この原稿は救急医療ジャーナル'95第3巻第1号(通巻第11号)「NETWORK救急救命士ならびに救急隊員の会から」のページを収載したものです。もしホームページを希望されない記事や訂正を希望される部分がありましたら、 web担当者までご連絡下さい。

京都府救急救命士会通信

出店知之(京都府救急救命士会会長)  昨年、京都は、平安建都1200年を迎えました。こ の記念すへき祝祭年の11月12日、京都の中心に位置する 烏丸京都ホテルにて策2回京都府救急救命士会総会を開 催いたしました。

 そこで、いままでの経過について報告しておきます。

 まず、1993年の4月に第1回設立準備委員会を、 京都府医師会救急担当理事である谷村仲一先生のご指導 のもとに、開催しました。同委員会には、京都府医師会 監事である繁本清美先生、前京都市消防局嘱託医師の大 石泰男先生をはじめとして、京都府の救急医療を牽引し てこられた先生方と、京都府在住の救急救命士第1期お よび第2期生が集まりました。

 この会議では、会の運営自的の重点を学術研究におく こと、会員の対象を消防機関の救急救命士だけでなく、 広く救急救命士資格を有する医療従事者とすることに決 定しました。これらの決定事項の基本理念には、医療従 事者とともに生涯教育を進め、救急救命士が一日も早< 社会的立場を確立する」ことにありました。

 また、同年7月に第2回準備委員会を開催し、さらな る検討を加えて翌年の2月に、第1回総会を開催するこ ととし、総会を開催するにあたっての、対象者へのインフォメーション をどのように行うかなどを検討しまし た。

 まず名簿についてですが、消防機関の救急救命士名簿 は入手しやすいが、医療機関に従事している救急救命士 の名簿は入手しにくいため、医療機関分については、府 下の救急告示病院にダイレクトメールを出し、救急救命 士名簿の提出を依頼しました。このような方法で入手し た名簿をもとに、策1回総会の案内ハガキを無事、各救 急救命士あてに送付することができました。また、この ような事務作業は、仮設事務局「京都第二赤十字病院救 命救急センター内科医局」で行うことができ、大変助か ったことを報告しておきます。

 そして、1994年2月26日、京都府中小企業会館会 議室にて策1回総会を開催することができました。第1 回総会では、当会の設立趣旨説明と、会長および副会長 職を選出し、その後、日本光電研修センターの佐々木講 師から「心電図モニターと心電図伝送システム」につい ての講義をいただきました。参加人数は40人程度でした が、設立委員会の思いどおり、消防機関の救急救命士だ けでなく、救急救命士資格をもつ看護婦等も参加し、事 後の運営や救急救命士の未来について熱く語らうことが できました。また、前京都府立医科大学麻酔科教授であ る宮崎正夫先生も激励のためにお越しくださったことを 付け加えておきます。

 そして、このたび第2回総会を迎えることができたわ けですが、この間に、仮設事務局を、京都府医師会救急 委員会委員の中野博美先生の御厚意により、京都木津川 病院に移転したり、新たに合格した人の名簿を入手する など、大変な作業がありました。このような作業を無事 乗り越えられたのは、設立準備段階から絶大な支援をし ていただいた京都府医師会の先生方のおかげでした。

 今回の総会には、救急救命士ばかりでなく、救急医療 に携わっている医師や看護婦の方々が総勢100人程度 集まってくださり、大変心強く感じた次第です。また、 京都府医師会からも後援していただきました。

 さて、会回の総会の内容ですが、初めに会の役員等を 選出し、その後、日本救急医学会会長でもある帝京大学 医学部教授の小林国男先生に、「救急医療の現状と救急 救命士活動の展望」と題して、記念講演をしていただき ました。

 小林先生が講演の中で力説なさっていたのは、一つは 救急救命士の生涯教育の充実であり、もう一つは救急救 命士のプロフェッショナルとしての自覚についてでし た。とくに印象的だったのは、救急救命士として救急業 務に携わっていくためには、医療従事者としての誇りをも ち、日々の自己研鑚に励むことが大切であると論じてお られた点でした。この点については、2年前に救急救命 中央研修所(現・東京研修所)で、山本保博主任教授か らも繰り返し教えられたことを思い出しました。

 両教授が私たちに同じことを論じておられるというこ とは、今後の私たちの指針とすべき内容であると考えて います。私たち救急救命士は、救急業務に携わるとき、 医療人としての自覚をもつことが大切であり、その自覚 や行動を支えるものは普段からの自己研鑚であると思い ます。

 医療行為を行うというのは、きのめて重大なことで、 医師国家試験に合格された先生方でも、資格取得後10年 以上の臨床経験を積まなければならないと聞いていま す。医療行為は医師でなければ行えないゆえんが、ここ にあると思います。

 ところが、救急救命士の場合は250時間の教育と5 年以上の救急現場経験の後、6か月間の研修のみで国家 試験を受験します。また、合格後は救命現場に出場して、 差しせまった状態で特定行為を行うのです。

 特定行為は、医師の指示のもとに実施することとなっ ていますが、一部には、緊迫した救命現場で医師の指示 を仰ぐことは、貴重なゴールデンタイムを無駄にすると いうような声もあります。しかし、私のつたない経験で は、針を持った手が震えて止まらないことがありまし た。こんなとき、携帯電話越しの医師の声に勇気づけら れ、落ち着いて処置できたことがあります。

 医療行為は人間の生命を守る最後の砦であると考えて います。この医療行為の中心に医師がおり、われわれは 砦をかためるために特定行為を実施しているのだと、い まの私は理解しています。適切なバイタルサインの把握 と、的確な観察情報の伝達により、できるだけ指示時間 の短縮を考えることが肝要ではないでしょうか。

 その後懇談会に移り、救急医療や救急救命士教育に携 わっていただいている医師、救急救命士資格のある看護 婦、各都市の救急救命士のメンバーから1分間スピーチ があり、今後の救急医療の発展を願いつつ盛況のうち に、会は終わりました。午後5時30分の開会から午後8 時30分の閉会まで、大変短くも内容の濃い会となったこ とを報告しておきます。

 さて、当会の特徴や設立目的について現段階で整理し ますと、当会は、京都府全域を対象とし、消防機関の救 急救命士や救急救命士の資格をもつ看護婦等を対象にし て設立されました。さらに、救急医療に従事していらっ しゃる先生にも賛助会員として参画していただき、学術 研究を本会の運営日的として、京都府の救急医療の向上 に寄与することとしています。

 現在の会員数は60人程度で、消防機関の救急救命士と 救急救命士の資格をもつ看護婦等の構成比率が半々であ ることが、当会の特徴ではないかと思います。

 最後になりましたが、私たち救急救命士は、医療従事 者の一員であるという誇りのもとに、住民の救急医療二 ーズに十分対応することで、コ・メディカル職員として の社会的信頼を得るべく、日々の努力が何よりも大切で あると確信しています。

 「どんな仕事でも、有能な人間になるには次の三つが 欠かせない。それは天性と勉強、そして行動力。 (Samuel.Smiles)」私の心に抱いている言葉を記し て、報告を終わらせていただきます。

(連絡先)〒604 京都市中京区御前通松原下ル 「京都府医師会:救急担当理事 谷村仲一」
TEL O75(312)3671


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