この原稿は救急医療ジャーナル'97第5巻第1号(通巻第23号)「NETWORK救急救命士ならびに救急隊員の会から」のページを収載したものです。もしホームページを希望されない記事や訂正を希望される部分がありましたら、 web担当者までご連絡下さい。

臨床検査技師に行ったCPR講習

森本幸夫(北摂救急救命士会会長)  1996年11月16日、北摂救急救命士会が、大阪府の臨床検査技師に行ったCPR講習の報告 をします。

 まず最初のきっかけは、昨年の8月初旬に、私が大阪府立千里救命救急センターで病院 研修を行っているときのことでした。知人の臨床検査技師から、「森本さんに会わせたい 人がいる」と言われ、お会いしたのが同センターに隣接するS病院の臨床検査技師で、そ の方から、大阪府臨床検査技師会が行っている生涯教育の一環として、当会にCPR講習を 行ってほしいとの依頼を受けたのです。

 その方によると、臨床検査技師は医療従事者であるものの、さる1995年に起こった阪神 ・淡路大震災のときには、CPR等の応急手当の方法がわからず医療従事者として協力する ことができなかったため、ぜひCPR講習を受けたいという人がたくさんおられるというこ とでした。

 当日の参加者は男女合わせて24人で、仕事が終わってすぐに駆けつけた人もいらっ しゃったほどでした。それを見て私たちも、ぜひとも全力を尽くさねばという思いを抱き ながら講習を行いました。事実、参加者の中には誰一人、私たちの顔から目をそらす人は おらず、皆さん真剣にCPRの必要性や実技の説明に聞き入ってくれました。

 そして、予定されていた時間を30分オーバーして講習を終了し、参加者の一人に感想を 聞いたところ、「少し自信がつき、救急医療に対する関心がわいた」という答えを得るこ とができました。

 私たちも、この講習を通じて違った分野で医療に携わる人々とお会いし、たくさんのこ とを得られたと同時に、今後は、このような機会を増やすために、当会の活動をあらゆる 方面に拡大していかなければと痛感しました。

 なお当会は、小規模の救急救命士会ですが、医療に従事する方や、救急医療に興味をお 持ちの方の入会を受け付けています。

 今回の講習でお会いした臨床検査技師の方々とお話をして、教えていただくこともたく さんありました。これからの救急救命士および救急隊員は、知識や技術の向上を図るため にも、いろいろな分野の方々と接触し、自己研鑽すべきではないかと思います。


第4回救急救命士中央地区会研修会の結果報告

河原克巳(救急救命士中央地区会会長)  街路樹もおしゃれに色づく秋本番のl996年11月16日、横浜市西区紅葉ケ丘の高台にある 横浜市教育会館において、第4回救急救命士中央地区会研修会が行われました。

 当日は、講師として、ラリンゲアルマスクで知られる岡崎久恒先生(東京都多摩老人医 療センター麻酔科)をお招きして、「わかりやすい心電図」というタイトルでご講義をい ただきました。参加者は、学校教育を修了して皆それぞれに時間が経過しているため、半 日に渡る座学はかなりつらいものがあると思われましたが、先生のご講義が理解しやすい ことに加えて、わからなければ何度も繰り返しご説明いただけましたので、誰一人居眠り することなく、真剣に取り組むことができました。救急救命士個人が、積極的に生涯学習 を考えて努力している姿が、その場にあったような気がしました。

 言うまでもなく、救急救命士の資格は組織に与えられたものではなく、厚生省が個人に 与えたものです。すなわち、個人が自らの努力で生涯学習を継続しなければなりません。 私自身もそれは十分わかっているつもりなのですが、いざ実践するとなると非常に難し く、なかなか考えたようにはできません。

 また研修会終了後、受講者からは、「今回参加して、いままで疑問(心筋の活動電位、 電解質、基本調律、不整脈など)に思っていたことが理解できたので、非常によかった」 という評価を得ました。

 1回の講義だけですべてを理解することはまずあり得ないと思いますが、回を重ねるこ とで理解を深めることはできるものと考えます。いまのところ研修会は年1回の開催予定 ですが、来年も会員同士の情報交換の場として、そして皆から評価されるような研修会を 開催したいと思いました。

 また今回は、「勤務の都合でどうしても参加できず非常に残念です」という会員からの 声が寄せられたことから、岡崎先生のご好意で講義内容をテープに収め当会事務局で編集 して、来年発行の会報(年1回毎年6月発行予定)第3号に掲載する予定です。

 今回の研修会で得たことをステップにして会員それぞれが自らレベルアップを図ること により、救急現場で一人でも多くの患者さんの救命ができることを願った秋の一日でし た。


第6回京都府救急救命士会総会報告

出店知之(京都府救急救命士会会長)  1996年11月30日13時30分から、京都府医師会館講堂において、第6回京都府救急救命士 会総会を行いました。今回は、役員の一部交代および事務局の新設を決定して、今後の会 の運営に備えることとなりました。

 今回の講演テーマは、「救急救命士の在り方や将来像などを探る」であり、教育講演 は、長年、京都府下の救急医療にかかわってこられた済生会京都府病院の小西理雄副院長 に「地城医療における救急救命士の役割」というタイトルで講義していただきました。

 続いて、特別講演では、わざわざ神奈川県から当会のためにお越しいただいた、東海大 学医学部救急医学の澤田祐介教授から「救急医療の近未来像」について、救急医療の歴史 的背景から今後の救急隊員のあり方までをお話しいたたきました。先生のお話は、スライ ドを交えて80分にも及び、時折医療の世界を超えた話から現在の救急隊員が進むべき指針 を説かれました。

 とくに先生が強調されていたポイントとしては、1.これからの救急隊員は”医療人”と しての誇りを常に持つこと、2.まだ始まったばかりの救急救命士制度を批評するより、来 る未来に向けての自助努力を行うべきであること、3.救急医や救急救命士だけではなく、 市民等を巻き込んだトータルな救急医療体制を構築することの3点がありました。

 その後、東海大学医学部附属病院近くに位置する神奈川県・伊勢原市消肪本部の紺野正 一救急救命士が、「神奈川県西部地域における救急隊員の生涯教育」と題して、地域で毎 月実施しておられる”救急セミナー”の内容を紹介され、救急隊員の生涯教育の指針を具 体的に示されました。

 またその際、救急隊員が医師へ渡す”プレホスピタルレコード”の紹介がありました。 これは、傷病者を病院へ搬送した際、救急隊から医師に渡す申し送り状であり、神奈川県 西部地域で実際に行われているシステムとして注目されていました。

 このように、今回の教育講演や特別講演は大変内容の濃いものとなり、参加者から高い 評価を受けました。講演後には医師会館内の喫茶店で、府医師会の先生方や澤田先生を囲 んで約1時間の懇談会を行い、和気あいあいのうちに総会を終えることができました。

 今回は100人を超える参加者があり、京都府下の救急救命士や救急隊員だけでなく、医 師や看護婦、救急行政関係者が参加され、当会の運営目標である「広く京都府下の救急医 療の発展に寄与する」ことを達成できたと考えています。

 最後に、今回は21世紀の救急隊員像を見た総会であったということをお伝えして報告を 終わらせていただきます。


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