、消防関係者20人で構成されています。定期 的に開催される症例検討会では、消防側、医療関係者側 のそれぞれの立場から、意見交換が活発に行われていま す。

 さて今回、3月5日に当市市立病院循環器科副部長を 交え、第44回症例検討会を開催しましたので、その内容 を紹介します。

〈症例1〉救急車収容直前に、意識障害が発生した傷病 者の搬送事例について 事故概要:81歳男性。前日より高熱、呼吸困難および歩 行困難となったもので、既往症が高血圧と痴呆症。現場 観察では、意識レベルJCS3、呼吸36/分で、ECG モニターは正常であったが、救急車収容直前に急変し、 意識レベルJCS300、ECGモニター不整、下顎呼 吸となった。 検討結果:傷病名はイレウス・汎発性腹膜炎であったが、 数日前よりイレウスが進み、循環血液量減少性ショック に陥り不整脈が発生、意識低下が起こったのではないか と考えられる。高齢者や小児の場合、症状が急変するこ とが多いため、いつも直ちに対処することができるよう 心掛ける必要がある。

〈症例2〉乳幼児CPA傷病者搬送事例について 事故概要:生後1か月の女児。寝かしつけてから短時間 の間に心肺停止状態に陥った。ダウン症候群の疑いあり。 検討結果:この事案では、夜間小児科救急搬送の困難さ や、産料および新生児科を診療科目に掲げている病院の 受け入れ状況、救急車内での新生児・乳幼児・小児の気 道確保ポジションについて検討した。

 まず、夜間小児科救急については、大阪府下の各消防 署で同様の悩みを持っており、新生児料を診療科目に掲 げている病院で、初療室に新生児用気管内挿管チューブ があるところでも、小児科の医師がいないときには、受 け入れは難しい。

 また、気道確保については、小児の場合、後頭部が出 ているため、円座枕があればそれを頭部に敷いて、仰臥 位にする。そして、においをかぐようなスタイルを取ら せ、肩甲骨あたりから下肢にかけてタオルを敷き、安定 させる。小児用ラリンゲアルマスク・エアウェイについ ては、挿入に要する時間、下顎挙上法による口対口・鼻 人工呼吸、あるいはバッグマスク人工呼吸による換気状 態、搬送先病院までの時間などを考慮し、使用を考える。

〈症例3〉VT発作に対して前胸部叩打を行った搬送事例 について 事故概要:67歳男性。傷病者は呼吸困難を起こしており、 既往症が高血圧、狭心症、慢性腎不全、甲状腺機能亢進 症、高尿酸血症、心筋肥大、高脂血症、脳梗塞後左片麻 痺である。車内収容時、意識レベルJCS200に低下、 心電図モニター装着から1分後にVT波形が出現したた め、前陶部叩打を1回実施したところ、洞調律に戻った。 検討結果:現行の救急救命士法では、心室性頻拍に対す る除細動は許されていないため、現時点では、救急救命 士の目前で発生した心室性頻拍に対しては、前胸部叩打 は何もしないより有効であるといえる。

 ただし、今回の事例では、運よく洞調律に戻ったが、 心室性頻拍では心停止や電導収縮解離、心室細動に移行 する確率が高いため、本手技を行った上で、容態が悪化 した場合に除細動の実施を遅らせないよう心掛けなけれ ばならない。

〈症例4〉AMI(急性心筋梗塞)により、心原性ショ ックを起こした搬送事例について 事故概要:49歳男性。自動車運転中、急に胸部痛が出現 し、救急要請する。救急隊からの情報が、「糖尿病のか かりつけ患者で、胸痛はあるが意識レベルは清明」とい ぅ内容であったため、病院初療室にてバイタル観察およ び血液検査を行った。しかし、心電図モニターを装着す ると、II・III・aVfにてST上昇し、VPC(心室性期外収 縮)単発がみられ、急性心筋梗塞と診断された。

 直ちに心臓カテーテル術が準備されたが、その間にVT からVFへ移行し、意識レベル低下。バッグマスクによる 人工呼吸開始後、除細動を300Jにて3回実施し洞調 律に戻るが、意識レベルはJCSIII群となったため、気 管内挿管を実施して人工呼吸器(レスピレーター)に接 続した。その後、緊急心臓カテーテル術を開始。術中は 急変なく、CCUに入室した。

 予後については、2日後に抜管、病院内歩行可能とな り、軽快退院へと向かった。 検討結果:救命率の向上に必要なのは、バイスタンダー ↓救急隊↓医療機関の連携であり、この三つの救命の輪 が一つでも崩れると、救える命であっても、助けること ができなくなる。今回の症例は急性心筋梗塞であり、発 症直後の治療が必要で、1分でも早くCCUへ収容する ことが重要であった。しかし、救急隊からの情報不足に よって病院の初動体制が遅れ、結局、傷病者に負担がか かるという悪循環に陥ってしまった。

 以上の4症例について、活発な意見交換が行われた後、 各消防本部や関係機関で積極的に展開されている、市民 に対するCPR普及啓発活動のデモンストレーションを 実施しましたが、その指導内容には、医療機関と消防機 関で、また消防機関の間でも、多少の違いがあることが わかりました。内容の違いとは、一連の心肺蘇生法の手 順において、消防の応急手当講習テキストでは、脈拍確 認後に脈拍がない場合、直ちに圧迫部位を探し、心臓マ ッサージを実施するとなっているのに対して、医療機関 では、脈拍の確認後に脈拍がない場合、呼気吹き込み人 工呼吸を2回実施してから、すぐに圧迫部位を探し、心 臓マッサージを実施するよう指導するところです。[発 行者注/1993年に発行された『救急蘇生法の指針 −一般市民のために−』(日本医師会監修)では、 循環状態(脈拍)の観察・判断と手当の項で「もしも脈 拍を触知しないならば、心停止が考えられるので、直ち に心臓マッサージを行う」と記載されています。]

 この点については、医療機関から、脈拍確認には5秒 間要するので、直ちに圧迫部位を探して心臓マッサージ を実施しても、約20秒間の空白の時間ができてしまうた め、呼気吹き込みによって換気を行い、少しでも空白の 時間をなくして蘇生のチャンスを増やそうという考えか ら、そのように指導している、との説明がありました。

 なお、CPR普及啓発活動については、皆様方の積極 的なご意見、ご感想をお待ちしていますので、和泉市救 急救命土会事務局までご連絡いただければと思います。

 今回の検討会で扱った事例は、それぞれに学ぶことが 多く、今後に向けての反省と新たな検討を要するものば かりだったと思います。また、このような症例検討会を 重ねることで、未体験の症例に出会うことができ、知識 の向上と技術の研鑚に役立つことを再認識しました。

 最後になりますが、ご多忙中にもかかわらず、アドバ イザーとしてご臨席いただいた当市市立病院循環器科副 部長に、誌面をお借りして心からお礼申し上げます。


第8回島根救友会報告

岡 高秀(島根救友会・平田消防署)  3月6日、島根県出雲市の出雲市民会館において、第 8回島根救友会を開催しました。

 当会では、県内の消防本部が交代で開催地当番を務め ていますが、今回は出雲市の隣の平田市消防本部が開催 地当番となり、「搬送・ヘリ搬送」をテーマに症例検討、 パネルディスカッションおよび教育講演を行いました。

 当日は県内外の救急隊員、看護婦など、たくさんの方々 にご参加いただき、盛大に開催することができました。

 プログラムの内容は、次の通りです。
(1)演題I:症例検討「搬送」
座長:池田志信(安来消防署救急救命士)
助言:松原康博(島根県立中央病院救命救急科部長)
(1)「交通事故による傷病者8名の救急搬送事例」
 今岡幸治(大田消防署救急救命士)
(2)「精神疾患患者の不搬送になった事例」
 多久和政徳(平田消防署救急隊)
(3)「救急搬送における特定行為気道確保器具の選択についての考察」
 秦明弘(松江消防署救急救命士)
(4)「磯釣り転落事故にヘリコプターを要請した事例」
 片岡富吉(大社消防署救急救命士)


(2)演題II:パネルディスカッション「ヘリ搬送」
座長:安田康晴(出雲消防署救急救命士)
助言:石原晋(県立広島病院救命救急センター部長)
  松原康博(島根県立中央病院救命救急科部長)
(1)「管外転院搬送、ヘリ搬送の状況と課題について」
 原一誠(浜田消防署救急隊)
(2)「隠岐島ヘリ搬送の現状」
 鷺野鉄也(隠岐消防署救急隊)
(3)「島根県防災航空隊の活動状況」
 幸村卓己(島根県防災航空隊)
(4)「松江赤十字病院におけるドクターヘリ搬送のこころみ」
 田窪健二(松江赤十字病院救急部)


(3)特別講演「自治体ヘリコプターによる患者搬送の課題」
講師:石原晋(県立広島病院救命救急センター部長)
 症例検討「搬送」では、臓器搬送の問題もからめて、
松江赤十字病院救急部長の田窪先生や、移植コーディネーターの方にも参加を願い、貴重なご意見を頂きました。
 2番目の演題は「ヘリ搬送」でしたが、ご存じのよう に島根県には隠岐島があり、救急ヘリコプター搬送の件 数は、日本でもトップクラスとなっています。そこで、 パネルディスカッションには、初参加となった島根県防 災航空隊と、地元の隠岐消防に出席してもらい、ヘリコ プター搬送の状況、今後の問題点などを発表していただ きました。いずれは、救急救命士が救急ヘリコプターに 隊員として搭乗する日も来るだろうなと思ったのは、私 だけでしょうか。

 最後には、本会の締めくくりとして、石原先生に教育 講演を頂き、無事に閉会しました。

 今回は、各消防本部はもちろんのこと、各病院の先生 と看護婦、保健所の先生、移植コーディネーター、航空 隊など、各方面の専門家に集まっていただいたせいか、 予定した時間を大幅に過ぎるほど、熱のこもった議論が 繰り広げられました。また、恒例の懇親会も大変盛り上 がり、明くる日を迎えてしまいました。

 このように充実した会となったのも、参加者の皆様の お陰と、ありがたく思っています。お忙しい中、広島か らおいでいただき、講演を行って下さいました石原先生、 そして当会のよきアドバイザーである松原先生、松江赤 十字病院の石田尚志先生を始め各先生方に、誌面を借り て心からお礼申し上げます。


広島救急救命士会症例検討会報告

広島救急救命士会事務局  広島救急救命士会では、さる3月25日、県立広島病院 において、症例検討会を開催しました。今回も県内の救 急救命士、救急隊員が多数参加し、各症例について県立 広島病院救命救急センター部長・石原晋先生、同医長・ 金子高太郎先生の助言を頂きながら、活発な意見交換を 行いました。検討した症例の内容は次の通りです。

〈症例1〉墜落、頚椎損傷を伴う化学熱傷患者−労災 事故により、はしごから落下した上、フッ化水素溶液を 身体に浴びた事例。

検討事項:大量の水で洗浄し、専門施設へ搬送するとと もに、化学物質から救急隊員の身を守る必要もある。

〈症例2〉呼吸器疾患患著の呼吸停止症例−喘息発作 により、急激に意識消失、呼吸停止となった事例。

検討事項:喘息患者に対しては、バッグマスクなどによ る換気だけでは十分ではないため、スクウイージングと の併用が必要である。

〈症例3〉Vf患者に対する除細動実施症例−現場、救急 車内で、Vf患者の除細動を行う際の疑問点について。

検討事項:現場での除細動のための放電は、医療機関直 近であれば3サイクル実施し、その後回復しなければ、 搬送を考える。救急車内では、必ず停車して放電する。

〈症例4〉化学熱傷患者について−労災事故で、作業 員がアルカリ溶液のある場所へ転落した事例。

検討事項:迅速な情報収集を行い、酸性かアルカリ性か など、溶液の性状を把握することが大事である。処置と してはまず、大量の水で洗浄する。(消防隊のタンク車の 水の使用も考慮)。

 症例の中には、県立広島病院救命救急センターへ搬送 された事例も含まれています。それに関して、実際に治 療に当たられた金子先生より、治療の経過、患者さんの 予後等についての説明があったほか、救急隊員が行った 処置についても意見を述べていただきました。

 また、最後に石原先生より、「喘息重積とVfは、救急 救命士にとってもっとも重要な病態であり、プレホスピ タルでの処置の良否が予後を大きく左右する」との助言 があり、全員が気を引き締めたところで会を終えました。

 当会では、今後も同病院での症例検討会を継続して開 催する予定です。第15回救急救命士国家試験に合格した 救急救命士も新たに加わったので、新しい会員とともに、 より充実した研修会を行っていきたいと考えています。


第7回神奈川救急救命士会総会

倉持日出雄(神奈川救急救命士会)  神奈川救急救命士会では、さる3月26日、第7回総会 を開催しました。

第一部「特別講演」

 第1部では、発足当初から当会を指導して下さってい る横浜市立大学医学部附属浦舟病院救命救急センター長 の杉山貢先生が、本年1月に救急医学教授に昇進された ことを記念して、特別講演を行いました。

 杉山先生には、「21世紀・救急医療への挑戦」と題して、 約1時間に渡りお話しいただきましたが、その中で先生 は、「増加する一方の救急需要に対し、119番の通報内 容をTelemedicineにより医学的に解析し、最適な医療 を提供するためにも、『out of hospital care system』 の構築が重要である」ことを強調されました。

第2部「総会」

 当会が発足した のは、いまから7 年前の1992年 のことです。その 年の9月19日、救 急救命士会を発足 させるための「救 急救命士会発起 会」が開催されました。そして、横浜市救急救命士養成 所を卒業し、救急救命士の資格を取得した36人が、救急 救命士の指導に当たっていただいていた横浜市内の救命 救急センターのセンター長(杉山先生、聖マリアンナ医 科大学横浜市西部病院・山中郁男先生、昭和大学藤が丘 病院・高橋愛樹先生)を始めとする10人の先生方、横浜 市消防局救急課長のご指導、ご助言の下に、会則などの 早案を作成しました。

 同年11月26日、「横浜救急救命士会」として発足、第1 回総会が開催され、活動が始まりました。1995年に は「神奈川救急救命士会」と改名し、神奈川県内の救急 救命士有資格者の入会を募ったところ、看護婦(士)、海 上保安庁、救急救命士専門学校の教師、自衛隊衛生学校 の教師など、さまざまな職種の方々が入会して下さり、 現在では、広範な情報交換ができるようになっています。

 また、先生方には、顧問としてご指導を頂くこととし、 毎年開催される「プレホスピタルケアフォーラム」では、 いつも顧問の先生方全員が参加され、実技の指導、教育 講演、アドバイザーなどを進んで引き受けて下さったり、 当会の会誌『The Star of Life』に原稿を寄せていただ くなど、さまざまな形でご協力いただいています。

 当会はこのような経緯で発足し、全国の救急救命士会 等の末席に加えていただくことができましたが、今回の 総会では、当会結成以来、初めての役員改選を行い、役 員を一新いたしました。「21世紀に向けての神奈川救急 救命士会」を目標に、若い救急救命士さんたちに中心に なっていただき、次のように改選されましたので、ご報 告いたします。

会長:若林和則
副会長:吉田茂男、望月訓、張替喜世一
名誉会長:倉持日出雄

 私ども旧役員の活動時には、全国の皆様に何かとご指 導、ご鞭撻をいただきまして、誠にありがとうございま した。救急隊懇親会、救急隊ネットワークづくり、アン ケート調査等々にご理解、ご協力いただきましたことを、 誌面をお借りしてお礼申し上げます。今後とも当会発展 のため、いままで以上にご指導、ご鞭撻下さいますよう 切にお願いいたしまして、第7回神奈川救急救命士会総 会の報告とさせていただきます。


救急救命士中央地区会第6回生涯学習研修会結果報告

河原克巳(救急救命士中央地区会会長)  救急救命士中央地区会では、さる4月6日、関東地方 では桜が満開の季節に、まだ雪残る新潟県南魚沼郡湯沢 町のホテル双葉にて、第6回生涯学習研修会を開催した。 講師には、救急救命東京研修所主任教授の安田和弘先生 をお招きして、当会会員だけでなく、新潟県内で救急業 務にご活躍なさっている方々の参加を得て、総勢108 人で盛大に開催した。参加者の中には、救急救命士を目 指そうとしている方々や看護婦さんもおり、それぞれが 熱心に研修に取り組んでいた。

 当会は、救急救命士が誕生した当初、救急救命士の有 志が集まって、「失敗談を持ち寄ってディスカッション しよう!」「講師をお招きして復習したり、新しい医学 知識を身につけよう!」「お互いに情報交換をしよ う!」をスローガンに発足した会である。今回もその目 的通り、それぞれが何か一つでも知識や教訓を地域に持 ち帰り、今後の救急活動、ひいては地域医療に、いささ かなりとも貢献できたものだと確信している。

 安田先生には、まず、メイン・テーマを「細胞レベル で捉える救急医学・救急医療」、サブ・タイトルを「実践 に結びつく解剖生理・生化学そして病理学」と題して、 ご講義を項いた。ある人は研修時代を思い出して懐かし く、ある人は新鮮に先生の話を受け止めているように思 えた。研修終了後の懇親会も盛況で、それぞれが何かを 得たような顔つきで輝いて見えた。

 懇親会の 席で、ある救急救命士 が「先生は研修を受け ているすべての人に、 限られた時間内でいろ いろなことを知っても らおうと、一生懸命に 講義をして下さったが、 テンポが速すぎて、理 解できないところがあ ったよ」と、いっていた。 その言葉を開いて、御徒町の研修所で救急救命士養成教 育を受けた当時を思い出したのは、私だけであろうか。

 最近、医学会・各種シンポジウム等で救急救命士の導 入効果が検討され、一部の地域を除いて救命率の向上に 結びついていないと、その存在を疑問視する意見がある が、本当にCPA(心肺機能停止状態)傷病者の蘇生率 だけで救急救命士が評価されていいのかどうかわからな い。

 救急救命士の教育を受ける中で培った知識を生かし て、CPAになる前の傷病者に対し、CPAにならない ように応急処置を実施して、適切な医療機関へ搬送する のが、真の意味での救急救命士の役割といえるのではな いだろうか。救急救命士は、生涯学習や各種文献から新 しい知識を吸収して応用し、身につけた知識や技術を適 応する傷病者に適切に用いて活動すること、必要な情報 を的確に医師等に伝えることが、できるか否かで評価す べきであり、また評価ができる環境でなければならない と考える。

 医師には医学、看護婦には看護学、それぞれの職域で 学問体系がある。懇親会終了後、ほろ酔い気分で温泉に つかり、谷川岳を眺めながら、『救急救命士学』の確立 を夢見た一日であった。


東播磨内陸地域救急救命士運用連絡協議会特定行為発表会開催

兵庫県小野市消防本部(東播磨内陸地域救急救命士運用連絡協議会事務局)  東播磨内陸地域救急救命士運用連絡協議会では、救命 率の向上を目指して活動を行っておりますが、さる3月 12日、市立小野市民病院において、当会会長・北野昭臣 先生、市立小野市民病院院長・椋棒正博先生、同病院外 科部長・土屋和彦先生の助言の下、救急隊員による特定 行為発表会を開催しました。

 当日は、当地域内の医師、看護婦、保健所職員、救急 隊員合わせて92人が参加し、当会に所属する5消防本部 の代表チーム(救急救命士を含む救急隊員3人、医師役、 家族役)が、想定した各救急事案に基づき、実践さなが らの救命救急活動を実施しました。

 想定した事案の内容は、心臓疾患2例、窒息事故、転 落外傷および交通外傷各1例で、各救急隊が、迅速かつ 的確な判断やインフォームド・コンセントなど、それぞ れに救命救急活動を展開しました。

 発表の後、各活動に対して、アドバイザーの医師から 講評を頂くとともに、傷病者観察、特定行為要領および 搬送要領について、細かく助言を頂きました。また、日 常の救急業務に関する救急隊や参加者からの質疑に対し ても、先生方が明確に回答して下さり、参加した消防職 員を始め関係者は皆、真剣なまなざしで医師の助言に耳 を傾けていました。

 当会では、救急隊員の知識と技術の向上を目的として、 今後、このような特定行為発表会を定期的に実施すると ともに、医療機関との関係を密にするためにも、さまざ まな研修会を実施し、救命率の向上を目指して活動を続 けていきたいと考えます。


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