この原稿は救急医療ジャーナル'97第5巻第4号(通巻第26号)「NETWORK救急救命士ならびに救急隊員の会から」のページを収載したものです。もしホームページを希望されない記事や訂正を希望される部分がありましたら、 web担当者までご連絡下さい。

第4回救急救命士中央地区会総会を終えて

河原克巳 (救急救命中央地区会会長)

 1997年4月24日の午後2時から、東京都千代田区麹町にあるスクワール麹町において、第 4回救急救命士中央地区会総会が開催されました。総会では、当日出席した会員により、 今年度の事業計画などが議決されました。議事内容は秋の研修会、会報、幹事県、当会の ホームページ、エンブレムなどで、これらのことについて、さまざまな角度から話し合い が行われました。研修会については、昨年同様、岡崎久恒先生(東京都多摩老人医療セン ター麻酔科)をお招きして、同時期に開催したいということで決まりましたが、その背景 には次のようなこともありました。

 昨年の研修会では、岡崎先生に「分かりやすい心電図」というタイトルでご講義を頂き ました。その際に、先生のご厚意で講義をテープに収録させていただき、当日研修会に参 加できなかった会員のために、それを事務局で書き起こし編集して、救急救命士中央地区 会会報第3号(1997年6月発行)に掲載することになりました。

 総会終了後そのことを知ったある会員の方からテープを貸して下さいという依頼があっ たため、お貸ししたところ、「大変参考になり、疑問だったことが少しわかったような気 がしました」とお便りを頂きました。私は、救急救命士会が個人の生涯学習のお役に立て たこの出来事を通して、救急救命士会の意義を感じました。同時に、救急救命士養成教育 に時間的ゆとりがなかったために、未消化のまま覚えていた科目が多くあったことを意味 するようにも感じました。

 今後、救急救命士の養成教育が長い時間をかけて、道徳や哲学を踏まえてゆっくりと行 えるようになればよいと思います。また、救急救命士の生涯学習は、個人個人にゆだねら れており、個人が努力するのは当然だと考えますが、個人だけでは自ずと限界があるのも 事実です。各地に存在する救急救命士会等がリーダーシップを取り、生涯学習の一端を担 わなければいけないことを再認識した初夏の一日でした。

 話は変わりますが、私は最近、陶芸教室に通っています。写真は、私が最初に作った湯 飲み茶碗です。いまだに進歩はありません。非常に見栄えが悪く不細工ですが、なぜかお 茶を飲むときに、自然とこの茶碗に手が行きます。不格好でも不思議と愛着があるんです ね!

 愛着があるのは、私が土をこねて、ろくろを回し作り上げたことに対して、最初に 感動を得たからだと思います。湯飲み茶碗が釜から出て手元に届いたときの新鮮な感激 は、いまだに覚えています。

 救急活動や救急教育などを通じて最初に新鮮に感じたことは、年月が過ぎ、ややもする と忘れがちですが、生涯新鮮に感じ続ける努力が必要であると自分に言い聞かせた一日で もありました。
〈会報の問い合わせ先〉
 045−341−8807(会長・河原宅)
〈救急救命士中央地区会ホームページアドレス〉
 http://www.justnet.or.jp/home/katumi-kawahara/


「広げよう救命の輪」----第4回船橋救輪会開催

水村 潔(船橋救輪会副会長)

 昨年の4月にスタートした船橋救輪会が、1997年5月17日午後1時から、第4回目の研修会 を船橋市消防局救急ステーションにて開催いたしました。

 当会が、会員相互の交流を通じ、救急医療に関する知識・技術の向上を図り、プレホス ピタル・ケアの充実を図ることを目的として発足してから、1年が経過しました。

 4回目 となる今回は、研修会に先立ち、第1回船橋救輪会総会が開催され、平成8年度の事業報告 ・決算報告および平成9年度の事業計画等がそれぞれ承認されました。

 平成9年度の事業計画としては、年3回の研修会(5月、9月、1月)と毎月開かれる役員 会を行う予定となっています。

 この日の総会および研修会には、船橋市や近隣の救急関係者はもとより、千葉県、東京 都、神奈川県、茨城県の消防関係者等約120人の参加がありました。昨年の3回の研修会で は、延べ253人(1回平均84人)の参加を得ましたが、今回はこれをはるかに上回る参加者 数で、熱気あふれる研修会となりました。

 研修会の内容は、次の通りでした。 1.教育講演「意識障害をきたす心疾患」

 講師:中田一之先生(倉本記念病院循環器内科) 2.症例検討

 助言者:境田康二先生(船橋市立医療センター麻酔科) 「ショックパンツの奏功事例」須賀秀夫(市川市消防局) 「薬物アレルギーの搬送事例」大北譲二(船橋市消防局) 3.シリーズ応急処置(ビデオ上映) 「重症喘息発作のプレホスピタルケア」 4.特別講演「細胞レベルでとらえる救急医療」

 講師:安田和弘先生(救急救命東京研修所主任教授)

 安田先生の特別講演は、和やかな雰囲気で救急医療がより身近に感じられ、しかもより 理解を深められるという有意義なものとなりました。安田先生のアクションを交えたお話 しぶりに、会場も大変な盛り上がりを見せていました。

 また、「重症喘息発作のプレホスピタルケア」としてビデオ上映された胸郭外胸部圧迫 法による呼吸補助法は、第1回船橋救輪会でも取り上げたテーマですが、今回のビデオ は、胸郭外胸部圧迫法等を救急隊員あるいは医療関係者にわかりやすい形で広めようと、 船橋市のドクターカーシステムを中心に検討が進められ、船橋市医師会により制作された ものです。

 船橋救輪会は、船橋市消防局の救急隊員が中心となり、近隣の消防職員にも広く参加を 呼び掛け結成したもので、会員数は126人(1997年5月17日現在)となっています。

 当会は、会員が自主的に刺激し協力し合って、問題を提起し、知識・技術を研鑽しなが らそれを解決する場として発足したため、救急隊員という職域にとらわれず広く門戸を開 放しており、救急隊員以外の消防職員も会員として参加しています。

 また、研修会には、会員以外も自由に参加できることが大きな特徴となっています。

 次回の研修会は、1997年9月6日(土)、船橋市消防局救急ステーションにて開催する予 定です。多くの方の参加をお待ちしております。


第4回東北救急救命士会総会を終えて

東北救急救命士会事務局  東北地方の地城医療において、救急活動の理想を希求し、生涯学習を目指すわれわれに とって、東北救急救命士会は、各救急医学会とともに、貴重な勉学と情報交換の機会で す。秋田市で5月24日に開催された第11回東北救急医学会の前日、恒例の総会を行いまし た。東北地方(青森、秋田、岩手、宮城、福島、山形、新潟)322人の会員の中から94人 の参加者と来賓の先生方をお迎えして、勉強会と親睦会を催しました。

 会長あいさつの冒頭に、顧間であった東北大学医学郡・吉成道夫教授の急逝に追悼の辞 が述べられ、ご教授いただいた「救急救命士の使命」を深く胸に刻み、さらなる躍進を誓 い合いました。また、日本の救急隊員教育にご熱心であった東京大学医学部救急部出身の 三井香兒先生の訃報も伝えられ、豪放磊落なエピソードを語り、ありし日をしのびまし た。

 教育講演では、弘前大学医学部救急部・滝口雅博先生からイタリア救急体制エアレス キューの実情について、市立秋田総合病院・円山啓司先生からバイスタンダーCPRの質に よる救命効果と普及啓発活動について、また、由利組合総合病院・高橋臣先生から現場処 置と救急統計問題について、ご講演と激励を頂きました。

 今回より、消防職員という参加条件が外れたため、看護婦(士)、自衛隊、警察、海上 保安庁と参加者の職域も広がり、さらに北海道と関東からのゲストも加わって、親睦会の 制限時間を超えるほどの盛会となりました。最後に、来年の学会開催地・山形市での再会 を誓い、総会を終えました。


第1回京都府救急救命士会リフレッシュ研修会報告

出店知之 (京都府救急救命士会会長)  さる5月24日、午後1時30分から、京都府医師会館講堂において、当会が発足して初めて の企画であるリフレッシュ研修会を開催しました。当会の運営も3年が経過しましたが、 参加人数も毎年増加している現状の中で、特色のある研修会を企画すべく、より困難化す る救急現場に対応するため、「救急活動に対する法律問題」を主題にした今回の研修会 は、意義の深いものとなりました。

 当日は、京都の中心部に位置する御池法律事務所から長谷川彰弁護士を迎えて、教育講 演と法律問題を題材にしてのパネルディスカッションを行いました。パネラーには、救急 医療の第一線でご活躍されている救急専門医や救急看護士、現場経験豊富な消防機関の救 急救命士を、また助言者には、長谷川弁護士と京都の救急医療を主導していただいている 谷村伸一医師(京都府医師会救急委員会委員)を迎えて、豪華な顔ぶれで実施しました。

 パネルディスカッションでは、活動困難症例を題材として、法律や医療の専門家の立場 から、非常に貴重な意見を頂きました。また、フロアとパネラーとの質疑応答も活発なも のとなり、大変有意義な時間となりました。題材は、「死亡と考えられる傷病者の取扱い について」、「小隊内での責任所在について」、「収容病院をめぐるトラブルについ て」、「傷病者の所持品の取扱いについて」、「救急活動に関連した器物破損について」 でしたが、一つひとつの題材を十分に討議するには時間が足りませんでした。しかし、今 回の研修会で未消化の部分については、次回に継続することとして、研修会を成功のうち に終えることとなりました。

 リフレッシュ研修会は、当会にとって初めての企画でしたが、多彩な講師陣のお陰で、 成功させることができました。その陰には、設立当初からの京都府医師会の多大なるご支 援があることを改めて感じた研修会でした。

 救急救命士が本当の意味での社会的認知を得るためには、このような自己研修会の場を 積極的に活用し、技術や知識を保持することが必須条件であるとともに、広い視野を持っ た全人的な人間形成を目指す必要があります。当会の顧問である中野博美医師(京都府医 師会救急委員会委員)からも、医療従事者の心構えについてのお話がありましたが、意味 合いは同じものでした。

 救急救命士が社会に生まれてから、まだ5年しか歳月がたっていません。本当に社会の 中に浸透するためには、まだまだ時間が必要です。ただし、その時間は、救急救命士一人 ひとりの努力によって短縮することは可能であると考えています。明日を信じて、いま以 上の自助努力をする必要があると痛感した研修会でした。


第4回愛媛救友会(松山大会)・総会報告

貞徳正人一(愛媛救友会副会長)  さる5月24日、松山市にある愛媛県医師会館において、平成9年度愛媛救友会総会および 第4回愛媛救友会松山大会が開催されました。今回は、来賓に愛媛県交通消防課長、松山 市消防局長、ならびに顧問である県下4救命救急センター長等9人の先生方を迎え、会場に 150人、その後の親睦会に70人の参加を得ました。

 午前中、平成8年度事業報告および歳入歳出決算、会計監査報告、平成9年度事業報告お よび歳入歳出予算(案)ならびに役員改選等を実施し、昼食時には、高規格救急車と救急 資器材の展示を行いました。

 午後からは、特定行為(松山市消防局)、ショックパンツ(東温消防事務組合)、異物 除去(上浮穴消防事務組合)の3例のデモンストレーションを行い、医療関係者から好評 を得ました。

 自由演題としては、「愛媛県立中央病院における緊急コール」(同院救命救急センター ICU婦長・本田るい氏)、「複数傷病者の救急活動」(伊予市消防本部・生駒隆氏)、 「東宇和消防の救急状況について」(東宇和消防本部・中村久氏)、「コンビチューブが 有効であった救急事例」(今治地区消防事務組合・石川桂二氏)、「海上保安庁につい て」(松山海上保安部警備救護係長・渡部博文氏)等が発表され、活発な意見交換が行わ れました。最後に、愛媛大学医学部救急医学の白川洋一教授に「救急医療の近未来」と題 して、特別講演を頂きました。

 親睦会は、松山全日空ホテルへ会場を移し、日本赤十字社愛媛県支部の加地弘明係長の ユニークな司会進行で行われましたが、和やかな雰囲気で親睦を深めることができ、時の たつのを忘れるほどの盛会でした。いままでは、各消防本部の活動範囲外の方々や他地域 の消防職員との日常交流がほとんどない状況でしたが、当会を通して、消防職員同士はも ちろん、県内各地で赤十字救急法指導員としてCPR普及活動を行っている安全赤十字奉仕 団員や、自衛隊、海上保安庁、県警等の救護担当者、および医療関係者と顔なじみにな り、本音で語り合える関係を持つことができるようになりました。

 プレホスピタル・ケアの充実と救命率の向上において、応急手当の普及啓発促進は重妻 です。また、救急業務の実施及び高度化とと救急隊員の資質向上には、医療機関との連携 が不可欠です。救急医療は地場産業と言われます。地域住民の期侍と信頼にこたえるよう 心を新たにし、助かるはずの生命を一人でも多く救うために、今後とも頑張っていきたい と思います。

 ここで、顧問で運営委員でもある愛媛大学医学部救急医学の越智元郎助教授からのアド バイスにより、今年5月31日に山口県で行われた第13回日本救急医学会中国四国地方会に おいて、愛媛救友会の紹介等2例を発表し、好評を得ましたことを、追記させていただき ます。

 会員は、第4回松山大会を終了した時点で約400人となりましたが、救命の輪を県内にと どまらせることなく、他の救急救命士会等との交流を図り、レベルアップに努めたいと思 います。皆様からの情報をお待ちしています。

 最後になりましたが、大会運営に当たり、中予地区の会員の皆様のご支援、ご協力をい ただきました。誌面を借りて厚くお礼申し上げ、報告を終わらせていただきます。


掲示板
CPR・JCS名刺を作成!

山口典久(神奈川救急救命士会)  「私は、綾瀬市消防署の山口です」と初対面の人に名刺を渡しますが、これらの名刺が どこに行くか考えたことがありますか?もらった人は、手帳に名前、住所、電話番号を書 き写し、その後、名刺は名刺ホルダーや名刺整理帳の中にしまわれて、半永久的に日の目 を見ることがないのではないでしょうか。

 そこで私は、いつも名刺を見てもらえるように、裏にJCSやCPRの説明を記載した名刺を 作製しました。救急隊員にはJCS名刺を、市民(普通救命講習受講者等)にはCPR名刺を渡 しています。そして、名刺を渡すときには「救急車や救急バッグの中に入れて、救急出動 時に参考にして下さい」「普通救命講習修了証と一緒に財布の中などに入れ、いつでも心 肺蘇生法ができるように、手順を思い出して確認して下さい」などと申し添えています。

 皆さんも、これを参考に日の目を見るような名刺を作製し、私と名刺交換をしてみては いががでしようか。

JCS‐CPR名刺を作ったきっかけ

 8年前のある懇談会でのお話です。気分よくアルコールを飲み、「救急とは、男のロマ ンと情熱だ」「救急現場で一番大切なことは、3人の救急隊員の息の合った連携プレー で、目の前の傷病者に対して最善の努力をすることだ」「救急隊員一人ひとりの救急知識 ・技術が高次元で統一されていることは必要最低限であり、日進月歩する救急技術の習得 に努力し、訓練等を通じて技術の向上に努めていかなけれぱならない」などと語り合いな がら、十数人の方と名刺交換をしました。

 約1時間後、トイレで手を洗っているときにふと下を見ると、何人かに踏まれ、泥まみ れになった1枚の白い紙片がありました。拾って裏を見ると、な、なんと先ほど十数人の 人に渡した、私の愛を込めて作った大切な名刺ではありませんか!

 名刺はすでに意識は なく、JCS300で、CPRをしようにもできずに、再起不能の状態でした。私は目の前が真っ 暗になり、悔しいやら悲しいやらで泣きたい気持ちになりました。とにかくショック、 ショック、ショックの連続でした(ハンカチをポケットから取り出すときに、落ちたのだ とは思っていますが……)。そのときは、名刺をきれいに洗い、トイレツトペーパーに包 んでごみ箱に葬りました。ほかに、名刺の裏をメモ代わりに使っている人もいました。

 そこで私は、名刺の裏に大切な内容や救急活動に必要なことを書いておけば、すぐに財 布などにしまって保管してもらえるのではないかと思い、このような名刺を作製するよう になったのです。

JCS・CPR名刺にまつわるよき思い出

 あるとき、婦人防火クラブ員の方から突然、「山口さん、おひさしぶりです、私は、い つもバッグの中に普通救命講習修了証と名刺を入れて、持ち歩いているんですよ。あのと きは大変おもしろい救急講習をしていただいて、ありがとうございました」と声を掛けら れました。その女性の手の中を見ると、私のCPR名刺を持っているではありませんか!こ のときは本当にうれしくなり、我を忘れて朝まで飲み明かしてしまいました。

 JCS名刺については、ある救急救命士養成所の講師から「いま、私の学園では、山口さ んの名刺を持っていると、国家試験に合格できるという噂が流れています」と言われまし た。名札の裏に私の名刺を入れてお守りのように持ち歩いたり、名刺をもらっていない生 徒が、私の名前と連絡先を記入したメモを持っているそうです。実際、先輩から噂を聞い た新入生が、わざわざ私の職場まで名刺をもらいにきたのにはとても驚きました。


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