この原稿は救急医療ジャーナル'98第6巻第3号(通巻第31号)「NETWORK救急救命士ならびに救急隊員の会から」のページを収載したものです。もしホームページを希望されない記事や訂正を希望される部分がありましたら、 web担当者までご連絡下さい。

第2回京都府救急救命士会リフレッシュ研修会報告

出店知之(京都府救急救命士会会長)

 1998年4月25日午後1時30分から、京都府医師会 館大ホールにおいて、第2回リフレッシュ研修会を開催 しました。当日は、東は愛知県、西は兵庫県からも参加 があり、201人という当会始まって以来の多数の参加 者を得ました。

 さて、今回は、東海大学医学部の澤田祐介教授のご配 慮により、アメリカのロサンゼルスからパラメディック の指導者であるGad Amith氏を講師にお迎えして、「パ ラメディックと大いに語ろう」をテーマに、充実した内 容の研修会を実施することができました。Amith氏に は、特別講演として、日本の救急救命士制度の手本とな ったアメリカのパラメディック制度の現状について、お 話しいただきました。

 また、特別講演に続いて、「アメリカのパラメディッ クと日本の救急救命士の資格取得後教育の相違点」およ び「バイスタンダー養成教育の相違点」について、パネ ルディスカッションを行いました。京都九条病院の松井 道宣院長に座長を務めていただき、助言者として、特別 講演に引き続きAmith氏、東海大学病院救命救急セン ターの中川儀英医師、パネラーとして京都第一赤十字病 院救命救急センターの池田栄人医師、大阪府三島救命救 急センターの大石泰男医師、杏林大学附属病院高度救命 救急センターの根本学医師、大津市民病院救急治療室の 福井道彦医師と、いずれも救急医務の最前線で活躍して おられる先生方に参加していただきました。さらに、救 急救命士の代表として、京都府相楽中部消防本部の中野 嘉友救急救命士およぴ京都市消防局の野稲廣志救急救命 士も出席しました。

 これだけのメンバーが一堂に会し、明日の救急救命士 像を語り合う姿は、救急医療の一翼を担う救急救命士に とって、大きな心の支えになったと思います。

 特別講演「アメリカの救急医療の現状について」の内 容については、スライドと同時通訳を駆使して、わかり やすい解説がなされました。講演を開いてとくに心に残 ったのは、彼らがパラメディツクという職業を“聖職” と認識し、常に誇りを持ち続けているということでした。 その理由として、アメリカのパラメディツクは完全に市 民権を得ており、救急医療の一翼を確実に担っていると いう自負があると思われました。また、資格取得のため にきびしい研修や試験を受けなければならないだけでな く、資格取得後も2年ごとに再試験が行われるなど、資 格をより厳格にするためのきびしい関門が設けられてお り、それらをクリアしていることも彼らの自信につなが っているのではないかと感じました。

 このような特別講演を受けてのパネルディスカッショ ンでは、日本の救急医療を最前線で支えておられる先生 方と現役の救急救命士が、終了予定時間を超えるほど、 活発な討論を展開しました。その結果、日本の救急救命 士制度を支えているハード面は、アメリカに比べ遜色は ないものであるが、今後、ソフト面の充実が必要である との結論に達しました。具体的な例としては、資格取得 後の教育や病院実習の充実が挙げられていました。この ほか、日本の救急救命士制度がアメリカのパラメディツ クに追いつくまでにはまだ時間が必要であり、その時間 を短縮するためには、救急救命士一人ひとりが、いまで きる範囲で最大限の努力をする以外に道はないとの意見 も出ました。

 今回の研修会は、アメリカのパラメディツクに追いつ くまでの時間の短縮の一助になると同時に、明日を担う 若い救急救命士たちの心に一筋の光を投げ掛けたのでは ないかと思います。


救急隊員セミナーに参加して

籾山眞逸(足利市消防本部)

 近年の急速な高齢化社会の進行、傷病者の病態の複 雑・多様化に伴い、救急医療のニーズはますます高まっ ており、救急要請件数の増加とともに専門的かつ高度な 救急業務が求められるようになっています。

 このような状況の中、地域医療の向上を図ることを目 的に、自治医科大学・鈴川正之教授の呼び掛けと栃木県 ならぴに栃木県消防長会の後援により、さる1月24日、 自治医科大学研修センターにおいて、救急隊員セミナー が開催されました。当日は県内全15消防本部を始め、関 東近県から約250人の救急隊員等が参加しました。

 セミナーの内容は、以下の通りです。
(1)教育講演「多発外傷の検討」
  講師:安田是和先生(自治医科大学救急医学教室助教授)
(2)症例研究
  助言者:鈴川正之先生(自治医科大学救急医学教室教授)
      河野正樹先生(自治医科大学救急医学教室)
  座長:栗城秀善(宇都宮市消防本部)
  司会:島田 進(足利市消防本部)
(1)「過換気症候群による意識障害について」
  発表者:蕎麦田紀夫(宇都宮市消防本部)
(2)「精神疾患患者の搬送について」
  発表者:新藤 節(足利市消防本部)
(3)「執傷患者の病院収容について」
  発表者:舘野 章(小山市消防本部)
(4)「多発咬創の救護活動について」
  発表者:菊池慰修(宇都宮市消防本部)
(5)「交通事故による胸部外傷患者の搬送事例について」
  発表者:森戸英男(小山市消防本部)
(3)特別講演「心臓の話」
  講師:夏目隆史先生(自治医科大学救急医学教室教授)

 今回のセミナーに参加して、いろいろな症例を学ぶこ とができましたが、ここで得た知識は、今後似たような 症例に出会ったときに必ず役立つものと思います。

 栃木県全体でこのような立派なセミナーを開催するこ とができたのは、自治医科大学救急医学教室、栃木県、 栃木県消防長会、関係各位の皆様のご尽力のたまものと 思います。

 救急隊は常に救急医療について学び、現場で迅速か つ的確な救命活動を行うことによって、市民から感謝さ れるよう努力しなければならないと思います。このよう な救急隊員セミナーがこれからも継続して行われること を希望して、救急隊員セミナーの報告を終わります。


大阪府下救急救命研究会
平成9年度第3回研修会報告

五島建雄(大阪府下救急救命研究会)

 さる2月24日、大阪市天王寺区のホテルアウィーナ大 阪にて、大阪府下救急救命研究会の平成9年度第3回研 修会を開催しました。当日はあいにくの雨にもかかわら ず、約60人の参加がありました。

 今回は、大阪市北区にある桜橋渡辺病院のご協力を得 て、同院の先生方による教育講演を中心に、循環器系に 関する知識の修得を目的とした内容の濃い研修会が実現 しました。

 教育講演のテーマは四つで、内科部長の藤井謙司先生 に「心不全」、内科副部長の伊藤浩先生に「不整脈と救 急」、同じく内科副部長の東野順彦先生に「急性心筋梗 塞の診断・合併症と救急搬送」、心臓血管外科部長の宮 本裕治先生に「大動脈瘤」について、それぞれお話しい ただきました。

 先生方には、モニター波形の観察要領はもとより、傷 病者の訴えや注意しなければならない状態、また搬送後 の病院内処置等について、資料やスライド画面を使用 し、約2時間半に渡って、非常に熱心にご指導いただき ました。

 いずれの先生もお若く、救急業務に理解のある方々で、 その熱意が私たち受講する者にも伝わったのか、会場か ら活発に質問が飛び出しました。そのため、予定してい た時間が大きくずれ込んでしまい、第2部の事例研究に 十分な時間を取ることができなかったのは残念ですが、 研修会として充実した内容になったと思います。

 閉会後、当直日ということで急いで病院に向かわれた 4人の先生方、本当にありがとうございました。この場 をお借りして、改めてお礼申し上げます。

 救急業務に理解があり、私たちのために忙しい時間を 割いて指導して下さる先生がいることを励みに、コ・メ ディカルの一員として"日々研鑚"の思いを新たにした 一日でした。


第6回島根救友会報告

飯塚幸夫(島根救友会・大社消防署)

 さる3月14日、島根県出雲市のサントピア出雲会議室 において、第6回島根救友会を開催しました。

 当会では、県下の消防本部が交代で開催地当番を務め ていますが、今回は、『縁むすぴ』の神様で知られる出雲 大社のおひざ元、大社町消防本部が開催地当番となり、 「呼吸器疾患」をテーマにフリーディスカッション、症 例検討および教育講演を行いました。当会は救急医療に 携わる者が自由に参加できるため、今回も県内各消防本 部の救急隊員、看護婦、お隣の鳥取県下消防本部の救急 隊員、さらに遠くは神奈川県の救急救命士専門学校から も参加があり、盛大に開催することができました。

 プログラムの内容は次の通りです。
(1)フリーディスカッション
聴衆参加型「呼吸困難患者の搬送−KEY WORDS
        慢性閉塞性肺疾患CO2ナルコーシス」
  座長:大梶芳治(大社消防署救急救命士)
(2)症例検討「呼吸器疾患」
  座長:吉野則雄(浜田消防署救急救命士)
 (1)「Squeezingにより呼吸苦が改善した症例」
   吉井友和(出雲消防署救急隊)
 (2)「腹部に皮下気腫をきたした外傷性気胸」
   日高武英(江津消防署救急救命士)
 (3)「急性心不全による肺水腫患者の搬送事例」
   出川徹(出雲消防署救急隊)
 (4)「特定行為における気道確保器具の選定とその考察」
   西田吉治(松江消防署救急救命士)
(3)教育講演「救急における代表的呼吸器疾患」
  山領 豪先生(島根県立中央病院呼吸器科)
(4)症例検討「自由演題」
  座長:岡 高秀(平田消防署救急救命士)
 (1)「車内分娩事例」孝行一則(出雲消防署救急隊)
 (2)「腰痛を主訴とした腹部大動脈瘤の事例」
   佐藤靖和(平田消防署救急隊)
 (3)「左上肢痛を主訴とした急性心筋梗塞の事例」
   福田 崇(出雲消防署救急隊)
(5)視察研修報告「来た見た乗った
        アメリカパラメディック視察研修報告」
  安田康晴(出雲消防署救急救命士)

 先生方の熱心な講義とコメント、さらにはフロアとの 活発な意見交換により、予定より30分オーバーして閉会 しました。

 本会の後に開かれた懇親会においても、地域医療につ いて、また郷土の自慢話に花が咲き、夜遅くまで語らい が続いたことを付け加えておきます。

 最後に、ご多忙中にもかかわらず熱心なご講義をして 下さった山領豪先生、また、会の発足当初からご尽力い ただいている松原康博先生、村上林児先生に、誌面を借 りて心からお礼申し上げます。


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